サービス回 女湯編
女湯に入ってきたのは銭湯を作ったシャーリー……そして、何故かシャーリーに連れてこられたノアであった。
「普通に男湯に入ろうとしたら何故か強引にこっちに連れてこられた」
「気にしない気にしない。
周りだってノアの事を気にしてる人いないよ」
シャーリーの言う通り、10に満たない少年の姿をしているノアの事を誰も気にしていない。
また、ノアがシャーリーの事をお姉ちゃんと呼んでいるのは殆どの人が目撃しているので、村人たちの中で2人は姉弟の関係なのだろうと思われていた。
そんな理由で他に銭湯を利用している女性達に不満はなく、寧ろ微笑ましいものを見る目で2人のことを見守っていた。
「ちゃんと身体を洗ってから湯船に浸かるんですよ」
「分かってるって……はい!」
「何で僕にスポンジ渡すんです?」
「ここを作ったのは私。
背中を流すくらいの労いをしてほしい」
「……はぁ、仕方ないですね」
ノアはため息をついてからシャーリーの背中を洗っていく。
「力加減は大丈夫ですか?」
「問題ない。
私はとてもご満悦」
「それなら良かった」
暫くゴシゴシと磨いているとシャーリーの手が伸びてきてノアからスポンジを奪う。
そして、残りの部分を綺麗に洗ったら今度はノアを椅子に座らせた。
「今度は何なんです?」
「日頃の労いに今度は私が洗ってあげる」
「……抵抗しても無駄なんでしょうね」
「分かってるなら大人しくする」
そう言ってシャーリーが背中をゴシゴシと洗い始めたのだが、先程のノアと違いシャーリーの持つスポンジは前の方にまで範囲を広げていた。
「僕は背中まででしたけど?」
「気にしない。
どうせ反応もしないんでしょ」
「人間の身体に近いですが万が一のことを考えて生殖機能などは付けていないみたいですね。
記憶を無くす前の僕を良くやったと褒めてやりたいですよ」
「それは後付けできる?」
「出来なくは無いと思いますけど……正直全く持って興味ないでしょ」
「うん、全く無い」
「お姉ちゃんくらいの年頃の女性はもっと浮いた話題が好きそうなもんですけどね。
前からそうだったんですか?」
「うーん……島に流れ着く前はカリスにそういう気持ちを持っていた気がしないでもない。
島で暮らすうちに色恋沙汰はどうでも良くなった」
「ふーん、そうなんですか」
シャーリーの言葉に生返事をしてしまったのは何故だろうか。
ノアの心の中に僅かだが面白くないという感情が浮かんだ気がしたからかもしれない。
「はい、これでおしまい」
「ぶはあっ!?」
そんなことを知ってからノアの頭からお湯をかけて泡を洗い流す。
「色恋沙汰とか正直分からない。
けど、いま一番頼りにしてるのはノアだよ」
お湯をかけられて狼狽えていたノアの耳元でそう聞こえたと思ったら身体がフッと宙に浮く。
シャーリーがノアの身体を後ろから抱え上げたのだ。
そのまま湯船に持っていって浸かっている間、シャーリーはずっとノアの事を抱きしめていた。
そんな仲の良い姉弟の姿を周りの女性客はニヤニヤしそうな顔を何とか堪えながら入浴していたとか。
おねショタっぽい回。
おねショタの世界に入ったら当事者では無くて、それを見せられているモブになりたいですね。
 




