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勇者の重責

サリトンに来る前は文句を言っていたマリアとカリンであるが、蓋を開けてみると豪快すぎるところはあるが2人の好みの街であった。


カリス達は朝から魔術士ギルドの鍛錬に付き合い、狩りという名の魔物退治にも同行する。


夜は倒した獲物を解体して素材やお金をもらいつつ、その獲物を使った料理を頂く。


今までの旅では困っている村人や街の人たちを助け、感謝されるものの祭り上げられて否応なしに自分たちが勇者とその仲間たちと実感させれることばかりであった。


しかし、この街では自分たちを対等の仲間として扱ってくれて特別扱いが一切ない。


3人は余計な柵を感じず、旅の中で初めて自分という者を実感できた瞬間でもある。


特に3人はシャーリーを失った日からがむしゃらに旅を続けていた。


犠牲になってしまった彼女の為にも早く魔王を倒さなくてはと思っていた。


しかし、その焦りが最近は彼らを空回りさせていた。


戦闘の連携も上手くいかず、強行軍の疲れで身体も上手く動かせない。


全員がこれではいけないと思いながらも先に進まなければと焦燥感に駆られる悪循環に陥っていた。


だが、この街に来て魔術士ギルドの人達と交流した事で彼らはそのプレッシャーから解放されていた。


そのお陰か随行させてもらった狩りでも上手く立ち回ることが出来たのだ。


カリスは与えられた寝床のベッドに潜り込んで考える。


前回立ち寄った名もなき村。


強行軍で村にたどり着き、飯の準備をしている煙をモンスターに襲われていると勘違いしてしまった。


そのせいで更に速度を速めて村に向かったが、結局は勘違いだということが分かった。


だが、本当に魔物に襲われていたらどうなっていただろうか?


疲れ果ててヘロヘロになっていた自分たちで本当に村を救うことが出来たのだろうか?


無駄死にに終わっていたのでは無いだろうか?


全てもしもの結論が出ない話……考えても仕方ないと思いつつも考えずにはいられない。


その判断ミスのせいでまた仲間を失う事になっていたかもしれないのだから。


「急ぎすぎたのかもしれないな」


シャーリーが楽しみにしていて来たがっていた街でそのことを教えて貰ったのは、行方不明になった彼女が自分たちを導いてくれているような気がした。


起きたら仲間達と相談してこの地で足場を固めるよう提案しよう。


そんな事を考えながらいつしかカリスは眠りについていたのだった。


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