強さは全てを解決する
話を聞き終えたノア達は何とも渋い顔をしていた。
理由の一つは今回は相手が魔王ではなく邪神なので国王の方針は全く意味がないということ。
二つ目の理由としてはこの話には未来が全くないと言う事である。
今のところ毒沼と塔の魔物に阻まれてここまで来れるものがいないが、仮に勇者達が国王から依頼を受けてここまでやってきたならどうなるであろうか?
その時に姫は邪悪なドラゴンにより洗脳の魔法をかけられていますので、ドラゴンと姫がを言っても騙されないように……などと言い含められていたら?
姫を助けたドラゴンは殺されて連れ戻された姫は魔王の城へ。
その過程か辿り着いてからか分からないが彼女は確実に死ぬだろう。
今やっている事は一時的な現実逃避に他ならない。
どうしたものかと考えているとシャーリーが青年の姿に戻ったドラゴンを連れて戻ってきた。
「話はどうなった?
分かりやすく簡潔に教えて」
「全く、貴女と言う人は。
実は……」
シャーリーの要望に見事に応えて要点を分かりやすく説明したノア。
その話を聞いた上で問題点を挙げてどうしたらいいか悩んでいるのですというノアにシャーリーは
「そんなことは簡単
ドラを姫様守れるくらいに強くすればいい」
「強くってどうやって……まさか!?」
その言葉の意味を察したノアにシャーリーは自信満々に頷く。
「島に連れて行けばいい。
ドラゴン仲間も多いしね」
その言葉を聞いた姫様とドラゴンは首を傾げる。
「えっと……今から何処かに行くということでしょうか?」
「一体何をするつもりだ?」
「その前にドラゴンさんに聞きたいのですが姫様を守るために強くなる覚悟はありますか?」
「ある!
その強さが手に入るのであればどんな試練にも耐えて見せよう」
「分かりました……それでは私の島へご案内しましょう」
ノアがそう言ってすぐに窓の横に神の船がやってくる。
船が来た早々にシャーリーは船に飛び乗り、惚気から戦闘になり、難しい話が多くなって疲れてきたエムザラも船に乗り込んだ。
ノアも続いて窓から飛び乗り二人に船に乗るように促す。
「姫、自分が運ぶので安心を」
「はい、お願いします」
ドラゴンは姫をお姫様抱っこすると、背中の翼を動かして空を飛びながら船に乗り込む。
心なしかフラフラしていたように見えるがツッコむのは野暮というものだろう。
こうしてシャーリー一行はエムザラというもう一人の神様、更にブラックドラゴンと姫様という変わった面子を加えて再び神の島に戻るのであった。




