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勇者の力と真の仲間

5人が大騒ぎしながら宴をしている裏ではシャーリー達3人も軽く乾杯をしていた。


「珍しく上手くいったじゃないですか」


「珍しいって何?

私はいつも上手くやってる」


「まぁ、今までの話を聞いてたらそう言いたくなる気持ちも分かるけどね」


今回の作戦は何から何までシャーリーの計画通りに事が運んだと言える。


カリスパーティとユディバ・デコバの2人を引き合わせる為に道中の進路を予測して宿を建てる。


その近くに簡易的なダンジョンを作って協力して攻略させる事で5人の絆を深めた。


更に最近のカリス達の戦いの苦戦っぷりから強化が必要であるも考えたシャーリーは、ボスに扮して彼らの強さをある程度まで引き上げた。


更に洞窟攻略の報酬として最奥にカリス達に合わせて作成した装備を置いたので更なる強化が必要だろう。


後はボスを巨大化させ、カリス達を守る為に正体を明かしてドラゴンに姿を変えた守った事でデコバは信頼を得るだろう。


そこにユディバが王女という立場を明かしながらデコバが守ってくれたと明かす事でカリス達は流布された狂言に惑わされる事がない。


ここでユディバがフォーリン国を救う為に手を貸してくださいとお願いすればカリス達は快く力を貸すだろう。


何せ彼らの目的は世界を平和に導く事なのだから見捨てられるはずが無い。


それが命を賭してダンジョンを攻略した仲間の言葉ならば尚更だろう。


シャーリーの目論見通りにカリス達は2人のことを既に信頼できる仲間だと認定していた。


もちろん旅についてきて欲しい等とは言えないが、心から通じ合う仲間だと思っていた。


それはデコバ達も同じであり、特にデコバは初めて出来た同性の友人というカリスに大きな信頼を寄せていた。


裏にシャーリー達の目論みがあるとは言え、彼らが互いに協力しあったのは真実であり、築いた絆は本物なのだから。


全員が上手くいったと安堵しての簡単な祝杯だったのだが、そこでシャーリーがポソリと呟く。


「でも、予想外の事も一つあった」


「え?何ですか?」


「カリス達の強くなるペース。

ダンジョン攻略に一ヶ月はかかると思ってた。

でも、実際には10日間くらい……ユディバほどじゃ無いけど3人ならデコバともマトモに戦えるかもしれない」


「それは勇者の補正ってやつかね。

本人含めたパーティメンバーの成長率を上げる……あんた達が言う神の島の恩恵を自分と周りに与えているって事さ」


そこまで聞いた時にシャーリーにある疑問が浮かんだ。


「待って……私はその恩恵受けて無かったと思う。

島に行ってから強くなったから」


「そりゃ姉御が勇者の正式な仲間では無かったって事だろうね。

勇者の恩恵を受ける仲間は3人いる……その内の1人と勇者はまだ会ってないって事さ」


「どれも初耳なんだけど」


私はギロリとノアを睨む。


「記憶のない僕に言わないでくださいよ。

僕だって今の話聞いてそうなんだって思ってるくらいなんですから」


「役立たず」


「そんな事言っちゃいます?

じゃあ、今後の交渉は全部お姉ちゃんがやってくださいよ」


「無理」


「やれやれこっちも仲が良いねぇ」


1人あぶれてしまったエムザラは窓から見える月に向かってグラスを突き出して一気に呷るのであった。

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