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色んなやつに戦わせるカオスなバトルロワイヤル第14弾。
◆登場人物(敬称略)
後白河法皇(腹黒ギャグ貴族)
井伊直弼(ピュアな体制守りマン)
ネブカドネザル2世(バビロン・サイコ皇帝)
フロイト(全ては性と無意識)
ニーチェ(虚無を見ている)
ウラド3世(串刺しと沈黙)
アレクサンドロス大王(筋肉とカリスマ)
イットリウム(本物のホンモノ)
→ 落ち着きのある、厳かだが話の通じない神秘的元素体。
【序章:時空の間に開かれし和室】
時間も空間もあいまいなこの場に、8人の歴史的存在が集まっていた。
畳の上には、一組の坊主めくり札。札はなぜか仏の光を放っている。
中央に佇むのは、イットリウム。
その佇まいは神官のように神秘的で、声は深く静かだった。
イットリウム「皆様。……本日は“坊主めくり”を通じ、心の因果と混沌の流転を学んでいただきます」
フロイト「それはつまり、深層心理の開帳ですね」
後白河法皇「……ワシは勝てばそれでよい」
ネブカドネザル「塔が……札の上に建つ……塔が……!」
ウラド3世(無言で札を睨んでいる)
ニーチェ「虚無に札を投げる遊戯だな」
アレクサンドロス「どんな遊びも、勝てば征服だ!」
井伊直弼「な、なんだか怖いんですけど……!」
イットリウム「安心なさい。札は命を奪いません。……ただ、魂を揺さぶるのみ」
【第1ターン:後白河法皇】
後白河「まずはワシからじゃ。えいやッ」
\ペラッ/
【蝉丸(坊主)】
イットリウム「……その坊主は、音なき音を奏でます。つまり、無音の悲鳴……」
後白河「なんじゃそれ。……坊主じゃな。くっ、出鼻を挫かれたか」
ニーチェ「坊主。人間の原型だ。敗北も当然だ」
【第2ターン:アレクサンドロス大王】
アレクサンドロス「この札を引くことは、東方遠征に等しい!いざ!」
\ペラッ/
【清少納言(姫札)】
アレクサンドロス「おお、美しき知性よ!」
イットリウム「……言葉の中に、永遠の宮廷が宿る。あなたは今、“文学による征服”を果たしたのです」
アレクサンドロス「……いいなそれ、好きだ」
【第3ターン:フロイト】
フロイト「姫札とは“母”の象徴……引かねばなるまい」
\ペラッ/
【西行(坊主)】
フロイト「ふむ。無常の坊主……つまり欲望の枯渇か」
イットリウム「正確には、“諦念”です。坊主はあなたに、欲望の執着を解くよう告げているのです」
フロイト「なんていやらしい坊主だ」
【第4ターン:ネブカドネザル2世】
ネブ「バビロンの神々よ、塔に通ずる札を……!」
\ペラッ/
【和泉式部(姫札)】
ネブ「愛と官能が溢れている……!この女神、我が夢に住まわせる」
イットリウム「夢は現実の陰影。あなたは今、詩の塔を建てたのです」
ネブ「塔が詩になる!?それは……高い!」
【第5ターン:井伊直弼】
井伊「こ、怖い……けどやるしか……」
\ペラッ/
【大坊主(最悪)】
井伊「ぎゃああああああ!!!」
ニーチェ「神は死んだ」
イットリウム「……その札は“自己崩壊”の象徴。あなたの中の“幕府”が、今、倒れました」
井伊「意味深すぎるぅぅ!!」
【第6ターン:ニーチェ】
ニーチェ「このゲームに意味はあるのか?」
\ペラッ/
【式子内親王(姫札)】
ニーチェ「……ほう、神秘だ。神は、時に女性の姿で戻るのか」
イットリウム「あなたが求めていた“超人”は、案外、静かに隠れていたのかもしれませんね」
ニーチェ「……この札、気に入った」
【第7ターン:ウラド3世】
(無言で札を睨み、めくる)
\ペラッ/
【蝉丸(坊主)】
ウラド(微動だにしない)
イットリウム「……坊主は、無念を語らぬ者にこそ似合います」
(周囲が勝手に納得する)
【第8ターン:イットリウム】
全員「お前も引くのか!?」
イットリウム「ええ。運命を前にしたとき、元素とて逆らえません」
\ペラッ/
【阿弥陀如来(幻の札)】
一同「えっ!?そんな札あったか!?」
イットリウム「……来世、皆様が引く予定だった札を、先に引かせていただきました」
(札が光り、部屋が輪廻転生する)
【エピローグ】
坊主めくりは終わった。
勝者も敗者もよく分からぬが、皆がどこか神妙な顔をしていた。
フロイト「これは……精神療法として非常に有用かもしれない」
アレクサンドロス「征服とは……心だったのか?」
ネブ「塔ではなかった……塔では……」
イットリウム「皆様……また巡りましょう、時の札がめくられる時まで」
**―完―**