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塔RTA

十数分後には戻ってきたシャーリーであったが、やはり満足していないらしく再び飛び降りては戻ってきてを繰り返した。


そのスピードは段々と早くなってきており、遂には10分というタイムを切って頂上に到着する。


「どう?」


「一桁代いきましたよ、おめでとうございます。

満足しましたか?」


タイムを尋ねるシャーリーにタオルを渡しながら褒めるノア。


彼は途中からシャーリーが最速タイムを狙っていることに気付き、時間を測りつつ水やタオルを手渡すというきめ細やかなサポートをしていた。


エムザラはそんな自分が知っている人物とまるで違うノアの様子が何だかとても面白くなって見ていた。


しかし……


「よし、満足したし帰ろうか」


「そうですね」


「ちょっと待ちなよ!

お姫様を助けるんじゃないのかい!?」


当初の目的を完全に忘れて帰ろうとする2人には流石に焦って止めに入る。


声をかけられた2人は一瞬なんだか分からないような顔をしていたがポンと手を打って『そうだった』と声を合わせる。


実に良いコンビだとは思うが自分が監視していないと、この2人は危ういのではないかと思い始めるエムザラ。


もちろん、危ないのはこの2人ではなく、この2人のマイペースに付き合わされる周りの方であるが。


自分が見張らねばと思っている時点で彼女が一番の被害者になっているのだが、本人はそれに気付いてない辺りが滑稽と言えるのかもしれない。


「でも……これだけ騒いで何の反応もないのもおかしな話ですね」


「実は誰もいないとか?」


「これだけ物々しい雰囲気でそれはないと思うけど……入ってみりゃ分かるんじゃないかい?」


「ここまでやって気付かれていないなら、いっそコッソリ入って見ましょうか」


ノアの提案に乗り、シャーリー達は極力気配を消して中に侵入する。


そんな中で3人が見た光景とは!?


「はい、ドラゴン様。

アーンしてください」


「うむ、あーん……むぐむぐ。

姫に直接食べさせてもらう料理はどのようなものでもこの世で一番の味になるな」


部屋の中でイチャつく明らかに姫様という豪華なドレスを着た高貴な女性と、褐色の肌に頭に生えた角と腰にから伸びる尻尾が特徴的な青年の姿であった。

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