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私の世界をあなた色に染めて  作者: あるみす
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プロローグ

  私は毎日が憂鬱で仕方なかった。大人しくしてる優等生だからって勝手に期待を押し付けてくる先生。勝手に私の事を神聖化して遠目で見てくる生徒。口を開けば進路や将来の事ばかりの両親。

 私はそんな環境が嫌で高校入学を期に遠方の京都までわざわざ出てきた。最初は両親もかなり反対されたが、面白みのないくすんだ世界はもううんざりだった私は反対を押し切って祖父母の家に居候という形で許してもらった。

 しかし期待した高校生活は今までと何一つ変わりないものだった。


 私の世界が色付くことはないのだろうか。


 ◇


  私こと神宮寺楓が京都の高校に入学してはや一年。もう新しい生徒が入学してきていた。

 2年に上がったからと言って別段何か変わるわけ無いのだが周りの人間は新しく出来る後輩の存在に浮き足だっていた。


  教室に入ると相変わらず同級生は男女問わず私を見てざわつき出す。別にそんなに容姿が特別良いとかじゃないはずなのに何故なのだろうか。せめて度胸試しの様に私に告白するのだけはやめてほしい…。


「神宮寺さん!おはよ〜今年も同じクラスだね!」

「神宮寺さん!俺、君と同じクラスになれてすっごい嬉しいよ!」


 ………。


  私は新たに様変わりしたクラスの面子から騒々しい位の挨拶を受け取っていた。

  挨拶くらいちゃんと返してあげるからせめて1人ずつ来てくれないかしら…。


 ◇


  私の憂鬱は放課後まで続く。それは去年も今年も変わりなかった。

  この学校は部活制度が結構しっかりしており、多種多様な部活があるから部活に所属していない方が珍しいのだけど、私はどこにも所属していなかった。

  一度は入部も考えて漫画部に体験に言ったんだけどね…。凄まじい騒ぎになって結局入部出来ずじまい。一人の時間が多いおかげかアニメ文化も結構好きなんだけど、どうやら周りの人は私がそういうのに興味を持っているのが信じられないらしい。


  私が何を好きだろうが関係ないと思わない?一体私を何だと思ってるんだろうか…。


  そんな訳で私は放課後になると決まって図書室に行っている。

  とんでもなく大きい図書室の奥。周りからは死角になっているそのスペースが私はお気に入りだった。本を読んでいても、絵を描いていていても誰にも何も言われない。普通の人なら当たり前の事なのだろうが、私にとってその静寂が何より心地よかった。


  今日もいつもと変わらず一人の時間を過ごそうと思っていたのだが、新学期早々その願いは砕かれたのだった。


「先輩、退屈そうな顔してますね」


  いきなりそんな不躾な言葉を投げかけてきた存在。最低限の愛想を振りまいている私とは正反対の本音で生きている少女、神楽坂芽亜との出会いは突然訪れた。


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