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最後の村へ

魔王の封印された地……そこから距離は離れているものの最も近い場所にある村。


その村には代々魔力の高く全ての魔法を手足の如く操る神童が生まれていた。


その話題は村の外にも広まり、神童は賢者と呼ばれて崇拝される対象となっていた。


今代の賢者はメリッサという若干14歳の少女であった。


彼女は持ち前の魔法で村を魔物から隠して守り通していた。


だが……


「いかんな。

近くまで魔物が接近している」


木こりのジョンがいち早く魔物の接近に気付き仲間に知らせる。


仲間達は木材や薪を手早く拾い集めるとそそくさと村まで戻っていった。


ジョンも魔物の動向に気をつけながら退却をしようとした。


魔物が鋭敏になったのか?メリッサの魔法の効果が薄くなったのかは分からない。


最近魔物達が村の近くを彷徨くようになって警戒する役目をジョンが担っていた。


そんなプレッシャーのかかる仕事を連日していたのが悪かったのだろうか?


ジョンは不覚にも枝に足を取られて転びそうになる。


何とか踏みとどまろうと近くの木の枝に掴まり……枝は小さな音をを立てて折れた。


そのせいで余計に勢いづいて倒れてしまう。


枝の折れる音では猜疑的だった魔物達も倒れた時の大きな音でその場に獲物がいる事を確信した。


最早どうすることもできないだろう……ジョンは己の死を悟り心の中で村の仲間達に別れを告げる。


だが、その時魔物とジョンの間に空から何かが落ちてくる。


ジョンが倒れた時とは比べ物にならない轟音と衝撃が巻き起こり、両者は自分たちの真ん中に落ちてきた何かを凝視した。


黙々と上がる砂煙が収まったその場所にいたのは少年を抱えた女性であった。


少年は女性の腕の中から降りると心底呆れた声で女性に語りかけた。


「全く……幾ら間に合いそうにないからって船から飛び降りる人がいますか」


「ここにいる」


「お姉ちゃんは人として認識できないのでノーカウントですよ」


「すごく失礼」


「はいはい、そんなことよりサッサと片付けないと慌てて救出に来た意味が無くなりますよ」


「それは困る。

すぐ片付けるから安心して」


女性はジョンにそう言うと魔物達に向かっていき……宣言通りに瞬殺してしまう。


挙句にその場で解体を始めてしまうほどの余裕だ。


その様子を珍しげな表情で少年が見ていた。


「いつもと違うもの作ってるみたいですけど何を作っているんですか?」


「そこにある羽根の生えた虎の魔物が1番強かった。

だからその魔物の骨で作った飾り棚を作っている。

これを見ればこの虎より強い者がいると悟って逃げていく」


女性の言葉になるほどと頷く少年。


この女性と少年はもちろんシャーリーとノアである。


2人の新たな物語は、この魔王城近くの村から始まる。

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