表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷の魔女の料理屋さん  作者: 遠野イナバ
続・本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/44

ページ12.5 続、三種のきのこのチーズリゾット

 そんなこんなでパーティーを始めて二時間が経過したころだろうか。

 ほろ酔い気分の……いや、かなりぐでんぐでんに酔っぱらったジェシカが話を切り出した。


「そーいえばぁー、ロゼちゃんの探してる男の人だっけぇ? 白髪に黄昏色たそがれいろの瞳の……ひっく。ピーくんがそれっぽいひと見たーとか、ひっく、言ってたわねぇ……」


 そのままボトルを抱いて頬ずり。

 ロゼがちょっと引いている。

 ノルもドン引きした。


「ええっと……、ピーくんというのはお城の厨房の?」


 ロゼが首をかしげる。


(確か、見習いの金髪くんだっけ》


 懐かしき夏の日。

 店を派手に爆発してしまったロゼがメイドにジョブ変して城にご奉仕した日のことである。

 そこで出会ったお城のシェフことピーくん。

 語尾に『す』をつけてしゃべる青年で、ノルに言わせれば、「今時の若いやつは言葉がなっとらんよ」と思わず苦言を呈してしまうほどに、チャラチャラした感じの金髪見習いシェフくんだ。

 ちはみに名前はピーター。

 だからピーくん。


「そうよぉ、あたしの元職場。──で、この前ぇ、彼がうちの店にパンを買いに来た時に言ったんだけどぉ、ひっく。白髪に赤い瞳の文官がどうのって話してたわー。ひっく」


「文官?」


「確か、何番目かの王子様の補佐官、だったかな? でも十七かそこらの人らしいから、ロゼッタさんが探してる人とは違うと思うよ」


 それにそれならペリードくんが気づくはずだし、とジェシカからボトルを取り上げリリックが苦笑する。

 ジェシカ、爆睡。

 飲酒はほとほどに。


「うーん。師匠も大概若く見えますけど、さすがに十代には……」


 腕を組んでロゼが考えこむと、ソフィアが食事の手をとめ話に加わった。


「白髪に赤い瞳の男性ですか? それでしたらお姉様。先月、父が兄の店で見たと話していましたよ」


 先月の上旬。

 ソフィアパパがソフィア兄の店に荷物を届けていると、十歳くらいの女の子が店に来たそうだ。

 だけど、女の子は財布を忘れてしまったようで、ショーケースに並ぶドーナツを見て吐息を落とすと店を出ていった。

 しかしその後、すぐに女の子はお兄さんらしき白髪の青年を連れて戻ってくる、

 大量のドーナツを購入し、笑顔で帰っていったそうだ。


 なお、その際青年が首から下げていた星の首飾り。そのひもが切れてしまい、床に落ちたところをソフィア兄が拾ってあげたのだとか。


「銀髪の、とてもかわいい女の子だったとウチの父が熱弁していました」


(熱弁されても)


 反応に困るノルである。


「はい! ロゼッタ先生!」


 元気よく手を挙げて、サラが会話に参加する。


「今朝、わたしの友だちから手紙が届きまして。ユーハルドの西にあるディルの港町でそれらしき人と出会ったらしいです!」


 以前みごとなスコーンテロを披露してくれたサラお嬢様。

 あれからご友人とは仲直りできたようで、そのご友人はいまユーハルドの西のリーナイツ地方へと里帰りしているらしい。


「それで、魚を買いに港に行ったらしいんですけど、そこで友人いわく、独り身のお姉さんの心にしみる十代前半くらいのプラチナブロンドの少年にナンパされたみたいなんですよ」


 ロリの次はショタか。

 嬉々として語るサラの話にノルは耳をかたむける。

 話はこうだった。


 ご友人が港を歩いていると、かわいい金髪少年から『きれいなおねえさん、ボクとお茶しない?』という誘いを受けた。

 どうしようかなあ? とニコニコ顔で返すご友人。

 すると、どこからともなく颯爽と現れた白髪の青年が金髪少年の頭を叩き、『コイツがすみません』と謝罪。

 そのまま青年は金髪少年を連れて隣国行きの船に乗った、とのことだった。


「友人が言うにはその男性もかなりかっこよかったわぁ、とのことです。ただあともう数年若ければなぁ……と手紙には書いてありました」


「──それです!」


 がたたっとロゼが椅子から立ち上がる。


「師匠は金色の猫──あ、いえ。近従ペイジを連れているので、多分その金髪の男の子がそうだと思います」


「ほんとうですか!?」


「おそらくは。……わかりませんけど」


(どっちだよ)


 はっきりしないロゼの態度に「どっちなんですか先生ー」とサラが嘆く。

 まあ情報が少なすぎて例のお師匠さんだと断定できる要素が無いのだ。

 仕方がないかとノルは思う。

 ロゼが眉間にしわを寄せてむむむとうなる。


「仮に、その人が師匠だとしてなぜ船に? それに隣国って一体どこへ……」


「ディル港からでしたらイナキアじゃないかな?」


 ユーリが地図を広げて会話に入る。

 イナキア、というのはユーハルドの北にある隣国で、商人による商人のための商人で構成された国なのだとか。

 そんなところに行くなんて、ロゼのお師匠さんは世界を股にかける大商人でも目指すつもりなんだろうか。

 金貨に囲まれて高笑いをしているお師匠の図をノルが想像していると、ユーリが言った。


「僕、今度学会の発表でイナキアに行くので、現地の知人たちに聞いてみますよ。仮にその人がロゼッタさんの探している人でもそうじゃなくても、足取りさえ分かっていればのちのち困らないでしょうから」


「じゃあユーリさん。その情報、私にも共有してくれ。フィーティアのイナキア支部に伝えて探してもらうから」


「ユーリさん、アルバちゃん……!」


 ロゼ歓喜。

 ふたりの助力、いや、情報提供をしてくれたサラやソフィア、ジェシカにも感謝だ。


(よかったな、ロゼ)


 帰っていくみんなの背中を見送り、ノルは星を見上げて小さくつぶやいた。


「会えるのを楽しみに待ってるぜ、お師匠さん」

ページ13につづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ