第5章:クライマックス前夜 – 内部葛藤と決意
大会の会場は夜の帳に包まれ、照明が淡く光を投げかけていた。
ユウキは一人、静かな控室の隅に座り込み、手の中のカードを見つめていた。
今日の中盤バトルでの消耗は想像以上だった。
体力は半分以下、精神力も限界に近い。それでも心は熱く、胸の奥で戦いへの欲望が渦巻いていた。
「…僕は本当に、この力で仲間を守れるのか…?」
幼少期の事故の記憶が再び顔を出す。
あのとき、自分が間違った判断をしていなければ、家族を失わずに済んだかもしれない。
あの後悔が、今も胸に重くのしかかる。
しかし、アカリや仲間たちとの連携を思い出すと、心は少しずつ落ち着きを取り戻す。
「仲間を信じ、僕も力を信じる…それしかない」
カードの能力は確かに強力だが、暴走のリスクや代償は常に付きまとう。
次のクライマックス戦では、単純な力勝負ではなく、心理戦、戦略、環境利用すべてを駆使しなければならない。
ユウキは、自分の心の中にある弱さ、恐怖、迷いと向き合った。
「怖い…でも、逃げるわけにはいかない…!」
控室のドアが微かに開き、アカリが顔を出した。
「ユウキ、大丈夫?無理してない?」
彼女の声は優しいが、目は鋭く、戦略家としての冷静さを失っていない。
ユウキはカードを握り締め、深く息を吐く。
「うん…大丈夫。僕は…僕は戦う」
二人は目を合わせ、無言のまま頷き合った。
その瞬間、心理的な決意が互いに伝わる。
仲間と力を合わせ、未知の力に立ち向かう覚悟が、二人の胸に静かに芽生えた。
外の空気が夜の冷たさを運ぶ中、ユウキは一つ心に決めた。
次の戦いでは、勝つか負けるかだけでなく、自分自身の成長もかかっている。
そして、背後に潜む影――過去の屋上の敵の存在が、次の試練として待ち受けていることを、心の片隅で感じていた。
ユウキの瞳に、静かな決意の光が宿る。
「…僕は、絶対に仲間を守る。そして、自分も逃げない」
夜の帳が街を包む中、彼の心は次の戦場へと静かに準備を整えていた。




