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第五話 わたしは世界なんてどうでもいい。

 夜、最後の望みにかけて、主人公が向かったのは、巨乳な幼馴染の女の家だった。幼馴染は幼少期、ガキ大将で、弱っちい主人公がイジメられそうになるのを助けてくれた女の子だった。格闘技を習っていて有段者。超強い。しかし今ではすっかり女らしい体なった幼馴染は一人暮らしで、アパートを借りて住んでいた。という設定。

 その六畳一間のアパートに行ったのだ。

 主人公が訪問した時、幼馴染は髪を濡らしていて、良い香りがして、ほぼハダカの色っぽい薄着で、そんな格好にも関わらず主人公を「どうぞ」と招き入れると、

「何か、飲むかい? わたしは麦茶を飲むけども」

 とか言った。主人公は、いらないと言った。

「そう」

 言いながら、愛用の小さなカップに麦茶を注ぎ、ぐびぐびと飲み干す。風呂上りだから喉がカラカラだったようだ。

「ぷはぁ!」

 とか言った。ちなみにビールではない。麦茶である。でも気分はビールなのだろう。

「それで、話って何?」

 幼馴染ちゃんは訊ねた。

「俺の好きな人が、消滅しちまったんだ」

 主人公はそう言って、真面目な顔をした。しかし――

「ぷっ! あっははははははっ!」

 幼馴染は笑った。

「何それ! キミ、おかしくなっちゃった? バカみたい! 夢でも見てたんじゃないの?」

 腹を抱えてヒーヒー言いながら、そう言った幼馴染に、

「夢なわけねぇだろうが!」

 主人公は、机を叩きながら怒って叫んだ。

「ねぇ、平気? キミちょっとおかしいよ」

「おかしいのは、お前の方だ! 世界を操ってる神がいるんだよ! 何で世界のこと考えないんだよ! まさか……お前まで神に操られてるっていうのかよ!」

「わたしは誰にも操られていないよ」

「おれの話を信じないってことは、操られてるんだよ!」

「そんなことより、わたしと、えっちなことしようよっ」

 幼馴染は突如としてそんなことを言った。それに対して主人公は、

「やっぱり操られてるじゃねぇか!」

 こんな都合の良い展開があるわけがないと思ったのか、操られていると確信した。別に全然操ってないけどな。

「憶えてる? 昔は一緒にお風呂に入ったジャン」

 幼馴染は誘惑した。ちくしょう主人公ちくしょう。

「おれは、神の作戦なんかに引っ掛からないからな!」

「あのさ、キミさ、なんか、卑怯だよ。わたしは前からさ、こんなに好きだと言っているのに、すぐに逃れようと――」

「何なんだよ! お前まで! お前だけはって、信じてたのに!」

 主人公は幼馴染の言葉を遮って叫ぶと、全力で走って外に出て行く。乱暴に開閉された鉄扉の音にビクッと体を弾ませる幼馴染ちゃん。胸も揺れた。

「……わたし、ふられたのかなぁ……」

 悲しそうに呟いた巨乳幼馴染だった。ちくしょう主人公ちくしょう!




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