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宮廷の洗礼⑤

やっと、あらすじに書いた、ウィルを登場させることができました。

 ダンは少し居心地が悪い思いをしながら食事にすることを使用人頭に伝えた。

ライナ城では、食事後に入浴するのが習慣になっていたためだ。

「かしこまりました」使用人頭はそう言って、ダンとラショーンを連れて見習いたちが食事をとる食堂へと向かった。



 食堂は、これまでダンが見た中で最も長いテーブルが2つ並んでいた。

何人くらい座れるだろうか。

テーブルは城と同じような灰白色をしていたが、よく見ると木でできている。

恐ろしく細かい彫刻がテーブルのヘリには施されていて、椅子も灰白色で同じような彫刻が施されている。今は食後のお茶とデザートを楽しむ者が席について賑やかに話をしていた。

そんなに人数は多く無かったから食事が終わった者は自室に下がったのだろう。

「こちらが食堂です。食事の時間は決まった鐘がなって、従者は同じ時間に食事をします。お食事が済みましたら、使用人におっしゃっていただければお湯をお持ちしますので浴槽をお使いください。ラショーン殿は兵舎の食堂で召し上がっていただきますので、よろしければこのままご案内します。」使用人頭はそういってラショーンの方を向いた。

「食堂の位置は分かるのでお気遣いなく」ラショーンはいった。

 使用人頭は頭を下げて大食堂から出て行った。

「じゃあ、ダン。おれは兵舎の食堂に行ってくるが、1人で大丈夫だよな?」ラショーンがダンに聞いた。

「大丈夫!またあとで」ダンは少し心細い気もしたが、ラショーンに手を振って空いてるところを探す。

そもそもライナ城にいた時もラショーンは使用人の家で、ダンは城で食事をとっていた。そのため別々に食べること自体は2人にとって普通のことだったが、はじめての王宮でこの広い食堂に知る者もなく1人という普段と違う状態がダンを心細くさせていた。

 ダンは何となく周りを見渡して、自分と同じくらいの年齢の少年たちがかたまって座っているのを見つけた。

先程もらった制服と同じものをきていることから、ダンと同じように騎士になるための訓練を受けにきた貴族の子供たちだろう。

話しかけるべきだとは思うのに、いつもの勇気が出なくて立ち尽くしていたら、少年たちの1人と目が合ってしまった。

目が合った男の子は周りの子に何か言ってから手を振ってダンに来るように呼びかけた。「今日来たのかい?」

「そうです。ライナ家のダンです」ダンは話しかけてくれたことに安堵しながら、少年と握手をして隣に座らせてもらう。

「ライナ家のダンだね。アクトン家のギャビンだ。よろしく」ギャビンは淡い橙色みたいな赤毛だ。鼻にそばかすがあって、ハシバミ色の瞳をしていた。ギャビンを皮切りに、周りにいた子も次々と挨拶をしてくる。

……リー家のオーガスタ。青みがかった黒髪に、真っ黒の瞳で少しミステリアスな感じが漂っている。……ビーチャム家のトマス。淡い金髪の巻き毛で、バラ色の頬。美丈夫というよりは美少女に見える。……ウィンダム家のガイ。焦げ茶色の髪に、わし鼻。頼りにされそうな落ち着いた雰囲気だ。

その他にも8人ほどいて次々と挨拶をされたため覚えられたか全く自信がない。

 同じ机で少し離れたところにお茶を飲みながら本を読んでいる子が居たから挨拶をした方が良いかギャビンに訊ねると、ギャビンはダンの耳に手を当てて小声でいった。「彼は、グレイ家のウィリアム。みんなからはウィルって呼ばれてるよ。読書をしてる最中に話しかけると、無視されるか機嫌が悪くなるから挨拶は明日がいいかもね」

 ウィルは灰色がかったキャラメル色の髪をしていて、癖のない髪が顔にかかっていたためどんな人かは分からなかった。

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