表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/85

天才魔術士の指導

シャーリーが鍛えると宣言してから1週間の時間が経った。


この1週間にふらりと何処かに出かけては戻ってきてはテントに戻るという生活をしている2人にダルダリオンはヤキモキしていた。


ちなみにテントは魔術ギルドの庭に建ててあるため、2人は変人としてギルドでそれなりに有名になっている。


その評判もあってもうそろそろ2人に話しに行ったほうがいいのでは無いか?


そう思っていた所にシャーリーとノアが訪ねてきた。


「今すぐギルド所属の魔術士を集めて」


「はぁ……」


「ああ、すいません。

今から修行をつけるのでギルドで戦闘を担当する人達を呼んで欲しいんです」


簡潔すぎるシャーリーの言葉に慌ててノアが注釈を入れる。


「なるほど、分かりました!」


こうしてダルダリオンの号令でギルドの魔術士が集められることになった。


♢ ♢ ♢


「おい、一体何だってんだ?」


「知らん。

ギルド長が動けるものは全員中庭に集合しろと」


俺は魔術士ギルドに所属する下っ端のヌゥバ。


同僚で同じく下っ端のホイヤと共に中庭に向かっている。


同じように中庭に集まった面々は全員がギルドでの立場が底辺の者達しかいなかった。


それもそうだろう……俺たち下っ端の仕事は集団で組んで近隣の魔物を駆除することにある。


ところが、最近周りの魔物達に魔法抵抗を持つものが多くなってきて俺たちでは歯が立たなくなってしまった。


元々魔術師は頭の回転が早い奴が多いから事務仕事は満員。


近隣の魔物に勝てない俺たちは毎日仕事をクビになるんじゃ無いかと怯えながら暇を持て余していた。


そんな中でのギルド長からの突然の招集……内心では全員が来るべき時が来たかと落胆していた。


だが……


「こちらが希代の天才魔術士シャーリーさんだ。

今日から君たちが強くなった魔物と戦えるように鍛えてくださることになった」


「どうも、シャーリーです」


「助手のノアです。

お姉ちゃんは言葉足らずなところがありますので足りない部分は僕が説明しますね」


名前は知らないが見たことのある女と子供がそこにいた。


スタイル抜群の美女とこの地方では珍しい黒髪の美少年。


1週間ほど前から何故か中庭にテントを張って暮らしている2人組だ……目立たない訳がない。


そんな女性の方をギルド長は天才魔術士だと説明した。


確かに彼女からはただならないオーラを感じる。


それにフラッと街の外に出ては魔物を倒して持ち帰ってきたという話も聞く。


中には彼女が自分より遥かに大きなカメの魔物……タードラゴンを担いでいたなんて話をする奴もいたが、そいつは酒飲みと虚言が有名な男だ。


タードラゴンを倒したところまでが本当なのだろう。


この話の一番大事なところはタードラゴンをこのシャーリーという女性が討伐してきたという事実である。


この魔物は今まではその硬い甲羅で物理攻撃を防ぐものの魔法への耐性が皆無だったことと、動きが鈍重だったことから俺たち魔術士のカモだった。


しかし、最近はその甲羅で魔法を反射するするタイプが現れ始めたのだ。


その新種はどんどんと数を増していき、今では殆どのタードラゴンが魔法を反射してくる。


そんな魔物を1人で倒してきた天才魔術士の指導とはどんなものだろうか?


俺たちは内心でとても期待していた。


これでクビにならないどころか実力を上げて上位者になれるかもしれないと。


そんな期待に満ちた目を向ける俺たちに対して彼女は言った。


「先ずは基本のジョギングから始めましょう」


と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ