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氷の魔女の料理屋さん  作者: 遠野イナバ
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13/31

ページ7 ハーブソルトの豚バラ串(前半)

9/23 後半の展開を変えたため、一部見直しました。

 やぁ、そこのきみ。ノルだ。

 きょうはロゼが不在だから、俺だけで我慢してほしい。

 祭り、きみは好きか? 

 ユーハルドでは春に一年の実りを祈る祭りが開催されるんだぜ。

 その名も豊穣祭ほうじょうさい

 あちこちにかがり火がかれて、たくさんの市が開かれるんだ。いいよなぁ、祭り。

 そんなわけで俺は、はりきって祭りをパトロール中だ!

 え、誰に向かって話してるのかって?

 それはなぁ──



「うさぎさんが、ぶつぶつひとりでしゃべってる」


「いやいやいや。おまえさんに話かけてんだろ? つか、どうした。まーた、迷子か? 少年」


 ノルは目の前にしゃがみこむ子供に声をかけた。


「おまえあれだろ? このまえ迷子になってた少年。ロゼにオムライス作ってもらってたやつ。名前なんつったっけ? キース? カール? 悪いが忘れちまったよ」


「リック」


「そう、リックだ、リック。それで? 迷子なのか?」


「ううん。お母さんがはぐれちゃったんだよ」


「わかった。軍の迷子お預かり窓口にいこうな。ついてこーい!」


 ノルはぴょんぴょんと駆け出し、そのうしろを男の子がついていった。


 ◇ ◇ ◇


 王都の正門近くには小さな軍の詰め所がある。基本的には城の警備を任されている彼らではあるが、城下で起こる問題にも即時に対応するべく兵士たちがこちらにも配置されている。正門の検問業務、通りの巡回などなど。まいにち多忙を極める軍ではあるが、ときおり迷子の子供を預かることもある──。


「ああ? 無理だ、無理だ。いまは祭りの時期なんだ。悪いが自分で母親を探してやってくれ」


 玄関すぐの受付で、男が追いやるようにしっしっと手を振ってくる。


「いやいやいや。迷子を預かるのもそちらさんの仕事だろ? しっかり仕事してくれや」


「なんだと⁉ きさま我らにたてつくつもりか!」


「ええ……急に怒鳴られても。……あー、はいはい。いいです、すみません謝ります」


 鋭い眼光で睨まれ、ノルはくるりと男に背を向ける。

 フッ……、お前の頭に乗るそれがカツラなことくらい、このノルさんにはお見通しだ! もっとハゲやがれ!

 などと、心の中で悪態をついてから、ノルはリックの手を引き、詰め所を出た。


「さて気を取り直して、坊主。お兄さんが一緒に母親を探してやろう! 行くぞ」


「うん、ありがとう。おじさん」


「おじさんは駄目。微妙なラインだから、お兄さんにしてくれる?」


「うん。ありがとう、うさぎさん」


「けっきょく、そこに戻るのね……」


 ノルは肩を落としてため息を吐いた。

 いまのノルは人間体だ。普段はロゼから可愛くないから嫌だと言われて、こちらの姿は控えているが、子供をここまで誘導するのにこの恰好をとった。理由はうさぎの姿では迷子の受付ができないから。

 なお、この姿についての詳細は割愛するのでご想像にお任せする。


「坊主。母親とはぐれたのはどのあたりだ?」


「広場。くしやき屋さんのところで、お母さんどっかいちゃった」


「広場か……。んー、ちとあそこは行きたくねぇなぁ。耳が痛くなるし」


「うさぎさんだもんね。いろんな人の会話ひろっちゃうよね」


「お、わかってるなぁ坊主。しかし、会話を拾っちゃうーとか難しい言葉よく知ってんな」


「うん。ぼく、絵本よむのが大好きなんだ!」


「ほほう。絵本にそんな小難しい表現が書かれているかはさておき……よし、坊主。ひとまず今はノルさん(人間体)と一緒に祭りを楽しもうな」


「うん!」


 ノルは「さてと」と呟き、通りの先を見た。ここは正門前の大通りで、まっすぐ西へ進むと噴水広場にぶつかる。ひとまず母親とはぐれたと言う場所まで歩いて行くかと、ノルはリックの手を引き、歩き出す。

 前方の人混みが、さーっと波引くように通りの両脇へと移動した。


(なんだ?)


 大通りの真ん中を、青い軍服姿の青年が白馬に乗ってやってくる。そのまわりには六人程度の騎士たちが、青年を囲うように侍っている。民衆から「サフィール殿下!」と手を振られていることから、きっと白馬の青年は偉いやつなのだろう。


(サフィール……?)


 どこかで聞いたような?

 うーんと首をひねったノルは、あっと思い出した。


「ああ、たしかペリードとかいうやつが仕えてるって言ってた、王子様か」


 先日の森狼討伐を指揮してうんぬんというやつだ。偉いやつだからみんな道を開けているのだろう。なにも考えずに呆然と道の真ん中に立っていたノルは、近づいてきた親衛隊らしき男に馬上から睨まれた。


「おい、殿下の御前だぞ。さっさと下がらないか」


「悪い、悪い。坊主、ほれ」


 ノルがリックの手を引っ張るが、リックは王子様を見上げて目を輝かせている。一歩も動いてくれない。


「うわー、すごい! 青騎士の王子さまだ! ぼく、王子さまとお話したい」


「バッカ! そんなことしたら、不敬罪でつかまんぞ? ほらさがった、さがった」


「王子さまー!」


「ちょお、おま……」


 ノルの制止を無視してリックが叫ぶ。その結果、王子様の通行は妨げられてしまい、数人の親衛隊が馬をとめて降りてくる。すらりと伸びる剣先の数々。

 ノルは親衛隊に囲まれてしまった。


「なにやつ。殿下! おさがりください。もしや刺客のひとりかもしれません」


「ちがっ」


「わーい! 王子さまだー」


 リックが両手をあげて喜ぶ。


「嘘だろ? なんでこの坊主、この状況で平然としてるわけ? つか、怖いんだけど! 刺客じゃないし、ただのうさぎですから! 剣、さげてくれよーっ」


 リックとは違う意味で両手をあげてノルは叫んだ。そこに凛とした声が落ちてくる。


「ばかもの! 善良な民に剣を向ける者があるかっ。ただちに彼を解放せよ!」


「はっ」


 王子様の言葉と同時に腰の鞘へと剣を滑らせ、後退していく親衛隊の姿にノルは心から安堵した。


(よかった……)


 深く息を吐くと、驚くことに王子様が声をかけてきた。


「申し訳ない。部下たちが非礼を働いたようだ。この通り、許してほしい」


「殿下っ!」


 親衛隊が口々に叫ぶ。民衆たちもざわめきだした。無理もない。一国の王子が頭をさげているのだから、誰もが驚くだろう。ノルはすこし気まずくなり、頭を掻いて王子様から視線をそらした。


「あ、いいえ。気にしてないんで大丈夫です」


「そうか、ならばよかった。そちらの少年も危ないぞ。馬がかっこいいのはわかるが、兄の言うことは聞くように」


「はーい! 王子さま、あくしゅしてー」


 リックが手を伸ばすと王子様はわざわざ馬からおりて彼の前にしゃがむと手を握って笑ってくれた。リックは大喜びだ。


「君もよければ」


「え、あ、どうも」


 ノルとも握手をかわし、王子様は馬の背に上がると、そのまま親衛隊を引き連れて通りを進んでいった。やがて正門に辿り着くと、ひとことふたこと門兵と言葉を交わしてから、王都の外へと出ていった。


「ふつうにいい人だな」


 国の偉いやつだと聞いていたから、文字通り偉そうに椅子にでもふんぞり返っているような人間だと思っていたが、案外まともそうなやつ。

 ノルは王子様に向けて手を振っていたリックの手をひき、つぎの場所へと移動した。


 ◇ ◇ ◇


「今日はすみませんねー」


「いえいえ、猫探しから魔物退治まで。なんでもこなす氷の魔女ロゼッタの料理工房ですから。奥様へ贈るプレゼント探しもどんとこいですよ」


 どのあたりがどんとこいなのか。

 本日も料理とは関係ない依頼を受けるロゼだが、彼女は若い男と一緒に王都の商業通りを歩いていた。ここは多くの店が立ち並ぶ通りであり、食材から武具までなんでも揃うのだが、ロゼの店からは遠いのでたまにしかこない。今日はロゼの隣を歩く彼から依頼をうけてやってきた。

 二〇代後半の男。ノル(人間体)よりすこし若い彼は、すっきりとした栗毛の短髪に白シャツと緑のベストといった王都でよくみる庶民的な格好だ。名前はリリックというらしい。


「それで、奥様のお好きなものというのは……」


 ロゼが訊ねると、彼は困ったような笑みを浮かべて頬を指でかいた。


「それがですがね。お恥ずかしいことに妻の好みがよくわからず……、一般的に女性はなにをもらったら喜びますかね」


「喜ぶ……そうですねぇ、やっぱりお金……」


「え?」


「いえ、……ごほん。恋人や旦那さまが一生懸命考えて選んでくれたものなら、何でも嬉しいものですよ」


「あ、やっぱり? みんなそうですよね」


「ええ、もちろん」


 ロゼはすこしだけ嘘をついた。リリックはそんなことには気がついていない様子で、歩きながら空を見上げてつぶやいた。


「じゃあ、シャベルがいいかなぁ」


「シャベル……ですか?」


 なんでそうなった。

 このひとの頭はどういう思考回路なのだろう……と、ロゼは悩んだ。


「ええっと……理由を聞いても?」


「実は妻は庭をいじるのが好きでして」


「庭を」


「ええ。それでよくハーブを育てて料理を作ってくれるのですが、ここは張り切って新しいシャベルをプレゼントしようかと思いまして!」


 リリックが自信たっぷりな笑顔で言い切った。

 本当になんでそうなった。

 ロゼは「これはうちにきて正解ですね……」と遠い目になった。

 きっとそのままシャベルを贈っていたら、間違いなく彼は奥さんと喧嘩になることだろう。いや、もしかしたら一%の確率で喜ぶかもしれないが。


「どうでしょうか?」


「そ、そうですね……シャベルも素敵な贈り物ですが、どうせならもっと、普段から使えるものを選んではどうでしょう」


「普段? 妻は普段から庭をいじってますよ」


 そうじゃない。

 うまい言葉が見つからず、ロゼは別のものに誘導する方向で頑張った。


「では、シャベル以外でお庭でも使えるものはどうでしょう?」


「シャベル以外ですか?」


「シャベル以外で」


「そうなると……ジョウロとかですかねー」


「ジョウロ……、えっと、ほかには?」


「ほか? なら鎌なんてどうでしょう。雑草を刈るとき用の!」


「…………」


 リリックが雑草を鎌で刈り取るようなポーズをする。

 もう、お前が刈られてしまえ! 


園芸道具そこから離れてほしいのですが……)


 ロゼがげんなりしていると、リリックは通りすがりの女性を見て「ああ!」と叫んだ。 

 つばの長い、青い帽子を被った品のいいお姉さんだった。おそらく観光客だろう。隣に並ぶ男性も、洗練された都会人という印象を受けた。リリックが笑顔で言う。


「そうだ。帽子、こう……つばの長い帽子なんてどうでしょう?」


「つばの長い帽子ですか?」


「ええ。最近は陽射しも強くなってきましたし、日焼けしないようといいますか。彼女は肌が弱いみたいで太陽にあたると身体が痒くなるーとか言って、この時期はよく日傘をさしているんですよ。だから帽子なら手も塞がらないですし、ちょうどいいかなって」


 なんだ、やればできるじゃないか。

 むしろなぜ最初にその回答へ至らなかったのか。


「では、帽子屋さんに行きましょうか」


 さっそくロゼは彼と一緒に帽子店を探した。


 ◇ ◇ ◇


 ロゼが大変な想いで依頼をこなしている頃。ノルはリックを連れて串焼きを食べていた。

 甘辛いたれがついた豚の串焼きだ。香ばしい匂いが鼻腔をくすぐり、食べながらでも腹が鳴ってしまう。ノルたちは噴水広場という王都の中央あたりにある広場でひと休みしていた。


 ちなみにリックが母親とはぐれたのはこの広場だそうで、祭りの日ということも相まって、通常よりも多くの露店が立ち並んでいる。

 中にはアルバの姿もあり、フィーティアの子供たちが作った菓子などを売っていた。せっかくなので、ノルもひとつ購入したが、この姿のノルには気づいてもらえなかった。ちょっと寂しかった。


「ほれ、俺のおごりだぞー。ありがたくしょくすがいい」


「わー、ありがとう、うさぎさん」


 リックがノルから豚串を受け取り、もぐもぐと嬉しそうに頬張った。

 脂の乗った豚肉だ。ぽたりぽたりと滴る肉汁のおかげでノルの手はギトギトだ。もったいなくて指をぺろりと舐めれば、こってりとした脂が舌のうえに乗った。


(うめぇなぁ、酒が欲しいなぁ)


 店主いわく秘伝のたれだと話していたが、甘辛いたれがエールと合いそうだ。

 ノルは豚串を堪能すると、酒の代わりに買った絞りたてのりんごジュースを、ごっごっと飲み干した。


「ぷっはー! 最高だなぁ」


「うさぎさん、おじさんみたい」


「だーかーらー、おじさんはナシ! つか、おまえ、口のまわりべとべとだっつーの。なんか拭くもん持ってねぇのか?」


「これ」


「これは?」


「お母さんのハンカチ。さっき、お菓子食べたときにわたされた」


「ああ、ノルさんと会う前な」


 ノルはリックからハンカチを受け取り、彼の口元をぬぐってやった。


「それとな? いちおう言っておくが、これはノルさん(うさぎ型に変身して)が、道端で芸をみせて、自分で稼いだお金で買ったもんなんだ。好きに食って飲んだって文句はいわせねぇぞ」


「えー? ぼく、なにもいってないよー」

「いやぁ、まぁそうなんだが……。しっかり口に出しておかないと、『ノルさん、贅沢しすぎですよ!』とか、どこからか声が聞こえてきそうでなぁ……」


「ノル……贅沢、しすぎ」


「──って、おわぁ⁉」


 かけられた声にノルが振り向くと、銀髪の少女が立っていた。

 犬耳フードを被った愛らしい少女だ。ノルに近づき、彼の手元をすんすんと嗅ぐと、一本よこせと言ってきた。


「え、え。急に出てこられても、みんな驚くけど?」


「みんな?」


「俺とリックが」


 ノルが自身とリックを指で示すと少女はこくんとうなずいた。


(たしか……あれ、名前なんだっけ?)


 懐かしい、といってもほんの一ヶ月ほど前の話だが、ノルは記憶の糸をたぐりよせる。

 彼女は以前、リックの母親探しに協力してくれた少女だ。噴水に落ちたノルを助けて介抱し、そのうえ母親の行方を探ってくれた心優しき少女。少し言葉がつたないが、慣れれば話しやすいので、ノルも彼女とすぐに打ち解けた。

 通りのすがりの犬耳フードを被った銀髪少女。それが彼女である。


「久しぶりだなぁ、銀髪少女。どした? お前も祭りを見に来たのか?」


「ん」


「ひとりか? もしかして、迷子だったりして?」


「んーん。ふたり。さっき、はぐれた」


「それ、迷子っていわね?」


 ふるふると首を横にふる少女を見て、ノルは「今日は迷子が多いなぁ」と思った。


「さっき、ノル、みかけた、から……きた」


「ああ、うさぎ型になって芸してた時の?」


「んーん。その前、軍……入って、いった」


「あー、あのときの──って! え? いたの? あの近くに? つか、この姿の俺でよくわかったな。きょうは可愛いうさぎさんボディじゃないぞ?」


「ん。におい……した」


「におい?」


「草の、におい。フィー、鼻……するどい」


「ほーほー、そうなんだ。だが、俺も鼻なら負けないぞ」


 ノルが屈んで少女の頭を撫でると、彼女はノルの顔をじっと見つめた。凝視である。ノルはそっと手を離した。


「あ、そうだ。鼻がいいならさ、この坊主の母親の居場所とかわかるか?」


 ノルは手に持ったハンカチを彼女に見せる。さきほどリックの口元を拭ってやったハンカチだ。少女が首をかしげた。

 自分でにおいを辿れば? と言いたいのだろう。


「いやさ、俺、いまちょっと鼻がつまってて。あれかねぇ、春だから花粉症かなぁ。つーわけでここはひとつ頼むわ」


「役立たず」


「ええ⁉ 手厳しい言葉!」


 少女は彼からハンカチを受け取ると、すんすんと鼻を近づけ、南の方角を指した。


「あっち?」


「ん。商業通り」


 それだけ言うと彼女は雑踏の中へと走っていった。


 ノルが彼女の背中を視線で追うと、誰か、ひどく焦った様子の男と彼女が話している姿が一瞬だけ見えた。

 白髪の若い男。おそらく彼女がはぐれたと言っていた保護者かなにかだろう。


「んー、じゃあまぁ、商業通りに行くか、リック」


「うん!」


 串をゴミ箱に捨てて、ノルはリックの手を引き、商業通りへ向かった。


 ◇ ◇ ◇


「いいのが見つかってよかったですね」


「ええ、本当に。ロゼさんには感謝の言葉しかありませんよ」


 リリックがぺこりと頭をさげる。

 ロゼは両手を向けて「いいえ」と返して、彼と並んで商業通りを歩いていた。


「なんかすみません。わたしまでこちらをいただいてしまって……」


「いえいえ、ここまで付き合ってもらったお礼ですから」


 白地に赤いリボンを巻いた平たい箱を抱えてリリックが笑う。

 反対にロゼの手には小さな包み。彼がお礼にと買ってくれたものだ。

 中身はハーブソルト。なぜか帽子屋なのに塩が置いてあった。まあいちおう、お洒落な石鹸や動物型の砂糖なども並んでいたから、雑貨も置いてある店なのだろう。


 ロゼは立ち止まり、彼にいつもの決まった口上を述べた。


「ではそろそろこれで。氷の魔女のロゼッタが、たしかにリリックさんのご依頼を承りました。どうかあなたに火の加護がありますように」


 朗らかに笑って一礼すると、リリックも同様に笑顔で礼を言って依頼料を渡してくれた。銀貨三枚。依頼内容にもよるが、最近は一律この価格で受けている。ノルが「金貨一枚は高すぎ!」と、ごねたので価格設定を見直したのだ。

 おかげで以前よりも依頼の件数は増えたが、数をこなさいと稼げなくなったので、ロゼとしては少々複雑な想いだ。


(まぁでも、こういうのは地道な活動が大切ですからね)


 銀貨をローブのポケットにしまい、顔をあげる。すると、


「おーい、ロゼ!」

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ロゼの師匠の物語はこちら↓

ゼノの追想譚
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