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守られるより守りたい

シャーリー達と話し合ったメリッサは村人達を広場に集めた。


「話があると言っていましたが何でしょうか?」


村人を代表してジャンがメリッサに尋ねる


「皆さんも気付いておられると思います……私の魔法についてです。

現在この村は隠蔽の魔法によって守られていますが、魔物達の力が強まったせいて魔法を見破られつつあります」


メリッサの言葉に村人達はガヤガヤと騒ぎ始める。


気付いてはいたが誰も最悪の想定などしたくは無いだろう。


心の中では何とかなると思ったところに現実を突きつけられた村人達に動揺が広がった。


「皆さんの不安と恐怖は分かります……しかし、私達には強い味方が現れてくれました。

それがジャンさんを助けてくれたシャーリー様とノア様です」


「おお、あの2人が!」


「村を守ってくださるというのか!!」


圧倒的な力で魔物を片付けたシャーリーの噂は既に村中に広まっていた。


ノアの方は分からないが少なくともシャーリーが守ってくれるなら村は安泰だと村人達は胸を撫で下ろす。


しかし、紹介されたシャーリーが告げたのは残酷な現実であった。


「先に言っておく。

私は村を守ったりはしない。

村を守るのは貴方達住民の仕事」


「俺たちの味方をしてくれるんじゃないのかよ!」


「私たちだけじゃ村は守れないわ!」


シャーリーの言葉にザワザワと騒ぎ出す村人達。


中にはシャーリーに対して怒声を浴びせる者までいた。


そんな人達に全く怯まず、シャーリーにしては珍しく話を続けた。


「そうやって旅の人間やこんな子供に村の防衛を丸投げして恥ずかしくないの?

自分達の村は自分達で守るという気概はないの?

貴方達にその気があるなら守れるようになる力を与えてあげる。

でも、そんな気がないというなら……こんな村は滅んでしまったほうがいい」


メリッサの真後ろに立ち、彼女の方を両手で掴みながら語る。


最後の言葉を言った時には村人全員が竦み上がるような視線を向けた。


殆どの村人達がその視線に気後れして動けなくなる中でジャンが一歩前に出る。


「シャーリーさんについていけばこの村を守れるというのか?」


「それは約束する。

でも、ついてこられるかどうかは別。

だからこの村を守りたいという気持ちやメリッサのような子供に頼らないという強い気持ちがいる」


「……わかった」


シャーリーの言葉を聞いたジャンは頷いて村人達に向き直る。


「なぁ……一度だって考えたことはなかったか?

メリッサ様のような子供に頼りっぱなしで情けないと。

本当はこんな村に縛り付けちゃいけない人だと考えてことはなかったか?

俺たちが今までこの村を守ってもらった恩を返す時が来たんじゃないのか?

俺は命の恩人でメリッサ様が信じたシャーリーさんを信じる事にした。

お前達はどうするんだ?」


ジャンの言葉に村人達は静まり返る。


だが、1人……また1人と手を挙げて参加を申し出る。


その輪はどんどんと広がって遂には村人全員が参加を申し出ていた。


「そういう訳だ。

俺たち全員シャーリーさんを信じてついていくからよろしく頼む」


「分かった……必ず村を守れるくらいに強くしてみせる」

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