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魔物の天敵達

カリス達がサリトンの街にとどまって修行に専念する事を決めた時、シャーリー達は最初の出発点である神の島に戻っていた。


理由は単純で用意していた調味料類が乏しくなって来たからである。


特に塩の消費が激しいために取りに戻ったと言うわけである。


そんなに簡単に戻れるのかと言う疑問もあるかもしれないが、彼女が脱出する際に使われた船は只の船では無かった。


この船は何と神の祝福により空を飛ぶことが出来る飛空艇の機能を有している。


シャーリー達の拠点として欠かせない機能なのだが、人前で空飛ぶ船を出すというのは良くないということで、目的の街の近くで降りて徒歩で街に向かっていた。


その後に船は自動で神の島へと戻り、ノアの意思によって迎えに来てくれる……何処までも便利な存在なのである。


そんな便利な船で島に戻って来たのだが、目に見えた変化があった。


魔物の姿が一切見えないのだ。


船が降り立ったのはシャーリーが一番最初に降り立った場所で弱い魔物しかいなかった。


しかし、幾ら弱いからと言っても絶滅することは無かった筈である。


一体何があったのか?


少し時間を巻き戻した島の様子を見てみよう。


♢ ♢ ♢


神の船が置いてあったドラゴンの巣の中では連日ドラゴン達が宴を開いていた。


※ここからの会話はドラゴン達の会話を言語化したものです。


「あの女が居なくなってようやく平和になったな」


「この島の恩恵のお陰で直ぐに復活できるとは言え……あれだけ執拗に毎日狩りに来るなどあり得ぬわ」


「小うるさい子供の姿をした爺も居なくなった事でようやくこの島にも平和が訪れたな」


「全く全く。

実にめでたい!!」


宴の様子をよく見てみるとドラゴンの足元には様々な魔物が集まっている。


ドラゴンにめでたいからお祝いだと誘われた他の魔物達もこの地に集まっていたのだ。


彼等は安堵していた……この島の頂点に立つ存在がいなくなった事に。


そう……言わばシャーリーはこの島に住まうすべての魔物にとって天敵と呼べる存在であった。


その天敵がいなくなったのである。


彼等の浮かれぶりは推して知るべきであろう。


だが、彼等は知っておくべきであった……天災は忘れた頃にやってくることを。


見張りをしている魔物から神の船が戻って来ていた事は報告を受けていた。


その度に警戒していたのだが、何度も無人であった事から魔物達もこの島を停留所として利用しているという事を理解していたのだ。


その為に生まれた油断……というにはあまりに致命的であった。


「あれ?

こんなところに全部の魔物が集まってる。

……ボーナスステージ?」


「今までこんな事無かったんですけどね。

やはり管理者である自分が離れた事が影響しているのでしょうか?」


唐突に広場に響いた声に魔物達の身体がビクッと跳ね上がる。


認めたくは無かった……しかし、現実は認めなければいけない。


全員がゆっくりと顔を動かして声のかかった方を見る。


「折角なのでいただきます」


そこには手を合わせて何かに礼をする『天敵』がいた。


「僕も久しぶりに運動しようかな。

ここなら僕の領域だから力を出しても問題ないし」


否……『天敵達』がいた。


彼等は天を仰ぎ神に祈りたい気分であったろう。


だが、それは出来ない……だって祈るべき神様が目の前で捕食者の目をして自分達を見ているのだから。


その後の彼等の様子を書くのは野暮というものであろう。


調味料の補充に加えて大量の素材を手に入れてホクホク顔で神の船に乗り込むシャーリーの姿があった事だけは報告させてもらおう。

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