第1章:導入 – ドロウスキル覚醒
屋上に立つユウキの手元で、カードが微かに震えていた。
夕暮れの光が街を赤く染め、遠くの高層ビル群までその色は届く。
風が鋭く吹き、髪をかき乱すたびに、胸の高鳴りが増す。
「…これが、伝説のカード……?」
指先が微かに震える。カードはただの紙片ではなく、握った瞬間、心の奥まで熱が通る感覚があった。希望と恐怖の両方が同時に押し寄せる。
幼い頃、家族を失った事故の記憶がフラッシュバックする。あのときも、たった一瞬の判断で全てが変わった。手が震え、心臓が跳ね上がる。
「でも…諦めるわけにはいかない…!」
ユウキは拳を握りしめ、一歩踏み出す。背後から低く、冷たい声が響いた。
「君が、今日の挑戦者か…?」
振り返ると、影のような人物が立っていた。長いマントが風に揺れ、視線だけで威圧してくる。敵か味方か、まだわからない。
ユウキはカードを引いた。ドロウスキルが無意識に発動する。周囲の空気が震え、屋上の鉄柵が微かに軋む。体力が15%、精神力が20%削られ、序盤でこれだけの負荷がかかる。
「…くっ、でもやるしかない!」
体に流れる痛みと重さを押しのけ、ユウキはカードの力を引き出す。背後の影は、一歩踏み出すたびに圧力を増してくる。これは戦いの始まりであり、試練でもあった。
影の人物がゆっくり手を伸ばす。攻撃か試練か、判断できない動き。
ユウキは瞬時に戦略を組み立てる。相手の動きを観察し、心理を読み取り、代償を抑えつつカードを発動。屋上の障害物を利用して反撃の準備を整える。
選んだカードは風刃。風向きと距離で威力が変化する特殊カードだ。屋上の鉄柵を盾に、風刃を斜めに放つ。空気を切る鋭い音。影の人物は身をかわし、わずかな隙を見せる。
体力と精神力の消耗が重くのしかかる。「また失敗したら…」過去の事故の記憶が恐怖と混ざり、思考が一瞬揺れる。しかし、仲間や信念を思い出す。「負けられない…!」決意が体の奥まで浸透し、ドロウスキルの力をさらに引き出した。
次のカードを引き、再度能力を発動。空間が光と風で震える。影の人物は押し戻されるが、完全勝利ではない。勝利は得たものの、消耗は次の戦闘に重大な影響を与える。体力・精神力の減少、暴走のリスク、そして背後の影の正体――すべてが次章への伏線となった。
空中に漂う静寂を破るように、影の人物が低く囁く。
「…次は、絶対に逃さない――」
ユウキの胸に緊張と不安が渦巻く。視線の先には、まだ見ぬ力と試練が待ち構えている――。




