第3章:小さな挫折 – 仲間の危機
巨大なホログラム時計の異常が広場を包む。
空気が重く歪み、参加者たちは一瞬息を止めた。
ユウキとアカリは互いに顔を見合わせる。
「…これは…何かが起こる前触れだな」
アカリの声は冷静だったが、その瞳は微かに緊張で揺れている。
突然、目の前の対戦相手が不自然に動きを止めた。
「……どうして動かない?」
ユウキは戸惑う。通常の反応なら、敵はすぐに次の行動に移るはずだ。
未来予測を使うアカリも眉をひそめる。
「予測が狂っている…何か、通常とは違う力が働いている…!」
その瞬間、背後から異変の波動が走った。
観客や他の参加者が悲鳴を上げる。
ユウキの仲間たち――遠隔で参戦しているメイやトウマ――のカード能力が、突如制御不能になったのだ。
ユウキは心臓が跳ねるのを感じた。
「まずい…仲間たちが危険に晒されている…!」
初めての連携戦。心理的焦りが戦略に影響を与える。
ユウキは心を無理に落ち着け、まず最善の行動を選ぶ。
自分のカードを使い、仲間の支援範囲を広げる
アカリの未来予測で危険を最小化
次の攻撃が暴走や代償のリスクを生まないよう計算
しかし、現実は計算通りにはいかない。
突如飛んできた敵のカード能力が、仲間の防御をかすめる。
体力と精神力の消耗が一気に重なり、ユウキは思わず膝をつきかけた。
「…くっ…このままじゃ…!」
だがアカリが瞬間判断で動く。
「ユウキ、右側の風の流れを使って反撃の隙を作る!」
風刃の軌道を微調整し、仲間の安全圏を確保する。
瞬間的な心理判断と連携戦略が、危機をかろうじて回避させた。
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仲間たちは無事だったが、ユウキは強烈な敗北感に包まれる。
「…力が足りない…まだ、僕は…まだまだ未熟だ…」
過去のトラウマと、今の失敗が重なる。
勝利ではない、守れたのはギリギリだった。
その時、空中に現れた影が低く笑った。
「なるほど…まだまだ甘いな」
背後の影は以前の屋上での敵であることを示唆していた。
次の戦いでは、もっと大きな代償と心理戦が待ち受ける――。
ユウキは拳を握り締める。
「…もっと強くならなきゃ。仲間を守れるように…」
小さな挫折は、成長の始まりだった。
この試練が、ユウキと仲間たちの絆を、戦略を、心理をさらに深める。
そして次章への布石として、背後の影の存在が静かに物語を揺らしている。




