勇者パーティの魔法使い
勇者……それは魔王を倒すために得られる称号だが、その力は普通の人間を遥かに超える事にある。
個人の才能の底上げ、成長率の上昇は勿論たが、その仲間として集められた3人にも同じような加護が与えられる。
自身と仲間を人を超えた何かに置き換える力。
それは例え神でも同じ事であった。
「でえりゃあああ!!」
「せいやあああ!!」
エムザラとアートゥルが叫びながら繰り出した攻撃。
今まで通りならその攻撃は自分達に跳ね返ってきていた。
それを理解していた2人は創造神に攻撃が当たる瞬間に歯を食いしばる。
だが……予想していた衝撃は2人には来ない。
その代わりに自分達の手にハッキリとした手応えを感じる。
そう……2人の攻撃が初めて創造神に当たったのだ。
「この力……まさか貴様!?」
創造神が慌ててノアの方を見る。
そこには眩く光を放つノアの姿があった。
「そう……僕はいま勇者を継承した。
僕とその仲間達はこの瞬間においては人でも神でもない……故に貴方の干渉は一切受けない」
「そう言う事か!
アタシが勇者様の仲間だなんて笑えるが、コイツをぶん殴れるならやってやるよ」
「元邪神で現勇者パーティとは……長く生きてみるものだな。
こんな面白い経験が出来るとは」
そう言いながら2人は創造神に攻撃を仕掛ける。
一瞬は焦った表情を見せた創造神だが、それらの攻撃を冷静に捌いて余裕を取り戻していく。
「幾ら勇者の力と加護を得たと言っても3人ではどうにもなりませんよ」
その言葉を聞いたノアは笑った。
とても楽しそうに。
「3人?
貴方は勇者とその仲間達が得られる最大の加護を知らないのですか?」
ノアがそう言うと彼の後ろから光の柱が昇る。
「勇者とその仲間達は例え死ぬよう事になっても蘇る事ができる」
「……長い旅の中で勇者パーティから外れたのに、まさか最後の決戦でその仲間になるなんて思わなかった」
「結局お姉ちゃんは勇者パーティの魔法使いなんですよ。
エムザラが戦士でアートゥルは武道家かな?」
「ふふ……前に入ってたパーティみたい。
でも、こんなものは只の茶番。
そろそろ終わらせようか」
「そうだね、お姉ちゃん。
僕とお姉ちゃんの魔法の力で終わらせよう」
そうして2人は呪文の詠唱を始める。
それは勇者が魔法使い其々が使える最大級の魔法。
2人が呪文の詠唱を終えて掌をかざす。
「雷よ!!」
「炎よ!!」
前線で創造神の動きを押さえながら戦っていたエムザラとアートゥル達も巻き込みながら高圧の雷と高音の炎が創造神を襲う。
その攻撃を受けて地に倒れ伏したのは創造神のみであった。
仲間には攻撃が当たらない……勇者の加護の一つである。
某国民的RPGの勇者あるあるを詰め込んでみました。
勇者ってズルいなって気分になってきますね。




