哀れなドラゴン族
8/21 22:30 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
さて、何故シャーリー達がこのような旅をしているのか?
それはノアに美しきカカト落としが炸裂した直後に巻き戻る。
「お姉ちゃん、誰?」
と尋ねるノアの反応に嫌な予感がしたシャーリーが尋ねると尋ねる。
「貴方、名前は?
自分が何者か分かる?」
「え?僕の名前はノアだよ……うーん、それだけしか思い出せないや」
「嘘を言っている感じはしない。
つまり記憶喪失?」
「うーん、そうなのかな?
お姉ちゃんは僕が何なのか知ってるの?i
「知らない。
今日で会うの2回目だし。
用事が済んだから行く」
そう言ってその場を去ろうとするシャーリーのマントをノアが掴んだ。
「なに?」
「僕、他に知り合いいないから……お姉ちゃんについていっちゃダメ?」
まるで小動物が縋るようなる目でシャーリーを見上げるノア。
こいつはあの性悪神様だ……頭で分かっていても見捨てられない何かを感じる。
正直な話、この一年間誰とも喋らずにいたせいで嫌悪感を抱いていたはずのノアに対しても喋れる事が嬉しくなっていた。
更にシャーリーの中に懸念点が一つあった。
それは一年間でとてもコミュ障になってしまった事である。
具体的に言うと伝える言葉は最低限になってしまった。
コミュ力を取り戻すにはノアと話すのが丁度良いのではないか?
そんな風に彼を連れて行く利点の方が頭の中を駆け巡って行く。
「仕方ない……足を引っ張ったら置いていくからね」
シャーリーはそう言ってノアを連れて行く事にした。
島からの脱出方法……それはドラゴンの巣の中に隠されていた船であった。
ご丁寧に説明書きがされており、この船は神……つまりはノアの祝福により決して沈む事が無いらしい。
こうして何度もやってきたドラゴンの巣にシャーリーとノアはやってきていた。
目的は船なのだから今回はドラゴンを無視して進むのか?
それは否である。
目の前を闊歩するドラゴン達をシャーリーは上手い肉と希少な素材としか見ていない。
そんな素晴らしきものを見逃さない程度にシャーリーは強欲になっていた。
目にも止まらぬ速さでドラゴンを次々と倒していく。
その様子を見ていたノアがポツリと呟いた。
「お姉ちゃんすごーい!
よーし、僕もやるぞ!!」
瞬間、まだ手付かずだったドラゴンが地面に倒れる。
「む、負けない」
「楽しいね、お姉ちゃん!」
こうして生物の頂点に立っている筈だったドラゴンは2人の化け物によって殲滅された。
この巣にいるドラゴンは108匹……その全てが解体され、シャーリーの作った亜空間道具箱に収納されていく。
その箱を船に積み込んだのだが恐ろしい事に船にはそんな箱が無数に敷き詰められていた。
しかも細かく植物素材や鉱石、魔物素材、肉、野菜、調味料などと分けられている。
そう……この船に積まれているものはシャーリーの一年間の成果であった。
こうして比類なき強さと大量の宝物と神様を連れた少女は帰還する。
未だ旅を続けているであろう勇者の使命を果たさせる為に。
ついでに各地を回って今までに見た事が無いお肉(魔物
や素材を求めて。