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またね

「2人ともこれで分かっただろう?

あの時の魔王は手応えがあったし事実勝つ事は出来た。

でも、今のシャーリーに勝てる気がするかい?

今の戦いでも恐らくはかなり手を抜いていると思うけど」


「無理だな……全く勝てる気がしねぇ。

攻撃が当たってるのに当たってないなんて初めての感覚すぎて、戦ってる最中に恐いと思っちまった。

あんな感覚は初めてだ」


「私もです……えっと、アートゥルさんでしたか?

貴方があの時戦った魔王で本来私たちが戦う予定だった邪神なんですよね?」


カリンは見学していた3人のうちの1人、アートゥルに向かって話しかけた。


「そうだ」


「貴方から見て私たちの実力は如何でしょうか?」


「ふむ……我と戦えば1秒かからずに全滅だな」


「それでは貴方とシャーリーでは?」


「愚問だな……先程の話にあった通りに我はシャーリーに負けたからこそ今ここにいるのだ」


「……ありがとうございました。

やはり、私達はシャーリーに助けられたのでしょうね」


「そうだな、アタシも認めるよ。

助けてくれてありがとうな」


カリンがそう言い、マリアも素直にお礼を言う。


シャーリーは明後日の方を見ながら


「私が好きでやった事だから気にしなくていい」


と答えた。


「すいません、本心じゃなくて照れてるんですよ」


と笑いながら言うノアの言葉でその場の全員が笑顔になる。


「もういい……私は先に行くから」


シャーリーはそう言って去ろうとしたが、その際に一度だけ振り向き


「またね」


と言って姿を消した。


「すいません。

貴方達といた時に比べるとずいぶん喋ったり感情を出すのが下手になったみたいで」


「そうだね……シャーリーの変わりようには驚いたけど彼女は僕達の友人である事は変わらないよ。

……それよりもノア君。

僕達といた時のシャーリーを知っていると言う事は記憶が?」


「僕とした事が口が滑ってしまいましたね。

今のは内緒にしておいてください」


「ああ。

その代わりシャーリーの事をよろしく頼むよ」


「お姉ちゃんに付き合えるのは僕ぐらいですからね。

最後まで面倒を見させてもらいますよ。

それではまたお会いしましょう」


「3人でお幸せにな」


「さらばだ」


そう言ってノア達もシャーリーの後を追って消えていった。


「シャーリーもいい仲間に恵まれたみたいだな」


「いい男にもね」


「私達程じゃないですが良縁に恵まれたみたいで良かったですよ」


暫く先程まで彼らがいた方向を見ていると、そこから空飛ぶ巨大な船が現れた。


その巨大な船からカリス達に向かって荷物がゆっくりと落ちてくる。


そこにはシャーリーの字で


「3人とこれから増える家族の分」


と書かれている。


中を開けるとシャーリー謹製の万能薬と複数の子供服が入っていた。


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