第四話 僕はこの世界以外では生きられない。
主人公が親友と話したのは、教室だった。メガネをかけた平均身長の男で、髪は短め。普通という言葉が似合うタイプの男だった。何をしても平均程度で、巨乳が好き。取り柄は何かと言ったら、コンパスを使わずに正確な方位を指差すことができることと、コンパスを使わずに綺麗な円を描けることくらいだ。すごいけど、役に立たない能力を持たせてしまった。まぁ、簡単に言えば、ちょっとしたギャグ要素だ。「何だこいつ、要らない能力持ってんな」などと鼻で笑うための設定。
主人公は、そんな親友くんを相手に「神を倒そう」などと言ったんだが、まぁ当然、マトモに取り合ってくれるはずもない。
「僕には理解できないよ。大丈夫? 疲れてるんじゃない? 色々遊びまわったからね」
親友はそう言って心配してくれた。にも関わらず、主人公ときたら、
「何でだよ! 何で信じてくれないんだよ!」
とか言って掴みかかる。信じないのは当たり前だろ。親友くんは、そもそも神とかいうものの存在を信じていないのだから。
「人が、消えたんだぞ!」
「僕は、その人のことを知らない」
当然だ。主人公以外の記憶から消えてるんだからな。
「お前もか……」
主人公は悲しそうに俯いた。
「仮に、神っていうのが存在するんだとして、君も僕も、この世界以外で生きていくことなんて、できないんじゃないかな」
親友くん。良いこと言った。これで主人公も諦めるだろう。元はと言えば、天使だけを愛せなかった主人公が悪いんだ。そんな風に親友くんの胸倉を掴み上げる場面じゃない。
「黙れこの野郎」
主人公最低だな。