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幼馴染の男の子は引きこもりで放課後部屋扉越しに雑談してます〜目標は部屋に入ること〜

作者: 翔丸

「結弦、来たよー」


目の前の『ゆづるるーむ』と書かれたプレートの掛けられた扉の前で、私は部屋の中にいる相手に声を掛けた。


『…………。』


しかし、返ってきたのは沈黙、反応なし。

これは何かに没頭しとるなアイツ。

何かBGMが大音量で聞こえてくるし、これは………ゲームかな。


仕方ない。

ご近所の皆さん、耳を塞いでください。


「すぅ…………ゆづるーーーー!!気づけアホーーーー!!」


部屋に向かって全力投球で大声を出した瞬間、中からドタン!と落ちる音がした。

いたのはベッドか。

痛いよねぇ。まあ、当然当然。ビックリさせるために出したんだから。


「結弦、戻ってきた?戻ってきたなら返事お願いしまーす」

『は、はーい、気づいた。扉前にいるよ…イテテ』


今返答をしたのが部屋の主であり私の幼馴染の白坂結弦しろさかゆづる

外見は……すいません、分かりません。


何せ、引きこもり始めてから結弦の姿を見たことがないので。


SSレアキャラくらいの確率の低さでちょっとだけ扉を開けてチラッと見てくる事があるけど良く見えなかった。

でも、痩せ細っているということはないかな。これは断言できる。

朝料理作ってあげたりしてるし、


兎にも角にも結弦は部屋から出てこない引きこもりというわけ。


「もぉ、大音量でゲームやってたらご近所迷惑だから下げる」

『そ、それは茜だっ…』

「何か?」

『いえ、すいません』

「じゃあ早く下げるべし」

「はい」


結弦が返事をした次の瞬間に音量が小さくなっていく。

偉い偉い…って何様ですか私!


「あ、そうだ。結弦、良い物持ってきたよ。劇場版第三章の主題歌のCD」

『ホントに!』

「本当にしかも期間生産限定、見てみ」


私は学生鞄から期間生産限定版CDを取り出して扉の前にチラつかせる。

カ…チャとゆっくり扉が片目で覗き見る数センチ程だけ開いた。


「おお!」

「ふふ、聞きたい?」

「聞きたい」

「じゃあ、部屋に入れて」

「やだ」


そう言って結弦は数センチの扉の隙間を閉じた。


「チッ」

『今舌打ちした!』

「え?してないけど。怖いこと言わないでよ結弦。あはは」

『ははは……茜―――ね』

「私が…何?」

『ひえ!?あ、茜もそういうの怖いんだね、って』

「当たり前」


まったく。今ので誤魔化せてると思ってるのか扉向こうの引きこもり男子は。

何が茜は怖いねよ。


怖くないもん。


「とりあえずこれ、受け取ってよ」

『部屋には入れないから』

「それもういいよ!早く私も聞きたいし」

『え!い、いいけど…その、それだと扉越し聴こえにくいぞ』


「そこは少し扉開けてよ。嫌なら保険として通販で買った鎖で入れないようにしていいから」

『何で知ってるの!?』

「秘密」

『怖い』

「何か言った?結弦くん」

「いいえ」


私は数センチ開いた扉の隙間からCDを差し出して結弦に渡した。


さて、なぜ私が部屋に入らないのか、ううん、入れないのか。ここまで来れば分かると思うけど、単純に結弦が入れてくれないから。

典型的な引きこもりの真骨頂――家族でも誰でも部屋に絶対に侵入させない、を発動させているからなんだよね。


まあ、でもこればかりは仕方ないから隙をついて自然に会話に入れ込むんだけど、これが上手くいかない。

何とか隙間程度開けてくれる迄は出来たけど。部屋はまだまだ遠い。


「よし、結弦ミュージックスタート!」

「うん!」


結弦の部屋のプレーヤーから曲が流れてきた。

それから5分4秒後、主題歌が終わった。


「どうだった?」

「せつない感じなんだけど歌詞が愛に溢れてるなって思った」

「そうなの。このアーティストさんの表現力が私好きで買ってきちゃったんだ!」

「あ、俺にじゃないんだ」

「結弦には通常版買ってきたから」

「ええ」

「露骨に嫌な声出すな。私三回観に行ったんだもん」

「そっか…完全にアニメはまったね茜」

「影響元がそれ言うの」


そう言うと、嬉しそうに笑いだす。

まったく。


そうだ。申し遅れました。

私は星野茜(ほしのあかね)と申します。

高校2年生です。部活は入ってません。いわゆる帰宅部。


放課後はこうして引きこもり幼馴染くんの部屋の前に来て……雑談ですかね、主に。


一応バイトもやってます。誰かさんの影響でアニメに填ってしまい、映画とか複数回行きたい場合の為などに働いてるのです。 でもオタクではないかな。保存用とか買わないし。

あとは服とかスイーツとかかな。


特に下着。最近また大きくなったからホックが壊れたんだよね。


「はい、茜返すよ」

「ん、ありがとう。じゃあはい通常版」

「おお、ありがとう」

「どういたしまして」

「何かお礼できれば良いんだけど」

「別にいらん」

「ひ、酷い!」

「じゃあ部屋入れろ」


そう言って瞬間扉閉めやがった。


「い・れ・ろ♪」

『い・れ・てみたいな言い方してるけどお願いじゃなくて命令だよね』

「チッ」

『また舌打ち!』

「またって何かしら?」


結局、部屋には入らせてもらえなかった。

こんな感じで、引きこもり幼馴染男子と雑談したりしてます。


はぁ、別に外に出す気なんてないのになぁ。


私は結弦にちゃんと会いたいだけ。

会って、隣で雑談して、動画見て、感想言い合って…つまりその……イチャイチャしたいだけ。


髪も伸びてるだろうし、部屋に誰にも入れないから絶対どこかしら埃被ってるかもしれない。

掃除したい、結弦の髪切りたい。


私は結弦が好き。


だから、いつか絶対に部屋に入ってやるんだからぁぁぁぁ!

どうも、翔丸です。

この作品を読んでくださりありがとうございます。


この作品良かったと思った方は評価、ブックマークしてくれると嬉しいです。


茜「し・て・ね」

結弦「〜〜〜〜〜!」(ガクガクぶるぶる)

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