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異世界冒険録(仮)  作者: 上坂太郎
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第一話 プロローグ

初めての投稿です。色々不具合があるかもしれませんがよろしくお願いします。

 その男は駅のホームに立っていた。


 特段何か普通ではないことをしようと考えていた訳ではな

 く、ただ普通に会社から家への電車を待っていただけだった。


 始発の電車で帰るのなんて俺だけだろう、などと考えていたがその男はすぐにそれが空想で自分と同じ境遇の社会人は想像以上に多いことに気がついた。


 そしてそんな彼らに共通するのはその目からは少しのひかりも感じられず、底が見えない闇で埋め尽くされていることであった。


 少しすると目当ての電車が来た。やっと帰れるという安堵感はなかった。家につき少し眠り、そして昼、また逆方面の同じ電車にまた乗るだけだからだ。


 そしてそんなことを考えながら男は線路に飛び降りた。


 キィィィ


 耳を塞いでもうるさいようなブレーキ音の後、電車は異物にぶつかり、


 ドンッ…


 いう音を立てた。

 男はなぜ自分が飛び降りたのかわからなかった。心では少しも自殺しようとなどとは思っていなかった。

 

 が、体が勝手に動いた。

 それは本人でも予想はできないことだった。

 そんなことを他人が予想できるわけはなく、男はもちろん死んだ。


「おい、おぬし、起きるのじゃ」



 目覚めるとそこは一面雲海のファンタジー映画にでも出てきそうなほどの幻想的な空間だった。


 しかし、そんな空間とは裏腹にさっきの声からは想像できない、ダンディーなおじいちゃん、いやおじ様が目に入った。


「あ、あんた誰!?」


「え、神じゃが。まあ髪はないがのう。なんつって。」


 おじ様はそんな、おじ様と言うよりはおっさんのようなギャグを言って自己紹介をした。


 男はまるで売れない芸人を見るような目をしながらキョトンとしている。


「えー、えっと、お、俺、死んだ、よね?さっき。」


「そう。おぬしは死んだんじゃよ。だからここにいる。と言っても通常の霊魂が入れる場所じゃないがな。」


「えっと、どういうことか説明して欲しいんだけど…」


 神様とか言っているおじ様、いやおっさんの説明はこうだった。


 まずこのおじ様は創造神というなんか一番偉い神様で世界の創造という仕事をしていて意外と忙しいらしい。そんな中で男にこれだけ時間を割いているのは理由があるそうだ。まず、男の死は神でさえ予想出来なかったという。神様は自殺志望者がいると心を読んで確認するが、男には自殺する意思がなかったので気づくことが出来なかった。そのため霊魂が入るための部屋を確保できていない。という理由があるらしい。それで、霊として元の世界の戻るか、異世界に転移するか、選べ。そういうことだそうだ。ちなみに異世界はラノベでよくある剣と魔法の世界でスキルや、レベルの制度もあるらしい。


「で、おぬし、どっちにするのじゃ。」


 そんなの男の中では言われた瞬間から決まっていた。


「もちろん異世界転移に決まってるじゃないか!!」


 男の元の世界での趣味はアニメ鑑賞、ラノベ漁り、という、なかなかのオタクだった。そんな男にはこんな質問迷うはずもなかった。ましてや剣と魔法の世界。そんな世界に行きたくないというオタクがこの世にいるだろうか。否。男はそう断言した。


「じゃっ、次にさすがに生身じゃ危ないから個別スキルルーレットでもやるとするか。まあやんなくてもいいと言うならやらなくても良いのじゃが、」


「いいえ。やります。」


 男はきっぱり答えた。こんなテンプレ展開、逃すわけにはいかない。


「じゃあ、行くぞ」


 神様がそう言った瞬間上からゆっくりとスロットマシンのようなものが降りてきて、目の前で止まった。そして機械音でレバーを引いてね。と、繰り返し言っている。男はその音声に従いレバーを引いた。


 デレデレデレデレデレ、デンっ!


 そんな、でた個別スキルによって人生が変わると言っても過言ではないルーレットに見合わない、緊張感のない音と同時に、三つの個別スキルが表示された。


 魔法分離 ・・・ 魔法を分離させることが出来る(例:ウィンドカッター→ウィンド+カッター)


 魔法合成 ・・・ 魔法どうしを合成させることが出来る

  (例:ファイアー+カッター→ファイアーカッター)


 成長補正 ・・・ 経験値に対してアップするレベルが10倍になる。


「おぬし、なかなかひきがいいのう」


 神様にそれを言われる前から男は気づいた。これ、強すぎる。そう考えると自然と笑みが溢れ出てしまった。


「ちなみにじゃが、おぬしのHP、MP、STR、VIT、AGI、そこら辺は諸々底上げしといたから。これなら大丈夫じゃろ」


 そう言われてもう一度、男は笑みをこぼした。


「転移してからステータスと念じれば、自分のステータスは見れるぞ。」


「おう。ありがとな!神さん」


 そこで神様は思った。こいつキャラ変わってないか。まあそんなことはどうでもいい。あとはこの男を転移させるだけだ。そんなことを考えながら神様は転移の魔法陣を描き、その上に男を立たせた。


「じゃ、今から転移するから、まあ異世界でも頑張るんじゃよ。上から見ておるから。では、二度目の人生が良い人生にならんことを。」


「おうよっ!さんきゅっ」


 そう言って最後まで男はカッコつけながら新しい人生へと旅立って行った。


 これはそんな男の波瀾万丈な二度目の人生を描いた物語である。

最後まで読んでいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

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