60話 【神の世界】
会話回です。
かなり無理な設定が有るかと思いますが、そこには目を瞑って下さい。
お楽しみいただけると幸です。
「ここは言うなれば【神の世界】って所だな」
俺はウェストの言った事を理解する為に、ウェストの言葉を頭の中で反芻する。
ひらがなで【かみのせい】、世界だけ漢字で【かみの世界】、かみを漢字にして【紙の世界】、いやこれは違うだろうな。
それなら【髪の世界】、いやこれも違うだろう。
俺が知ってる残りのかみは、後1つだけ。
それは宗教とかの信仰対象で有ることが多い【神】。
俺はその事を理解するとソファから立ち上がった。
「【神の世界】!?」
俺が叫びながら聞くと、ウェストが俺の反応に少し引きながら答えた。
「あ、ああ。まあ正確に言うなら、放棄された【神の世界】と言ったところだな」
俺はウェストが言った事を疑問に思い、首を傾けて反復しながら聞いた。
「放棄された【神の世界】?どういう事だ?」
「【神の世界】は、神や天使がその世界を管理する為にある別次元だ。惑星1つ1つじゃ無くて、世界1つ1つだからな?あ、惑星つっても伝わらないか?」
ウェストが一旦話を区切り、『惑星』が分かるか俺達に聞いて来た。
なので俺は、『惑星』は分かるとウェストに伝えた。
「ああ、分かるかぞ」
「そうか、それなら話が早いな。じゃあ『惑星』の話は省いて、1つの世界に1つの【神の世界】が存在しているんだが、放棄された【神の世界】は何らかの理由で神や天使が消えた【神の世界】の事だ」
「なるほど。いや、【神の世界】の事はよく分かってないけど分かった。じゃあウェストが外で言ってた、『風や雨が自然に起こり得ない』って言うのは【神の世界】だからか」
俺が1人で納得していると、尊がウェストに質問していた。
「それならこのカップやこのお城の中の武器や防具は、神様や天使が使っていたって事?」
ウェストは尊の質問に首を横に振りながら答えた。
「残念ながら、今ここにある物は全て神様や天使が使っていた物じゃ無い。俺がここに来てから置いた物だ」
尊はウェストからそう聞いて、全身から「ほっ」としたオーラが出ていた。
まあ熱心な信教者では無いとは言え、神様や天使が使っていた物を使うのは心臓に悪いからな。
俺も少し「ほっ」としていると、グラニーが疑いの眼差しでウェストを見ながら聞いた。
「それで?この世界の神様や天使は、なんで消えたの?」
グラニーの問に、ウェストは真面目な顔をして答えた。
「悪いが今はお前達に教える事は出来ない」
その言葉にグラニーは疑いの眼差しのまま返した。
「何故私達に教えられないの?」
その問にウェストはため息をついた。
「神や天使はかなり強い。それこそ倒すなら、倒す世界の出身の人間じゃあ英雄だろうと勇者だろう、絶対に勝てないレベルだ。そんな神や天使が消えた理由を今のお前達に話しても、お前達の足枷になりかねない。だから話せないし、話さない」
グラニーはウェストの言葉を聞いて、諦めたのか他の質問をした。
「貴方今『神や天使を倒すなら、英雄だろうと勇者だろうと、絶対に勝てないレベルだ』と言ったわね。それはどう言う意味?それと、この世界の神や天使と私達はどれぐらいの差があるの?」
グラニーがそう聞くと、ウェストは断言した。
「先にこの世界の神や天使とお前達の差を話すと、強さ的に今のお前達が神や天使に勝つのは、天地がひっくり返ろうと無理だ。お前達がこの世界の神や天使に同等に渡り合うなら最低でも今のお前の2倍は欲しいな」
ウェストはグラニーを指差しながらそう言った。
グラニーは少し難しい顔をしてから、ウェストに視線で続きを促した。
グラニーに続きを促されたウェストは、少し唸ってから続きを話し始めた。
「次に意味だな。まず大前提として世界は無数に存在していて、1つ1つが違う世界だ。そして人間にも貧富の差が有る様に、その世界にも格の差という物が存在している。その為人間が、いや天使と同格以下の存在が神や天使に勝つ為の基本的絶対条件として、相手の神や天使が管理する世界よりも上の格の世界の出身である必要がある。ここまでは良いか?」
ウェストが俺達にそう聞くと、尊が待ったをかけた。
「待って、神様や天使に勝つ『基本的絶対条件』って、つまりそれを満たして無くても神様や天使には勝てるの?」
尊がそう聞くと、ウェストは苦虫を口の中に強引に入れられた様な顔をした。
そして、その顔のまま下を向いて暫く考え込んだ。
ウェストは下を向いたまま、尊の質問に答えた。
「過去に一度だけ神や天使が管理している世界の人間が、同一世界の神や天使を倒す事は有った。だが、それはイレギュラーなんて言葉では片付けられない程の大事だ。その時は他の世界の神や天使さえ出張って来てどんな手を使ってでも、そのイレギュラーを排除しようとした。だから、お前達は知らない方が良い」
「分かったわ。そこは詮索しないわ」
尊がそう言うと、ウェストは頷いてから話を続けた。
「それで英雄や勇者だろうと、自分が生まれた世界の神や天使を倒せないのは、単純にエネルギー量の問題だ。人間が、いや全ての生命が生まれた世界の格によって内包しているエネルギー量が違う。そして、それは世界の格を決めている神や天使にも言える。
神や天使も内包エネルギーが有り、それを上回る事が出来れば倒せるが、天使未満の生命は同一世界の神や天使の内包エネルギーを超えないようになっている。
少し違うが分かりやすく例えるなら、生命は基本的に子供の頃は親の方が強いだろ?そして生命の立場に置き換えると神や天使は生命で言う親の存在、他の生命は子供と言う存在になり、それが変わる事が無い。だから神や天使には勝てないって事だ。分かったか?」
ウェストがお茶を飲みながら、俺達に聞いて来た。
俺はある程度理解したので、多少混乱しながら聞いた。
「え〜とつまり、俺達の世界の方がこの世界よりも世界の格が高いから、一応倒せる可能性があるって事か?」
「ん、確かにそうだな」
俺はなるほどと少し納得しながら、考え事をしていた。
それは俺達の世界の方が格が高いのにどうして、魔物とか現代に現れたらヤバイ奴が居るのかと言う事だった。
恐らくだが、B級以上の魔物になると銃とかも効かない硬さだろうに。
何故だろうか?
俺はあまりにも疑問に思ったので、ウェストに聞く事にした。
「なあウェスト。俺達が居た世界だと人も動物もあんなに強くないし、魔物はそもそも居ないし、魔法も無いんだ。それなのに俺達の世界の方が格が高いのはなんでだ?」
「ああ、それは基準の違いと方向性の違いだな」
俺の問にウェストは簡単に答えてくれた。
だがイマイチ要領を得ない為、俺は聞き返した。
「基準の違いと方向性の違い?どう言う事だ?」
「まず方向性の違いだが、この世界の方向性は戦闘だ。でそれに驚いているならお前達の世界は技術に特化しているんじゃないか?例えば魔法無しで宇宙に行けたり、遠く離れた相手と苦労せずに話せたり、危険な目に遭わずに世界中を回れたり、今言った中で心当たりの有るものは無いか?」
「有るな。多少違う所も有るが、大体は言った通りだな」
俺がそう返すと、ウェストは納得した様に頷いた。
「やっぱりな。お前達の世界は技術に特化してたから、強さが求められて無かった。だから頭の方にエネルギーが回っていたんだろ。でこっちの世界に来たから頭から体の方にエネルギーが回った訳だ」
「じゃあ基準の違いわ?」
「ああ、それは簡単。世界全体が戦闘に重きを置いてるか、技術に重きを置いてるかだな。この世界の強さの最低基準がお前達の世界で言う強者で、この世界の賢者がお前達の世界の賢さの最低基準だと言う事だ。ほら基準が違うだろ?」
「なるほどな」
「で?他に質問したい事は?」
ウェストがそう言ったのを聞いて、俺は何故かある思考に囚われた。
俺は放棄された【神の世界】とは言え、ウェストがある重要な情報を持っているのではないかと思い、質問した。
「なあウェスト。俺達が居た世界、いや惑星は地球って言うだけど、俺達が元居た世界に帰る方法が有るか知らないか?」
「「「ッ!!」」」
グラニーに尊、それに座ってから話半分に聞いていたレネンスも俺の発言を聞いて、驚きの表情をしている。
それは、そうだろう。
なにせウェストとは、今日初めて会った上にまだ会ってから2時間経ってるかどうかだ。
そんなウェストに、地球への帰り方を知らないかと聞くなんて正直馬鹿だろう。
だが俺はここで聞いておかないといけない気がした。
だからウェストに聞いたのだ。
ウェストは俺が質問した事が意外だったのか、きょとんとしてから真剣な顔になった。
「おいリク。お前、今日初めて会って間もない俺にそれを聞くのか?」
俺も真剣な顔になり、ウェストの質問を返した。
「正直に言うと、自分でも馬鹿だと思うよ。でも何故かここで聞かないといけない気がしたんだ。だから質問した」
ウェストは眉をひそめて何かを呟いた。
「『何故か』ね。(これもあいつの仕業か)分かった答えよう。信じるも信じないもお前達に任せる。だがそれを聞けば危険な目に合う可能性がかなり上がる。それでも聞くか?」
俺はすぐに頷こうとしたものの、ある事を思い出し自分にストップをかけた。
「待ってくれ。危険な目に合う可能性があるなら俺だけが聞く」
「「「な!?」」」
俺の発言に尊達が驚きの声を上げた。
だが俺はそれを無視して続ける。
「地球に帰る方法を聞くのは俺の我儘だ。だから危険な目に合う可能性が上がるなら、俺だけが聞く。ウェスト、悪いけど尊達を別室に移動させるか、別の場所で話をしよう」
俺がそう言うと、尊達は俺に抗議してきた。
「ちょと流空!!地球に帰る方法を探すにしても、危険が伴うなら意味が無いわ!!それに地球に帰る方法を探すのが我儘なら、私もリクと地球に帰るっていう我儘を通すわ!!」
「そうよリク。それに今の貴方は、何処にでも居るチンピラにさえも負けてしまうほど弱いのよ。だから地球に帰る方法を探すにしても聞くにしても、危険があるならリクを1人にはさせないわ」
「むう〜、リク〜。僕達を危険から引き離そうとしても無駄だよ〜。リクが〜、危険の中に行くなら〜、僕達も着いていくからね〜」
「そうですね。私が護りきれない事が有ると分かった以上は、1人で過度に危険な真似はお辞め頂けると幸です」
俺はそう言ってくる4人を宥めつつ言った。
「いや、でもこう言うのはリーダーである俺が聞くべきで、危険があるなら俺が背負うべきだろ?」
「「「「そんな事ない(ない〜)(有りません)」」」」
「え〜」
俺はその後も4人を説得しようとしたが、頑なに俺とウェストだけにしようとしなかった。
しかも途中から俺をウェストから遠ざけて、ウェストから地球に帰る方法を聞こうとするから質が悪かった。
流石に俺も引かなかったが、ウェストが止めの言葉を放った。
「はぁ〜、お前達は馬鹿か?地球に帰る全員で聞けば良いだろ?」
結局この言葉で、地球に帰らない可能性も有るイルミも含む、俺達全員でウェストの話を聞く事になった。
俺は姿勢を直すと、再びウェストに聞いた。
「ウェスト、俺達が地球に帰る方法を教えてくれ」
「全くもう少し人を疑えっての。だがまあ俺はそういう純粋な奴は好きだ。だから教えてやる。
お前達が地球に帰る方法は、ある」
どうでしたか?
世界の格やら世界の基準やらを書くとき、かなり苦労して何時もの2倍程時間がかかってしまいました。
次の投稿は2日後の6月11日の午後9時〜10時(基本10時)の予定です。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力や展開、サイドストーリーやキャラ等など何でも送って頂いて大丈夫です。
送って頂いた物に関しては積極的に取り入れて行きたいと思っています。
ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします。
の




