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永遠に続く星の物語  作者: 伏見 ひより
第一章 新しい空は新しい人生のプロローグ
2/2

【1-2】栄光の星


 木と木の小さな険しい道と言えないような隙間を歩き続ける。歩いても歩いても先が見えず、少ない体力ではもう息切れしている。

「はぁ…ッ…はぁ…ッ…」

「大丈夫かい?ルリハ。」

「だッ…大丈夫です!頑張ります…ッ…。」

「家まであと少しじゃ。頑張るんじゃぞ。」

今はおばあさんの家へ向かっている途中だ。こんなに長い険しい道を登って、どうしておばあさんは私に会ったのだろう。偶然にしてはおかしいが、そんなことを考えるほど頭は回らない。

 疲れながらも諦めずに歩いていると、小さな灯火が視界の先に見えてきた。あれは…家の光?

「あの灯火は…?」

「あれは街の家や店の窓から漏れる光じゃ…」

「街…か…」

「あの中に私の家がある。もう少しじゃ。

「はい!」

 そこから少しだけ歩き進めると、木の世界から抜け出した。目の前には、たくさんの家と窓から漏れる光…夜の中に響く、少しの話し声。外の世界…本で見る、インクでできた写真とは違う。

 外に出た感動なのか、静かに涙が頬を伝った。これから私は、こんな灯火の中で生きれるんだ。みんなにとっては当たり前でも、私にとっては『特別』だった。

「これが外の街じゃ…ルリハ、あれが私の家じゃ。」

薄い布切れのような袖は涙を拭っただけで、濃く濡れた。おばあさんが指さした先には、木の古そうな家が街並みに沿って建っていた。

「行こう、ルリハ。」

「はい!」


 * * * * *


 おばあさんに案内されて家に入る。床が軋む音と本棚にぎっしり詰まった古本。本が好きな私としては魅力的だ。おばあさんは家の中に入るなり、マッチを擦って机の上のランプを明るく光らせた。そして、本棚にある大量の本の中から、迷わず本を取り出した。表紙は茶色く剥げた部分があり、とても古いと一目瞭然だ。

「ルリハ、ここへお座り。この本にすべてが書いてある。」

「はい…」

ランプの置かれた机に隣接する、椅子に座った。おばあさんも向かいの椅子へ座る。本を机の上に置くと、ランプの光で題名がわかった。


「永遠に続く星の物語……」


「そうじゃ。これがあの星について記した本じゃよ。」

「…読んでいいですか?」

「ルリハは文字が読めるのかい?」

「読めます。」

「じゃぁちょうどよいな。」


 * * * * *


以下、本の内容をまとめたものである。


 * * * * *


「永遠に続く星の物語」


スタラフ・ペトレア


 これは、ある英雄を称えた星の物語である。


 それは紀元前1年、魔物が出た。その魔物は巨大で、世界をものの一瞬で焼け野原にしたと伝えられている。各国々は総力を上げて戦闘に出たが手も足も出なかった。

人々は「世界滅亡」という言葉を頭によぎらせた。たった魔物一匹で世界が終わる。そう思っていたのだ。

 だが、転機は訪れた。英雄の登場だ。数々の強力な魔物を倒してきたと伝えられてきた、男の剣士だ。彼は、一人でその魔物に立ち向かったのだった。誰も勝利など期待していなかったが、これが最善の選択であると、皆わかっていた。もう国の兵士は残っていない。この英雄こそが最後の切り札だった。

 戦いは長くに渡り続いた。剣士一人でここまで魔物と渡り合えるとは、驚きのことだっただろう。


 そして、決着がついた。


「相討ち」だった。魔物を倒すことは成功したが、戦いで負った致命傷により、英雄も命を落とした。

紀元0年のことだった。そう、この出来事は一般的に使用される暦の紀元とされている。でも、一般的には「英雄が魔物を倒した年」とくらいしか知られていない。詳細は当時の人々のみしか知らないほどだ。


 そして、この物語には続きがある。


人々はこの英雄を称えるために永遠に残せる形として「星」を作った。でも星を作るなど容易くないもの。そのために魔法が使用された。禁忌の魔女として知られている魔女に協力してもらった。今まで「禁忌の魔法など使うな!」と抑えてきた魔女だが、このためには仕方ないと禁忌の魔法を使った。

 魔法についての詳細はわからないが、「生贄の魔法」がしようされたようだ。

それで星はできた。「栄光の星」と名付けられた。でも、今はただの明るい星とくらいしか思われていないのだろう。


 でもこれが、英雄を称えるために永遠に残せる形として星を作った話。


「永遠に続く星の物語」である。


 * * * * *


 「読み終わったかい?ルリハ。」

「……」

「少し衝撃的だっかなのう…大丈夫かい?」

「知りたい…」

「…?」

「どうして星を作ることにこだわったのか。禁忌の魔法とはなんなのか!!知りたい!!」

「どうして…そんなに資料も残っていない。」

「生きる意味なんて知らないんです……貰えずに生きてきました。だから感情も抑えてきましたが、本当は、知りたいと思ったことを知りたいんです。私はもう既に、あの星に魅入られてしまったようです。」

「本当に知りたいのじゃな?」

「はい…これが私の生きる意味になれたなら。それは私にとっての”本当の有限の人生”です。」

「わかった。私で良ければ協力しよう。」

「…ありがとうございます!」


感情を持つことはすごい嬉しいことでした。胸が高鳴ることでした。

そして協力してくれる人ができた、私は少しは幸せに近づいたでしょうか…?



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