8話 隠し通路と怠惰な娘
今日の2回目投稿です。
7.5話もありますが読まなくても繋がるので大丈夫ですが、先に7.5話を見て頂けると幸いです。
今回は会話回です。
会話ばかりですがお楽しみ下さい。
高木さんを探さていると声が聞こえた。
「いやだ、離して!!」
不味い襲われてる!!
声がした方に急ぐ。
すると高木さんがゾンビナイトに手を掴まれて、食われそうになっていた。
俺は全力で近づきゾンビナイトの首を剣で切り地面に落とし、高木さんに聞く。
「高木さん!!大丈夫!?」
「横田君………」
高木さんの顔を見ると泣いていた。
「よこたくん、わたし、こわかった。」
高木さんは怯えていて俺の服の裾を掴んできた。
「高木さん。もう大丈夫。とにかくダンジョンを脱出しよう。」
「うん」
「とりあえず何処か落ち着ける場所を見つけないと。おい、おい、起きろ。おいってば。」
「ふにゃ〜?なにさ〜せっかく気持ちよく寝てたのに〜」
「寝てたのに〜じゃない!少しの時間でいい、落ち着ける場所は無いか!?」
「ん〜?無くは無いよ〜?」
「何処だ!?教えてくれ!」
「え〜とね〜、このダンジョンのボス部屋?の前だよ〜。」
「んな所に行けるか!!何処か近くで無いか!?」
「ん〜。無いかな〜。」
「くそ、そう簡単には行かないか。」
少し落ち着いたのか目を赤くしながら高木さんが聞いてきた。
「ねえ、横田君。その子、誰?」
「それは俺にも分かんない。とりあえず何処かに隠れないと。」
「確かにね。でも隠れられるのはボス部屋前にあるセーフティルームしか……」
「ん〜?もしかして隠れたいの〜?」
「そうだよ。さっきからそう言ってるだろ。」
「違うよ〜。さっきは落ち着ける場所はないかって聞いてきたよ〜?でも隠れられる場所ならあるよ〜。」
「それを先に言え!!何処だ!?」
「あっちあっち〜。」
俺達はモンスターを警戒しながらも俺が背負っている子のが言うとおりに進んだ。
すると先程俺達がハルパスドッグと戦ったルームに戻って来た。
「おい。戻って来たぞ。」
「ここでいいんだよ〜?」
「いや、良くねーよ。俺達は隠れたいの!!」
「分かってるって〜。え〜と、ここをこうして〜。」
俺が背負っていた子が降りて床を少しイジると、
ガコン
そんな音がして床の一部が開いた。
「「は?」」
俺と高木さんは今間抜けな顔をしている事だろう。
何せ本にも乗っておらず、騎士団も知らない隠し通路があったのだから。
「ここはね〜。場所さえ知っていればいろんな所に隠れられるんだよ〜。」
「なっ、隠し通路なんて本には乗ってなかったぞ。」
「当たりじゃん〜。私達しか知らないんだから〜。リクって意外とバカ〜?」
少しカチンと来たがスルーする今はそれどころでは無いからな。
「バカは余計だ。よしひとまずここに隠れるぞ。」
「そうね。確かに早く離れないと。」
「リク〜」
「ん?なんだ?」
「ほらおぶって〜。」
「これぐらい歩け。」
「ええ〜。そんな事言って良いんだ〜。複製カード解除しちゃうよ〜。」
「お前に解除できる訳がないだろ。」
「出来るよ〜。複製カードは同意がないと出来ないから同意しないって思えば消えるよ〜。」
「それを先に言え!!はあ、とりあえず一番奥まで行くぞ。」
「ええ、分かったわ」
「は〜い」
俺はこの名前も名乗らない子を背負って隠し通路を歩く。
さいわい、俺と高木さんが立ったまま移動出来る程の空間があった。
「結構奥まであるんだな。」
「そうね。こんな隠し通路があるのに今まで誰も気付かないなんて驚きだね。」
確かに高木さんの言う通りだな。
こんな大きな隠し通路があるのに誰も知らないなんておかしいな。
「あ、そういえば〜、この隠し通路歩くと出るまで一時間以上かかるよ〜。」
「だ・か・らそういう事は早く言え!!」
「ごめん〜。わすれてた〜。」
俺が背負ってる子は悪びれる様子も無く言う。
「言うかこの子の名前は?私まだ知らないのだけれど。」
「俺も知らない。」
「?横田君も?名前も知らないのにどうしたらこうなるの?」
「いや、こいつに『僕を養ってくれたら助けてあげるよ?』て言われたから、養うから助けてって言ったらこうなった。」
あれ?
何か言っててヤバイやつに見えてくるのは俺だけだろうか?
「横田君ってヤバイやつなのね。覚えとくわ。」
「自分で言ってて思ったからそれ以上言わないで。て言うかお前そろそろ説明しろよ。」
「説明〜?何の〜?」
「お前の名前とか、何でダンジョンに居たのかとか、何でお前が俺の職業について詳しいのかとか、この隠し通路の事とか色々とあるだろうが!!」
「ええ〜、面倒くさいよ〜」
何かこいつと話してると毒牙が抜かれるな。
「はあ、なら少しづつで良いから教えろ。まずお前の名前は?」
「ええ〜とね〜。私の名前は………」
「私の名前は?」
「すうすう」
「おいこら寝るな、起きろ。」
「う〜んもうちょと」
「何がもうちょとだよ。話してる途中で寝るやつがあるか。起きないなら置いてくぞ。」
「わかったよ〜。まったく〜リクは仕方ないな〜」
「何が仕方ないのか教えて欲しいがまあ良い。それでお前の名前は?」
「私の名前〜?私の名前は………レネンスだよ〜?」
「ふ〜ん、レスンスね。意外と普通の名前なんだな。」
俺は特に疑問には思わなかったが高木さんは疑問に思ったらしい。
「レネンス?」
「うん〜。そうだよ〜」
「レネンスってもしかして、」
「高木さん?」
「いえそんなわけ無いわよね。ごめんなさい、何でも無いわ。」
「それで他に聞きたいことわ〜?」
「ああそうだった。次は何でダンジョンの中に居たかだ。」
「それはね〜。よく分かんない〜。」
「よく分かんない?そんなわけ無いだろ。」
「本当本当〜。目が覚めたらここにて、リクが見えてカード使いって分かってね〜この子なら養ってくれそうだな〜って思って〜。」
「いやあのなダンジョンに目覚めたらいたとか、説明になってないだろ。」
「仕方ないじゃん〜。ありままに言ったよ〜。」
「はあ、じゃあ次だ。」
「あっ、待って」
「ん?何?」
そこで高木さんが聞いてきた。
「横田君がカード使い?カード使いじゃなくて?」
「ああ、こいつが言うにはな。」
「それ、どういうこと?」
「分からん、丁度良い。そのことを聞くか。でどうなんだ?」
「え〜面倒くさい〜。」
「地面に叩き落とすぞ。」
「分かったよ〜。話すから止めて〜。リクがカード使いなのはね〜。カード制作やカード開放を戦闘で使ってたからだよ〜。」
「「はあ?どういう事だよ(なの)?」」
「つまりね〜、カード使いにしかカード制作とカード開放、ついでに言うと複製カードは使えないってことだよ〜。」
「なるほど分かったような分かんない様な。それで?」
「それで〜?」
「他に何で俺がカード使い?って言うのだと思ったんだ?」
「他はね〜ないよ〜」
「無いのかよ!?」
「そうだよ〜。カード制作を使えたらカード使い使えなかったら、カード使いだよ〜。」
「そ、そうか。」
こいつは俺がカード使いでは無かったらどうするつもりだったのか。
「ん?それならカード操作はカード使いでも使えるのか?」
「そうだよ〜」
「ふ〜ん。」
一応外ではカード操作だけを使うか。
「じゃあ次だ。何でこの隠し通路を知っている?」
「それはね〜。たまたまだよ〜。」
「偶々ってそれで納得するとでも思ってるのか?」
「…………」
急にレネンスが黙り込む。
「ん?レネンス?」
「…………」
レネンスからの返答はない。
ハッ!!
まさかいつの間にかモンスターにやられて俺達を心配させまいと我慢していたのでか!?
「おい!おい!どうした!?高木さん、悪いけどレネンスの様子を教えてくれる!?」
「え、ええ。分かったわ!!え、これは!?」
「高木さんどうしたんだ?レネンスは!?」
「そ、それが………」
「それが?」
「寝ているわ。」
俺はコケてレネンスを落としてしまった。
その拍子にレネンスは起きた。
「なにさ〜。急に落とすなんてひどいじゃないか〜?」
「ひどいじゃないかじゃない!急に黙るからビックリしたじゃないか!」
「ええ〜、もしかしてリク心配してくれたの〜?」
レネンスはニヤニヤしながらこっちを向いている。
そのニヤけづら気に入らないが心配したのは本当だし、仕返しに少しからかうか。
「当たり前だ!まだダンジョンを脱出してないのに急に黙るからいつの間にかモンスターにやられて我慢していたのかもと思ったぞ。あんまり心配をかけるな。」
そう言って出来るだけ優しい顔でレネンスの頭を撫でる。
そうすると面白い程、レネンスは顔を真っ赤にしてつぶやいた。
「ご、ごめんなさい。」
それが面白くて笑ってしまった。
するとレネンスがからかわれたと気づき、両頬を膨らませた。
「もうリクには何も教えない〜。」
「あはは、ごめんごめん。でも心配したのはホントだからさ。許してくれよ。」
「むう〜。今回だけだよ〜リク〜。」
「ああ分かったよ。」
「随分と中が良さそうね。横田君。」
何か高木さんが怖いから早く次の質問をしよう。
レネンスを背負い直しながら話した。
「じゃあ移動しながら次の質問を………てっ何かあったけ?」
「それなら私から質問しても良い?」
「ん〜?所で君は誰〜?」
「私は高木 尊、横田君とは同じクラスの同級生だったわ。」
「ふ〜ん」
レネンスは俺の背中で器用に後ろを向いて高木さんを下から上まで見てから言った。
「僕君嫌い〜」
「ええ、同感ね。私も貴方の事が嫌いだわ。」
「あの〜お二人さん?」
「リク(横田君)は黙ってて〜(黙ってて)。」
「は、はい。」
女子二人から黙れと言われたので黙って歩く。
何でこの二人こんなに中悪いんだ?
そんな現実逃避をしている中で高木さんがレネンスに質問する。
「貴方何で自分で歩かないの?それと私の名前は高木 尊よろしくね。」
「それはね〜。リクが私を養ってくれるからだよ〜。僕の名前はさっき言ったけどもう一回言うね〜。私の名前はレネンス、リクが養ってくれるんだ〜。」
「これはご丁寧にどうも。じゃあ私ももう一回、自己紹介しましょか。私の名前は高木 尊。今は横田君の元クラスメイトよ。それと、それは理由にならない。貴方は足を怪我しているわけでもないのでしょう?」
「とりあえず、ミコトって呼ぶね〜。それと歩くの面倒くさいじゃん〜」
二人が俺の背後(レネンスは俺の背中だが)で怖い顔をして話している。
は、早くこの隠し通路終わってくれーーーーーーーーー!!
やっとレネンス(怠惰な娘)の名前が出ましたね。
自分的には安直かと思いましたが意外と良いかな〜とか思ってます。
明日からは午後10の投稿にします。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しいや登場人物にこういう能力を付けて欲しい登場人物の名前等など何でも送って頂いて大丈夫です。
これからもよろしくお願いします。