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氷の魔女の料理屋さん  作者: 遠野イナバ
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31/31

ノルのスタッフ&お客様名簿 ※挿絵つき

 夏の盛りも過ぎたある昼下がりのことだった。

 可愛いウサギのノルさんこと俺が窓辺でうとうとしていると、背中をつんつんする不届き者が現れた。


「ノルさん、ノルさん」


「ん……どした、ロゼ。俺をモフりたいなら、あと一時間後にして欲しいんだが」


「実はですね。ユーハルド(こちら)で出会った皆さんのプロフィールをまとめていたのですよ」


「俺の話、無視かよ。……プロフ? なにそれ」


「お客様名簿というやつです」


 ロゼの右手には緑の冊子が握られている。

 なるほど。

 顧客リストというやつか。

 俺は机の上に飛び乗ると、ぐぐっと身体を伸ばして欠伸を噛みしめた。

 まあ、まだ眠いが付き合ってやるか。

 器用に前足で羽根ペンを掴んで俺はロゼを見上げた。


「──つまり、俺の血液型とか好きな食べものとか、プライベートな情報が知りたいってことだな?」


「いえ、それについては興味がないので結構です。そうではなくて、わたしがいない時にノルさんが出会った人たちのことを記してほしいんですよ。ほらノルさん、よくその辺をお散歩していますし」


「うん。もっと俺に興味持って? ──わかったよ。ほれ、そいつを貸してみろ」


 ひどいご主人様(ロゼ)から冊子を受け取り、俺は羽根ペンを走らせた。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【ロゼッタの料理工房/スタッフ】


 ■ロゼッタ(年齢は乙女の秘密♡)

 俺の相棒兼、店主のロゼだ。

 職業、魔導師。

 趣味は料理。

 見た目は黒髪ロングの清楚系美少女といっておこうか。(中身はアレだけど)

 服装は地味。いかにも魔女っぽい黒のローブを愛用しているな。

 性格はひとことで言えばマイペース。

 生まれも育ちも森の中。

 おかげで世情に疎いド田舎娘。

 ユーハルドに来てからは魔女の工房兼、小さな料理店を開いて日々料理の腕を上げている。

 将来の夢は、店を王都一の料理店にすること。



 ■ノル(俺も秘密♡)

 可愛いうさぎとは仮の姿。

 その正体は世界の神秘、星霊様だったのだ──!

 なんてな。まぁ精霊とか妖精とか、なんかそういう類いのもんだと思ってくれ。

 好物は、麦酒エールと串焼き。

 あとは甘味も好きだな。

 いちおうヒトの姿も取れるが、ロゼにおっさんと言われる。

 いやいやいや、ノルさんそんなに老けてないからね?



【お客様リスト】


〈オムライスの日〉


 ■リック(6)

 くりくりとした栗毛の少年。

 オムライスのタマゴは柔らかめが好み。


 ■ジェシカ(26)

 リックの母親。結構美人だったな。


 ■通りすがりの銀髪少女(10才前後)

 犬耳だか猫耳だかのフードがついたマントを着た少女。

 名前は聞いたが忘れた。

 口数が少なく、舌足らずなお嬢さんで、普段はこの国の第四王子の護衛をしているそうだ。



〈ホットジンジャーの日〉


 ■セリカ婆さん(70)

 ペットの猫を探してくれーって依頼に来た婆さん。のちに出てくるサラの祖母だ。

 

 ■くそ生意気な俺の天敵(3)

 靴下を履いた猫って言えばわかるか?

 ロゼは可愛いって絶賛していたが、正直俺のほうが可愛いと思う。名前はシュクレくん。



〈アップルパイの日〉


 ■ペリード(18)

 眼鏡の兄ちゃん。ベルルーク侯爵っつう、由緒正しい家柄の三男坊らしい。

 趣味は菓子作り。

 ユーハルドの第二王子の補佐官として仕えていたが、紆余曲折して菓子店を開くことに。

 結構いいとこのボンボンなのに苦労人つーかなんつうか、もっと楽な道を選べばいいのにな。ノルさんだったら、放蕩貴族やってるよ。


 ■医者の男(30)

 そのまんま。王都で医者やってる男。


 ■ソフィア(24)

 白衣の天使こと美人な姉ちゃん。

 これは俺の感だが、医者の野郎はこの姉ちゃんを狙っているな。ノルさんも白衣の天使に介抱されたいぜ。



〈ラザニアという名の重ねグラタンの日〉


 ■アルバ(16)

 見た目は聖女、中身はヤンキー。その正体は、残・念・聖女様っ!……笑

 雷魔法を得意とするフィーティアの神官みこさんだ。

 ロゼの親友兼、常連さん。

 グラタンが好物で、いつも店に来るとグラタン系のメニューを頼んでいるな。

 ノルさんはカキとほうれん草のグラタン(冬季限定)が好きです。



〈ロールキャベツの日〉


 ■ロシェッタ(年齢とし聞いたらスルーされた)

 王都貧民街で雑貨店を営む女店主。

 美人だが中身が残念。

 ロゼと同じハルーニアの出身らしい。

 何回かリピートしてくれていたんだが、そのうち来なくなったなぁ…。



〈海苔おにぎりの日〉


 ■通りすがりの爺さん(聞けなかった)

 サクラナっつう、ユーハルドから見て西にあった、滅亡した島国の民らしい。

 変な服を着ていて、すさまじい切れ味の剣を持っていたな。

 名前はウヅキ。現在指名手配中。

 なにやったんだ爺さん…。



〈豚串とハーブソルトの日〉


 ■リック一家

 リック少年再登場。

 また母親とはぐれたって言うんで、ノルさん(人間体)と一緒に祭りを回った。

 楽しかったぜ。

 それから父ちゃん、リリックつったか?

 名前が紛らわしいわ。


 ■通りすがりの銀髪少女/二回目

 リック同様、なんかこいつも迷子になってた。

 最終的には保護者と無事に再開できたみたいで良かったよ。今度は店に来てくれよな。


 ■サフィール(21)

 今年の初夏まで眼鏡の兄ちゃんが仕えていた第二王子様。

 白馬の騎士を体現したような、優しい奴だったぜ。



〈紅茶のスコーンの日〉


 ■サラ(20)

 セリカ婆さんのお孫さん。

 喧嘩した友人と仲直りしたいとかでロゼに菓子を習いに来たんだが……俺は何も見ていない。



〈ピザの日〉


 ■村人たち

 ユーハルドの南東方面、ベルルーク領にある小さな村の名も無きエキストラたち。



〈季節野菜のサンドイッチの日〉


 ■オオグマ(推定8才)

 片目に三本の線が入ったワイルドな熊。こいつのせいで俺の悠々自適な森でのスローライフに幕がおりた。

 いまこうしてロゼと一緒にいるのはこいつのせいでもあるんだが、なんだかんだで毎日楽しいし、うーむ、複雑な心境…。



〈ミントティーの日〉


 ■ジー様(ご生誕から1年くらい)

 玄関付近にたまに遊びにくる白光りのアレだ。

 黒じゃないぜ?

 ちゃばねっててもノルさん悲鳴上げちゃうからね?

 ヒンヤリ草については気休めだが、けっこう効果はあるからオススメする。



〈チーズリゾットの日〉


 ■ペリード(18→19)/二回目

 こいつ絶対ロゼに気があるだろ。

 ノルさんは応援する。頑張れよ。


 ■ロゼのお師匠さん(年齢不詳)

 ちょいちょいロゼの話に出てくる魔法の先生。

 正式な弟子ではなく、あくまで教え子。

 魔法を教えてもらったのもほんの数ヶ月と案外短い。

 薬草知識に明るく、魔法の腕に関しては言うまでもないが、ロゼの話を聞く限りじゃかなりの変わり者。

 ロゼも大概変わっているが、あれは森育ちによる一般常識の無さからくるもので、こっちは生粋。

 俺の中ではオレンジ師匠と呼んでいる。



〈冷製カルボナーラ/竜辛粥・白杏子のゼリー/マジカル☆あにまるカップケーキの日〉


 ■リーア(14)

 超絶美少女。

 美少女と書いてリーアと読むのかな? と思うくらいに美少女。

 ユーハルドの第二王女で、とにかく美少女。


 ■エレノア(アルバいわく23)

 美少女に仕えるメイドさん。

 こっそり夜のお仕事をしているアルバの同僚でもある。源氏名(コードネーム)はロビン。


 ■ロイディール(42)

 味覚がしんでるユーハルドの王佐。

 激辛・激甘・激酸・激苦げきにが

 とにかく振り切った味の料理が好きらしい。

 ……ストレスでも溜まってんだろうな。


 ■ルベリウス(24)

 美少女の兄で、ユーハルドの第一王子。

 シスコンを極めし男。



【備考】

大陸歴1022年、秋までの情報を記載。


初冬、追記。

・通りすがりの銀髪少女の名前→フィネージュ

・サフィール、享年22歳

・眠り猫の菓子店オープン(※眼鏡の兄ちゃんの店)


ありがとうございました!

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最後になりますが、下記イメージイラストです。趣味絵なのでへたくそで恐縮ですが……雰囲気だけでも伝われば幸いです。

挿絵(By みてみん)

あらためて、ありがとうございました!

(※このページを下へスクロールすると、ロゼの師匠の話に繋がるリンクが貼ってあるので、良かったらそちらも覗いてみてくださいね↓)

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ロゼの師匠の物語はこちら↓

ゼノの追想譚
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