再会
カリス達は国に報告に戻ってから英雄として歓迎された。
その功績をもって王から様々な褒賞が提案された。
中でも第一王女と婚約して次期国王にという提案が一番大きな褒賞であっただろう。
だが、彼は自分だけの功績ではないとその全てを辞退して国の端にある田舎に移り住んでしまった。
その横には苦楽を共にした2人の女性を連れていた。
「本当に全部断って良かったのかい?
……その、姫様は美人でお淑やかで国を継ぐ継がないは別にしてもあんな女性に言い寄られるのは男として嬉しいんじゃないか?」
「まぁ……悪い気分ではないけどね。
それよりも僕にはずっと一緒に旅を共にしてくれた君たちの方が余程魅力的さ」
「カリス様の言葉は嬉しく思うのですが……まだ実感が湧きませんね」
「アタシもだよ」
そういう2人の左手の薬指には指輪がはめられていた。
そう……魔王との戦いを終えて勇者の責務を果たしたカリスは2人に求婚して了承を貰ったのだ。
「それで……今から大事な客人が来るって話だけど一体誰なんだい?」
「私達にも関係があるという事ですが」
「それは来てのお楽しみかな……っと、噂をすれば来たみたいだね」
ドアをノックする音が聞こえてカリスは入り口に向かい扉を開ける。
「初めましてで良いよね、ノア君。
仲間のお二人も初めまして。
……それと久しぶりだね」
「な!?」
「え!?」
そう言ってカリスが招き入れた4の人物の一人を見てマリアとカリンは絶句する。
そこには行方不明になってから2年近い時間が経過し、既に死んでしまったのだろうと思っていたシャーリーがいたからだ。
「……久しぶり」
そう言うシャーリーに向かって慌てて二人は駆け寄っていく。
そして顔や身体をベタベタ触って生きている事を確認する。
「本当に本物なんだよな?」
「生きてるなら何で連絡をくれなかったんですか!」
二人はシャーリーに抱きつくと大声で泣き始めてしまった。
色々と話したいことはあるが、シャーリーが先ずやる事はわんわん泣きながら言葉にならない声を上げる2人を宥めることであった。
暫くしてようやく落ち着きを取り戻した2人。
その2人の前にシャーリーはハーブティーを淹れて置いた。
「気持ちが落ち着くから飲むと良い」
「ああ、すまねぇな」
「ありがたく頂きます」
そうして口を付けた瞬間であった。
『!?』
2人に衝撃が走った。
かつて旅の途中で泊まった宿屋。
街道の途中にあったにも関わらずあらゆる設備が首都以上であり、料理も飲み物も未だかつて味わったことがない程に上質で忘れられない思い出になっていた宿屋。
そこで出されていたハーブティーと全く同じ味だったからだ。
目を見開いてシャーリーを見る2人に頷きながら
「今から話すことはこう言う事の連続だから気を確かに持ってね」
と言った。




