神との遭遇
村の外に薪を取りに行った村人達が魔物に遭遇して命からがら逃げ出してきた。
そう報告を受けたメリッサは彼らを労うために出迎えにいった。
何故かは分からないがここ数日隠蔽の結界の効果が弱まっているのか、近くを魔物が彷徨くことが増えていた。
村人達はメリッサ様のせいではないと話しているが、メリッサ自身は自分の実力不足が起こした事態だと考えていた。
だが、それを村人達に伝えてしまっては彼らの不安が増加すると考えたメリッサは謝らずにただ労いの言葉をかけていく。
それがメリッサには何よりも辛かった。
こうして逃げてきた村人を出迎えて最後に殿を務めるジョンを労って1日が終わる……その予定であった。
だが……いつもならとっくに引き返している筈の時間になってもジョンは戻ってこない。
村人達からは捜索隊を出した方が良いのではないかという話が出ていた。
そうして何人かの志願者が出揃い出発するという時にジョンは帰ってきた。
その傍に見知らぬ女性と少年を連れて。
危ないところをシャーリーと名乗る女性に助けられたとジョンは説明する。
それを聞いた村人はシャーリー達に涙を流しながらお礼を言う。
人数の少ない村である……村人は全員家族のようなものだ。
その中で最も危険な仕事に就いていたジョンを救ってくれたのだから感動もひとしおだろう。
それはメリッサも例外では無かった。
村人達がお礼を言い終わった後で彼女も村を代表して礼を言おうと2人に近づく。
「この度は村の一員を救っていただい誠にありがとうございます」
そう言ってシャーリーに頭を下げてお礼を言う。
「通りがかっただけだから気にしなくていい」
そう答えるシャーリーを改めて見たメリッサははっと息を呑む。
生まれ持って人のオーラを見る事が出来る彼女はシャーリーのその力に圧倒された。
村人も外の魔物も、それらの全てを足しても足元にも及ばないオーラ量。
自分にこれだけの力があればこんなに悩むことは無いのにと羨ましくなるほどであった。
しかし、恩人にそのような浅ましい感情を抱いてはいけない。
そう思い直して近くにいた少年に挨拶しようと顔を向けて彼女は絶句する。
オーラの量はシャーリー程ではない。
しかし、その質が全く違うのだ。
「かみ……さま……!?」
思わず口から言葉が飛び出していたが、そう表現するしか無かった。
その言葉を聞いたノアが咄嗟に動こうとするのをシャーリーが肩を持って止める。
「話を聞こう。
貴女も私達に聞きたい事があるでしょう?」
シャーリーの言葉にノアは力を抜くように深く息を吐く。
「そうでしたね……僕とした事が失礼しました。
メリッサさんでしたね?
何処か3人で話せる場所はありませんか?」
「そ、それなら私の家にお越しください。
恩人達は私が持てなします!
皆さんはどうかご自分の仕事にお戻りください」
メリッサがそう宣言して村人に解散を求めると、その言葉に素直に従った村人が家に帰っていく。
「それではご案内しますのでついてきてください」
そう言うメリッサの言葉に2人は頷いて後を追うのであった。




