ノアの心境
次の日、ジョン達に返却してもらった装備品を点検していた時にシャーリーが待ち望んでいたものが来た。
「全く……こんな辺鄙な所で何やってるんだか」
シャーリー達が村の中に張ったテントの中に大きな荷物を抱えたエムザラがやってきた。
「荷物運びありがとう。
ご褒美は何が良い?」
「うーん……姉御の手料理かな」
「オッケー。
腕によりをかけて作るから待ってて」
「そいつは運んできた甲斐があるってもんだよ」
シャーリーが作業を中断してエムザラの為にご飯を作る。
待ってましたとばかりに嬉しそうに食事をするエムザラにノアが冷めた視線を送っていた。
「僕たちは食事しなくても問題ない身体の筈なんですけどね」
「ノアには言われたくないね。
今度こう言う機会があれば役割を交換するかい?
あんたも姉御の料理が食べれない日々を味わってみるといいさ」
「料理どうこうより貴女に交渉毎を任せるのは怖いですから交換はしませんよ」
「素直じゃないねぇ」
シャーリーはそんな2人の会話はどこ吹く風と言わんばかりに鼻歌混じりでエムザラが運んできた荷物を開封する。
荷物の中身は大きなプランターであった。
そこにシャーリーは自身が調合した特殊な土を敷き詰めてから魔物が落とした木の実を植えていく。
そんなことをしていると入り口から声がしたのでノアが出迎える。
そこにはジョンとカンチントンの3人が装備を取りにやってきていた。
「装備の点検って終わってるんですか?」
「問題ない……そのまま渡して」
シャーリーの返答から現在行っていることに夢中になっていて動くことが無いことが分かったノアはため息をつきながら装備品を取りに行く。
シャーリーが持ってくる訳では無く姿も現す気が無いと分かったジョンは明らかに落胆していた。
そんな彼を見て気もノアは気分が少し良くなった気がした。
無論そんなことはおくびにも見せずに余裕のある表情で点検された装備をジョン達に手渡した。
「ノア……お前、まさか……」
ノアの異変に気付いたエムザラが声をかけようとした時に
「これで完成!!」
シャーリーにしては珍しい大きな声がテント内に響き渡る。
その言葉を聞いたノアはエムザラの言葉が全く聞こえていなかったのか、直ぐにシャーリーの元に向かった。
その様子を見ながらエムザラはポツリと呟く。
「そんな事はないと思うけど……人間と神の恋愛なんて最大級の禁忌だからね。
もしそうだと分かった時はアタシは全力で止めるよ」




