怪獣大決戦
「ド、ドラゴン!?」
「でも、何か生物的ではないような……」
「どっちにしたってやるしかないだろ!?」
そう言って構えるカリス達の前にデコバが
「すまないな、カリス。
どうやら俺の本当の姿を見せなければいけないようだ」
「デコバ……何を言って……」
「はああああああ!!」
デコバが気合を入れて叫ぶとその姿は目の前にいたメカドラゴンと同じように質量を無視して膨れ上がっていく。
その姿はわずかな時間で巨大な黒いドラゴンへと変わっていった。
そんなデコバに対して空を飛んでいたメカドラゴンが急降下しながら襲いかかる。
その身体を巨大な手で掴んで押さえ込もうとする。
その戦いは最早並みの人間どころかカリス達ですら介入できるような代物では無くなっていた。
「カリス様、こちらへ」
そんな中で一人冷静に行動していたユディバは壁の中にある洞穴にいて、カリス達にも避難を呼びかけた。
言われるがままに洞穴に避難したカリスは真っ先に浮かんだ疑問をユディバに尋ねた。
「ユディバ……君はデコバの正体を知っていたのかい?」
そうでなければここまで冷静な行動は出来なかったであろう。
カリスの問いにユディバは静かな頷いた。
「ええ、もちろんです。
しかし、彼の方は一般の魔物と違い邪悪な存在ではありません。
……私はデコバ様に助けて頂いた身ですから」
「どういう事ですか?」
「アタシも詳しい話を聞かないことには納得いかないね」
「最も話です。
しかし、本人がいない所で話を聞かされるのも良くないのではありませんか?
デコバ様が無事に勝利して帰ってこられてからにしましょう」
「……そうだね。
彼は僕たちを守る為に隠していた正体を明かして戦ってくれているのだから」
そう言ってカリスが見上げた先ではお互いにがっぷり四つに組み合って死闘を繰り広げている2匹のドラゴンの姿が見えていた。
♢ ♢ ♢
一方でドラゴンモードを起動させたシャーリーは既に人形との連結を解いていた。
ドラゴンモードはオマケであり、これから先で必要な布石を打つための一手だ。
カリス達を苦しめる為に使ったわけでは無い。
向こうではデコバとユディバが上手くやってくれている事だろう。
これにてダンジョン攻略は終わりとなるので褒美として飛びっきり美味いご飯でも食べさせてやろうと厨房に向かうのであった。




