64話 お祭り騒ぎ
一回投稿出来ずにすいません。
後今回も1分程ですが、オーバーしてしまいした。
サブタイトルが殆どの本編と関係有りませんが、お許しください。
お楽しみいただけると幸です。
外に星空が輝き始めた頃。
クロ達と合流した俺達は『闇の深淵』殲滅作戦の経過を聞いて、とりあえずは本拠地の方は大丈夫だろうと『闇の深淵』の本拠地から引き上げていた。
俺達が『闇の深淵』の本拠地から脱出してスターンの街に戻っていると、あと少しで街が見えてくるかどうかといった辺りで、クロがシロさんに言った。
「そろそろ街が見えて来ても可笑しくはない距離だ。何時ものを付けるのを忘れるなよ?」
「はい、分かっています」
シロさんはそう言うと、神官服の中から真っ黒なフード付きのマントを取り出して上からすっぽりと被った。
マントはシロさんの体を完全に隠して、マントの上からでは服装も見えないくらいだ。。
因みにフードは被っていない。
クロもシロさんと同じ様に、真っ黒なフード付きのマントを取り出して上からすっぽりと被った。
クロもシロさん同様にフードは被っていていない。
俺は一体何をしているのかと、クロ達に質問した。
「クロ達は何をしてるんだ?」
クロは俺の問に、マントをひらひらさせながら答えた。
「ああ、これには幾つか魔法が付与されていてな。特に便利なのが『認識阻害』が付与されている事だな。なんて言ってもどれだけの人に見られようが、顔を覚えられる事が無い。これのおかげで俺達は街に普通に出れるんだ」
「へ〜、でも顔を覚えれると不味いのか?SSランククランなら顔を覚えられるのも日常茶飯事だろ?」
俺がそう返すと、クロは首を横に振って答えた。
「前は素顔で出歩いていたんだが、あまりにも呼び止められたり、囲まれたりする事が多くてな。本当に面倒くさかった」
「へ、へ〜、大変そうだな。・・・あれ?『認識阻害』がかかってるならなんで俺達は普通にクロ達が分かってるんだ?」
「ああ、それはこのマントに付与された『認識阻害』の効果で『認識阻害』を発動する条件がフードも被る事だからな。フードを被られなければ、話しているやつなら普通に反応ぐらいはできる。まあフードを被れば反応出来なくなるけどな」
俺はなるほどと納得した。
だが、他に気になる事があった。
「今街に帰ってるのに、そんな格好で中に入れるのか?」
「ああ、ギルドカード出すから大丈夫だ」
「あ、そっか」
俺達がそんな話をしていると、街が見えて来た。
しかし何故か街がかなり明るい。
いや何時も明るいのだが、今日は街の外から見ても人が外に出ていると分かるし、なんか騒いでいる。
何故?
俺がよく分からないと言う顔をしていると、クロが説明してくれた。
「『闇の深淵』は大陸を悩ませてた2大組織の1つだぞ?今までは分からなかったとは言え、その本拠地がこのスターンの街に有ったんだぞ?それが消えたんだ。そりゃあお祭り騒ぎだろ?」
確かにいわれてみればそうだな。
俺が納得していると、スターンの街の外にギルドマスターが立っているのが見えた。
俺がキークスを認識したタイミングでクロが言った。
「お?ギルマスが居るな。それなら街の門まで『転送魔法』を使おうか。」
クロはそう言うと、左手の手の甲をしたにして前に出した。
「『来い』」
クロがそう言うと、「ブォン」という音をたてて真っ白な丸い玉が現れた。
俺達がその光景に驚いて居ると、クロが魔法を発動させたのか足元に白い転送魔法陣が出て来たのに気が付いた。
そして次の瞬間には目の前に、スターンの街の門があった。
「ふぁ?」
俺が間抜けな声を出すと、クロが「くくく」と笑いながら言った。
「なんだよリク、その間抜けな声は。ほらキークスの街に着いたんだ。ゆっくりしてる暇は無いぞ?」
「え?何をいっー」
「おお!!お前達、やっと帰って来たか!!待ちくたびれたぞ!!」
俺がクロにどう言う事か問い詰めようとするよりも早く、ギルドマスターが俺の肩を掴んだ。
そしてギルドマスターは満面の笑みで言った。
「ありがとうリク!!お前のお陰で家族が見つかったんだ!!他の奴らもお礼も兼ねて冒険者ギルドスターン支部を上げてお祭りだ!!朝まで寝かせないからな!!さあ、行くぞ!!」
「え?ちょと待っ、って力つよ!?」
俺をギルドマスターに抵抗していると、クロはこれまでの中で1番良い笑みを浮かべて言った。
「言って無かったけど、今スターンの街ではお前達英雄だから。頑張って祀られる事だな。じゃあ後はギルマスに任すわ。報酬はリク達に報酬が出てからでいいから」
クロはシロさんをと一緒に門番にギルド証を見せて街の中に入った。
クロ達は中に入ると、俺の方を振り返り「ニヤリ」と笑って手を振った。
クロはこの事を知ってたのか!?
だから俺達に、『心の準備をしておけ」と言ったのか!!
俺が密かに戦慄しながら、何とかギルドマスターを宥めようとしていると、キークスが街から出て来た。
俺は天の助けだと思いキークスの方を見ると、キークスは苦笑いしていた。
「あ〜、言いにくいんだがらこの街の他の重鎮にも家族が攫われた人が何人か居てな。そいつらも家族を無事に助けられたから、かなりお祭り騒ぎなんだ。だからお前達が、祀られて熱を冷ましてくれ」
「!?ちょと待ってくれ!!祀られる!?一体どう言う事!?」
俺がギルドマスターに連れて行かれそうになるのを何とか耐えながら、キークスに聞くと少しため息をついて答えた。
「『闇の深淵』殲滅作戦終了から、今は2日経っているからな。各冒険者ギルドに設置された緊急移動用の転送魔法陣の使用が許可されなければ、まだお祭り騒ぎにはなって居なかっただろうがな。しかも使用して良い理由が、『各ギルド本部付きの冒険者が今回の事件の解決にかかわった』からと正式発表された。
この正式発表を受けて今日の朝から各地でお祭り騒ぎだ。もうお前らが祀られるしか、このお祭り騒ぎを収める方法は無いだろう。だから俺達の為の人身御供になってくれ」
俺はキークスの言葉を聞いた瞬間、死んだような顔をしていたらしい(後日尊談)。
俺は思考を放棄しようとして「ハッ」とキークスの言葉の異常性に気が付いた。
「『闇の深淵』殲滅作戦終了から2日!?どう言う事!?」
俺がそう叫んだ事で、尊達も気が付いたのか驚いた顔をしている。
キークスが俺の叫びに驚きながらも答えた。
「お前達が『闇の深淵』によって何処かに転送させられたらしい事を、『墜ちた旅団』のメンバーに聞いてな。
それは不味いと思って、俺とギルドマスターは探そうとしたが『墜ちた旅団』が『リク達は俺達が探すからお前達はこの街に居る『闇の深淵』に捕らえられて奴隷にされた人達を解放しておけ』と言われたんだよ。で『墜ちた旅団』が調べた限りだと、『今日のこの時間辺りに逆転送されて戻って来そうだ』と言われて、ギルドマスターは3時間前くらいからここで待ってたんだよ」
俺はよく分からない単語が出て来たので、キークスに質問した。
「逆転移?」
「ん?ああ、逆転送を知らないのか。逆転送は『転送魔法』の応用技で、時間を予め決めておいて転送魔法陣にその時間を書き込む。そうすれば書き込んだ転送魔法陣が壊されない限り、時間通りに帰って来れる。まあ転送魔法陣の大きさは、帰りの転送魔法陣も書き入れる為に通常の2倍になるから、かなりの術者じゃないと成功しないけどな」
俺がそうなのかと納得していると、キークスが俺の肩に手を置いた。
俺が不思議に思って居ると、可愛そうなものを見る目で俺を見て言った。
「だからお前達に感謝したい連中は、言い方は悪いが2日もお預けを喰らった状態だ。明日の朝までには終われる様に注意はしたが、多分無理だ。だから俺は布団の中で応援してるぞ」
「え?何ー」
俺が「何が?」と言おうとした時、門の中から人が出て来ながら叫んでいるのか声が聞こえてきた。
「あれが『闇の深淵』を潰した冒険者達か!!冒険者様ーーーー!握手してくだいーーーーーー!!」
「馬鹿野郎!!冒険者様達と最初に握手するのは俺だ!!冒険者様ーーーーーーー!!!!!」
「何を言っておる!!儂が始めに冒険者方と握手と酒盛りをするんじゃ!!邪魔をするな!!」
等など、他にも様々な声が聞こえたが割愛する。
俺は即座に理解した。
これはさっさと逃げないと不味いと。
俺が焦りから冷や汗をかいていると、ギルドマスターが俺達と門から出て来ていた人達の前に立ちはだかった。
俺はこの時、初めてギルドマスターに感謝した。
だが次の瞬間、その感謝は無くなった。
「何を言っている!!リク達は冒険者ギルドで酒盛りをするんだ!!それに最初握手をするのは、俺の娘だ!!邪魔はさせんぞ!!」
俺はこの時、クロが言っていた事を正しく認識した。
クロが『心の準備をしておけ』と言ったのは、『今日は確実に寝られないし、かなり疲れるだろうから頑張って』だろう。
こんな事ならクロ達に功績を擦り付ければ良かったかと、俺は本気で後悔した。
この後は街が完全にお祭り騒ぎになっており、しかも街の人1人1人が俺達に声をかけてきて、10m歩くだけでも1時間は要した。
屋敷についてゆっくりと出来たのは街についてから2日後の事だった。
◇クロ視点(スターンの街到着同日)
「クロ様、あれで良かったのですか?」
俺達は『認識阻害』が付いたマントを羽織って、スターンの街に入り街の本通りの1つだが、食事処が少ない為に他の本通りよりも多少は馬鹿騒ぎがマシな通りを歩いていた。
「何がだ?」
俺はリク達に『闇の深淵』壊滅の功績ー言い換えるなら1番美味しい本拠地の壊滅の功績ーを何の対価も無く渡した事についてだろうと、考えつつもシロに聞いた。
するとシロは案の定、俺の予想通りの答えを返した。
「『闇の深淵』本拠地壊滅の功績を与えて良かったのですか?」
「ああ、問題無い。俺達が居なくても、スターンの街の近くに有る木を使って出入り口を塞ぎ、全員で1つの出入り口から攻めれば難なく今回と同じ結果になった」
俺がそう言うと、シロは少しだけ不機嫌そうに言った。
「ですが今回『闇の深淵』本拠地を壊滅させたのは、クロ様の力が有ってこそです。我らはクロ様が讃えられるのなら、例え讃えるのが蛆虫共だろうと、喜びですのに」
「まあまあ、そう言うなよ。流空達にはもっと成長して貰わないといけないんだから、これくらいの功績は有ったって困らないだろ?」
「分かりました」
シロは若干不服そうな顔をしていたが、なんとか納得した。
そんなシロだが、次の瞬間には見る人全てが惚れてしまいそうな笑顔になって言った。
「それにしても、レネーレ王国に仕掛けた嫌がらせがやっと発動しましたか。私の予想では1年以内に発動すると考えて居たのですが、何気に耐えましたね」
「それは家臣が優秀だったんじゃないか?王家だけなら半年でどれか1つが発動して、他も連鎖的に発動したろ?」
「むぅ〜」
俺が何気に家臣が優秀だと褒めると、シロは頬を膨らませて少し拗ねた。
そんなシロに俺は頭を撫でつつ言った。
「ほらそんな顔をしていると、可愛い顔が台無しだぞ?」
「えへへ、そ、そうですか?」
シロは何時も俺の前だとキャラ崩壊するなと考えてつつも、世界を視ていた。
すると俺はある面白そうな事を見つけた。
俺は口を三日月形にしながら、シロに言った。
「シロ、面白いものを見つけた、見に行くぞ」
「はい!!何時までも何処までもお供します!!」
シロがそう言った瞬間、アオ(『認識阻害』のマント着用)と広範囲遠距離攻撃担当(女、『認識阻害』のマント着用)が『転移』でシロの後ろに現れてシロを羽交い締めにした。
そして広範囲遠距離攻撃担当が黒い笑みを浮かべて言った。
「ふふふ、シロ?貴方は今からクロ様の側付きとは別のお仕事ですよ?」
「!?今日の私の仕事はまだ、クロ様の側付き担当の筈です!!」
シロがそう反論すると、広範囲遠距離攻撃担当とアオも含めた3人で『シロは私やアオよりもクロ様のプライベートの時間によく当たる運があるのだから良いでは無いですか』や『シロは卑怯』、『2人こそ、たまに抜け駆けするじゃないですか!!今日は私が抜け駆けする番です』と口喧嘩が始まった為、俺は面白そうな場面を見逃せないと3人に内緒で『幻想』と『魔力錯乱』、『転移』のコンボで面白そうな場面を見に行った。
因みにその面白そうな場面の紹介はまた後日。
翌日、俺は放置してしまった3人から涙目で見られ無言の訴えにあう事になった。
どうでしたか?
何か最後の方でクロの番外編みたいになってしまいましたね。
何故でしょか?(自分でもかなり疑問)
次の投稿は2日後の6月21日の午後9時〜11時(基本10時)の予定です。
次回以降ですが、最低2回(恐らく3回以上)は閑話を挟みます。
予定では、黒田達の話とクロの面白そうな場面の話のです。
今後ですが午後11時までに投稿してなければ、その日は無しでお願いします。
その後の予定は、一応後書きで書いている、その時の投稿ペースの予定です。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力や展開、サイドストーリーやキャラが欲しい等など何でも送って頂いて大丈夫です。
送って頂いた物に関しては積極的に取り入れて行きたいと思っています。
ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします。




