58話 イルミの戦闘
ずっとリク視点です。
因みに今回も戦闘回です。
一応詠唱が有りますが、自分が思った(勝手に考えた)詠唱ですので、変な所も有ると思いますがご了承下さい。
お楽しみいただけると幸です。
俺は男の声で目が覚めた。
「おーい、起きろー。おーい」
俺が目を開けると、まず周りが白い事に気づいた。
その次に目の前に真顔の真っ白な仮面を被った男が立っていた事に、気づいた。
「うお!?お前誰だ!?」
俺は状況を理解すると飛び起きて男から離れた。
男は全身濃い青の浴衣を来ていて、仮面から見える瞳の色は黒だった。
「おいおい、そんなに怖がる事はないだろ?いくら俺でも傷ついちゃうよ?」
俺が男から離れると、男は肩をすくめながらそう言った。
しかし俺も反論がある為、男に話かけた。
「いや、だって起きたら、目の前に真顔の仮面が有るって怖くない?」
俺がそう言うと男は、少し考える素振りを見せて頷いた。
「それは確かにそうだな。とりあえず自己紹介しようか。俺はウェストだ。よろしく」
男は俺に手を出して握手を求めて来た。
俺は警戒しつつ、それに答えた。
「俺は流空だ。それでここは?」
「とりあえず他も起こしてくれないか?今お茶でも持ってくるから」
男が俺の周りを指差した。
俺はそれに釣られて、自分の周りを見た。
すると嫉妬者に捕まっていた尊を含めて、グラニー、レネンスの3人が寝ていた。
俺はそんな3人の姿を見てほっとすると、イルミが居ない事に気づいた。
俺は慌ててウェストと名乗った男に聞こうと振り返った。
「ウェスト、イルミはー」
「おはようございます、流空様」
「うわ!?」
俺が振り返ると横から声がして、目が覚めた時と同じ様に驚き離れた。
そして離れてから、俺に声をかけてきた人物を見た。
それは驚いた事にイルミだった。
「イルミ?起きてたのか?」
「はい。流空様が起きられる前に目が覚めましたので、流空様達が見える範囲で周囲を探索して参りました」
え、探索?
ここが何処かも分からない、この状況で?
いや良い判断なのか?
「流空様、どうかされましたか?」
「え?いや、何でも無い。それで探索した結果はどうだったんだ?」
俺が少し考えているとイルミに声をかけられたので、とりあえず探索結果を聞く事にした。
「はい。周囲にはあちらに見える建物以外はございませんでした」
「建物?」
俺はイルミが指を指した方を見たが、何も見えなかった。
どう言う事だ?
イルミが探索して来て嘘を付くとは思えない。
それならなんで建物が見えないんだ?
俺は周りを見渡していると、奇妙な事に気づいた。
あれ?
そう言えばウェストは何処に行った?
俺がそう考えた瞬間、目の前の何も無い空間(少し離れた場所)から、急にウェストが現れた。
「は!?」
「ん?何に驚いたんだ?それにまだ他を起こしてないのか?」
俺はウェストが急に現れた事に驚き、完全に思考停止していた。
因みに何故驚いたのかと言うと、ウェストが何の前触れも無く現れたからだ。
普通の『転送魔法』ならば転送される場所に、転送魔法陣が現れるのだ。
一応『転送魔法』は練度により、転送魔法陣が現れる時間は短いらしい(グラニー談)が、それでも一切現れないのはありえない。
俺がそんな訳で固まって居ると、イルミが皆を起こしていた。
「皆様、起きて下さい。皆様。・・・仕方ありませんね。『解呪』『解呪』『解呪』。」
イルミが魔法を使うとウェストが関心した様に言う。
「ほう、『解呪』を使うか。何故『アンチスリープフィールド』にしなかった?『アンチスリープフィールド』の方が効率が良いだろうに」
ウェストがそう言うと、イルミは目に警戒の色を浮かべながら答えた。
「貴方が何処の誰とも分からないのに答える訳が無いでしょう」
「ふう〜ん、今のお前は俺を警戒するだけ無駄だとしても?」
ウェストがそう言うと、イルミの体が「ピクッ」と反応した。
そしてイルミは珍しく目に怒気を浮かべて言った。
「それは私が弱いとでも言いたいのですか?」
「そう言ってるのが聞こえなかったか?」
ウェストがそう答えると、イルミは立ってウェストの方に向き直り言った。
「撤回して下さい」
「弱い奴を弱いと言って何が悪い?」
「それなら貴方は私に勝てるのですね?」
「勿論」
イルミの言葉に、ウェストは軽く笑みを浮かべながら答える。
するとイルミの雰囲気が変わった気がした。
「『武具召喚』」
イルミが魔力を体に纏わせながらそう言った、恐らく魔法だろう。
効果は名前の通り、武具を召喚するものだった。
手にはロッドの様な物が握られていて、服はメイド服からローブに変わった。
ロッドもローブもかなりの存在感を放っており、かなりの品だと分かる。
「『結界術』」
イルミがそう言うと俺達4人(俺以外は気絶中)は、半透明の何かに覆われた。
イルミは俺達が半透明の何かに覆われるのを見てから、ウェストに言った。
「武具を出して構えなさい。私は私の全てを守る。誰にも私を弱いとは言わせない」
イルミが杖をウェストと向けると、ウェストは笑いながら答えた。
「その辺りが既に弱いんだがな。まあ良いだろう、『天化』」
ウェストが『天化』と言った瞬間、周りの魔力が可視化出来る程集まり、ウェストの中に入って行っている。
因みに魔力の色は白だった。
少し経つと可視化出来る程の魔力がウェストに入りきると、魔力が可視化出来なくなった。
そしてウェストが顔を上げると、ウェストの仮面の間から見える瞳の色が白くなっていた。
「知らないだろうから教えてやる。『天化』はこの世界で言う職業スキルじゃ無い。いわば『天化』は、才能と努力の結晶だ。この上もまだ有るがお前には、この程度で十分だろ。先手は譲ってやるから、かかってこい」
ウェストがそう言うと、イルミはロッドで無言のまま地面を叩いた。
するとイルミの姿は急に消えた。
しかしウェストは、笑いながら言う。
「お前はいつまで経っても変わらないな。例え、連続で『転移魔法』を使い、姿が見えなくなる程早く動いて位置を特定させまいとしても、ある一定のレベルを超えると意味が無いt」
イルミはウェストが言い終える前に仕掛けた。
「『マジックブート』 『結界術』 『ストリーム』 『ヘルズファイア』 『全てを裁く光』。複合技、『全てを裁く地獄の嵐』」
俺は先程まで思考停止していたが。目の前の魔法の光景に驚き思考が再開した。
イルミは、始めに『結界術』を発動させると、半透明の何がウェストのかなり頭上を含めて覆った。
そして次の瞬間には、俺の目の前に5階建てマンション程の大きの竜巻が出来た。
竜巻の中は赤く光ったり白く光ったりしている。
多分だが魔法の間に少し間隔がある為、『結界術』で相手を閉じ込めてから打たないと当たらないのだろう。
発動速度は単一の魔法の方が上だ。
しかし目の前の魔法には絶対に勝てない。
それこそ、遠くから放たれれば確実に死ぬだろう。
ウェストの実力は知らないが、これはウェストを助けないと不味いと思いイルミに声をかけようとしたが、次の瞬間声が聞こえて来て俺は固まった。
「ほお、予想よりは出来るな」
「な!?」
その声は各自うイルミが発動させた魔法の中から聞こえて来た。
俺は驚きを口にしたが、イルミは微動だにしなかった。
ウェストにイルミの魔法が効かないと分かっていたのだろうか?
俺がそんな事を考えていると、イルミは結界に杖を向けた。
「【私は全てを守る者 しかし私は守るだけにあらず 私は私の全てを守る為に全てを破壊する者 そして私は天さえ破壊する者 今ここに天の破壊を】『天破』」
イルミが魔法の詠唱を終え魔法が発動されると『結界術』を、いや『全てを裁く地獄の嵐』と言う天災レベルの魔法さえ、かき消した。
それは周りが白いこの空間とは正反対で、まるで天が現れた後、天が壊れた様な光景だった。
流石にあの攻撃を見ると、ウェストはチリの1つさえも残さずに死んでしまったと思う程だった。
しかし俺の予想を裏切りウェストは最初に立っていた場所に、服すら無傷で立っていた。
これにはイルミも驚きをウェストを問いただした。
「一体どんな魔法を使ったのですか?詠唱した『天破』を防げる魔法は少ない筈です」
「言ったろ?お前は弱いんだよ。お前よりも格上等などゴロゴロいる。そいつらならお前の『天破』くらい余裕で防げるぞ。今度は俺から行くぞ?しっかり防御魔法を使わないと死ぬからな?【俺は全てを貫く】『ペネトレイトアロー』」
「!?【全てを守れ】『十層結界!!』」
ウェストが魔法の詠唱を開始すると、イルミも慌てて詠唱する。
詠唱は同時に完成し、イルミの周りには10層からなる結界が展開される。
ウェストは、横に何か黒い矢が現れた。
ウェストが右肩に左手を置き、一旦溜めてから右から左に振ると、凄い速さで矢が放たれた。
矢はイルミが展開した10層からなる結界の8層まで軽々貫通した。
9層は一瞬だけ持ったが次の瞬間には破れた。
「く!!」
イルミは9層目が突破された瞬間に横に飛んだ。
そして黒い矢はイルミが横に飛んだ次の瞬間には、10層を破ったがイルミは既に回避行動していた為、俺は矢を避けられたと思った。
しかし次の瞬間、驚きの事が起こった。
それは黒い矢が2つに分裂したのだ。
そして、その分裂した矢は1つ目はそのままの軌道で、2つ目はイルミの方に飛んで行った。
「な!?」
イルミは、自分の方に飛んで来た矢を体を回転させながら矢を回避した。
因みにもう1つの矢は、イルミの後ろに居た俺達の方に進んで来たが、結界の直前で消失した。
恐らくそういう風に魔法を使ったのだろう。
だけどどうやって矢を分裂させたのだろうか?
何が付与していた様子は無かった、それに矢を作ってからはすぐ発射した。
一体いつ?
俺がそんな風に考えている間にも戦闘は進んだ。
「『聖なる矢!!』『エンチャント:スプリット!!』『結界術!!』」
イルミは矢を避けた後は、ウェストに再び攻撃を仕掛けつつ防御魔法の『結界術』を使った。
『結界術』は発動は早いが常に1枚だけだ。
魔法名を言えば枚数は増える様だが、詠唱をしなければ防御力に難が有るのだろうか?
イルミに攻撃を仕掛けられたウェストは余裕の顔で魔法を発動させた。
「『影の矢:スプリット』」
「ッ!?」
ウェストが魔法発動とエンチャントを同時に発動させた。
そしてイルミはその光景に驚き一瞬だけ動きが止まった。
しかしその一瞬は大きかった。
イルミが放った『聖なる矢』(×2本)は、ウェストが放った『影の矢』(×2本)で打ち消した、いや『影の矢』が『聖なる矢』を打ち破り、そのままの勢いでイルミのローブの数カ所を破いた。
そしてウェストはその一瞬のうちに詠唱をした。
「【俺は影からの矢を放つ】『影の矢』」
「ッ!!しまっ!!」
イルミはウェストが放った『影の矢』を、最小限の動きで何とか躱そうと回避行動をしたものの、躱しきれずローブと左肩に当たった。
どうでしたか?
イルミは初戦闘でかなり追い詰められてますね。
まあ各ステータスが15万なのに、余裕が有るとかウェストのステータス何十万だよとか思われると思いますが、そこは次回以降分かると思うのでご容赦下さい。
次の投稿は2日後の6月7日の午後9時〜10時(基本10時)の予定です。
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