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魔物と人間の進化速度

「時間稼ぎは成功しているみたいで良かった」


メリッサ達の様子を監視していたシャーリーはそれが上手くいっている事に安堵する。


因みに監視方法は遠隔操作ゴーレムの応用でメリッサから合図があると起動する仕掛けになっていた。


ノアの神の力を使うという案もあったのだが、神が無闇に力を振るうのは禁忌とされたいる為に仕様を控えた結果である。


「でも、アートゥルは力を使って暴れてるけど」


「故に我は邪な神なのだ。

神界では封印されて動けず、力を振るえるのは10回に1度だけ。

それも人間が強くなりすぎないようにという適度に間引きする程度よ」


「人間の間引き……どういうこと?」


あまりにも普通の会話の流れでとんでもない爆弾を落としたアートゥル。


そんなアートゥルに代わって答えたのはエムザラであった。


「そのまんまの意味だよ。

ここまで旅してシャーリーが関わった事で分かったかもしれないけど人間はとてつもなく弱い。

だが、そのポテンシャルは並外れていて魔物達が世代を重ねて進化していく強さを人間は一代で易々と超えてしまう」


そう聞いて思い出すのは魔法都市サリトンでの出来事だ。


あの地に出現するタードラゴンという亀の魔物は魔法使いには絶好の獲物であった。


そんなタードラゴンが多く生息するがために魔法都市という魔法使いを育成する為の都市が出来上がった。


しかし、魔法攻撃を受け続けたタードラゴンは独自に進化を遂げて甲羅で魔法を弾けるようになっていた。


これが世代による進化であろう。


そのタードラゴンに対して魔法都市の魔術士達はシャーリーの訓練を受けて魔法がダメなら物理で倒すという進化を遂げた。


この時にシャーリーはタードラゴンの鍋を配っていたが、神の島でない場所で魔物食を食べても恒久的な能力アップの力は得られない。


得られるのは一時的な能力アップであり、シャーリーがエムザラ相手に使った自己強化魔法と大差はない。


彼らが強くなったのは全て彼ら自身が進化したからと言っていいだろう。


「それじゃ、アートゥルの動きを封じたのダメだった?」


「いや……我は言わば保険のようなもの。

人間は進化していけば勝手に自分達で争って自分達の力を大幅に削り落とし勝手に退化する。

我が地上で破壊をもたらさなくても特に問題はされないだろう」


「それなら良かった」


そう言ってシャーリーは作業に戻っていく。


いま行っているのは魔王スーツの調整である。


カリス達の強さに合わせてより良い戦いが演出できるようにしなければいけない。


(そう……私達にルールを決めた上位の神はその程度では動かない。

でもね……今の状態はギリギリで目溢しされてる所だ。

これ以上は……)


エムザラは心の中でそう考えながら作業しているシャーリーを甲斐甲斐しく手伝うノアの姿を見るのであった。

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