人生、一寸先は闇
「驚きましたね。
まさかここまで順当に革命が成功しているとは」
「自分達の頂点が国を裏切っていたわけだからね。
元より王に反感を持つ人間は多かったんだろうけど……それだけ、あの姫さんに求心力があったってわけだ」
「流石は我が弟子。
よくやった」
「お姉ちゃんはユディバ姫を機にいってたから嬉しそうですね」
「そうなのかい?
いつもと変わらないから全然気付かなかったけど」
「そうでなければ僕たちが離れているときに自分の仕事を手伝わせたりしませんよ」
こうしてシャーリー達がユディバ達の話で盛り上がっている一方で、ユディバ達の方でも祝宴が始まっていた。
『乾杯!』
全員が合わせて掛け声と共に杯をぶつけ合う。、
とは言え、本気でやると壊れてしまうので恐る恐ると言った様子ではあるが。
乾杯が終われば各々が料理と歓談を楽しみ始める。
デコバはユディバの横という定位置に座りながら彼女に話しかけた。
「こんな店で本当に良かったのか?」
「ここは以前にシャーリー様が話されていたお店ですから全てが終わってから来てみたかったのです」
「そうか…….今回の革命が成功したのも全て彼女達の尽力あっての事だからな。
再び出逢えたなら礼を言いたいものだが」
「今は何処で何をされているのでしょうね」
「きっとまた何処かで想像もつかない事をしているのだろうよ」
2人が顔を寄せ合ってひそひそ話しているのをカリス達は笑顔で見ていた。
「お二人は本当に仲が良くて見ていて微笑ましいですね」
「そうだね。
もし、道中の宿で出逢わず何も知らない状態で前国王に騙されていたらと思うとゾッとするけど。
こんな素晴らしい2人の仲を引き裂いていたかもしれないんだからね」
「あそこでは良い修行が出来てダンジョン攻略で装備も充実したからな。
料理も美味いし宿の設備も最高だしでもう一回くらい行きたいくらいだぜ」
「中々そういうわけにもいかないだろうけどね」
料理を楽しみつつ会話を楽しむ3人。
こうして祝宴は和気藹々と進んでいったのだが、その途中で異変が起きた。
ユディバが急に椅子から立ち上がったのであって驚いた顔をしていたのだ。
全員がその奇行に驚いてユディバを見つめたのだが、彼女はその視線に気がつくと誤魔化すように笑いながら
「すこしお花を摘みに参りますわ」
と宴を中座して部屋を出て行った。
「俺も失礼させてもらう。
カリス達は気にせずに宴を楽しんでいてくれ」
その様子が気になったデコバもユディバの後を追いかけて部屋を出て行った。
「何か様子が変だったがどうする?」
「デコバさんがいれば問題ないと思いますので私たちはここで待機していた方がいいかと」
「そうだね……何かあったのなら頼ってくれると思うし、そうなるまで余計な事はしない方がいいだろうね」
そうして部屋で待つ事にしたのだが、カリス達は気付いていなかった。
この選択がかつて失った仲間と再び出会う千載一遇のチャンスであったことを。




