3話 カード使いと決断
サブタイトルと少しずれているかもしれませんが大体は合っていますのでご容赦下さい。
今回は3300文字と少し短いですがお楽しみいただけると嬉しいです。
「しょ、職業、カード使い」
なんだよこれ。
前衛職じゃ無いだろうし、後衛職だろうか。
それにこのステータス、アスガルの一般人の初期値の半分なんて。
そこで俺は周りを見た。
周りは上級職や高ステータス等、嬉々とした声が上がってくる。
そんな周りの様子にとてつもなく嫌な予感がして冷や汗をかいていると、近くにいた黒田が寄ってきた。
「おい、横田。どうしたんだ?そんなに汗かいて。」
「い、いや。何でも無い、それよりそっちはどうしたんだ?」
「おう。選べる職業は一つだったけど、何か変な職業が出てきたから兵士に確認しようと思ってな。」
俺は黒田のステータスプレートを見た。
黒田 崩宮 17歳
職業 極めし者
Lv.1
体力 100/100
魔力 100/100
攻撃 100
魔攻 100
防御 100
魔防 100
素早さ 100
スキル
言語理解Lv5 アイテムボックスLv1
な、なんだよこのステータス。俺の10倍以上あるじゃ無いか。
それにこの職業、絶対凄いだろ。
だって極めし者だし………
あれ?でもスキルは少ないな。
極めし者は、職業スキルが少ないのだろうか?
そんな感じで現実から逃げていると、
「なあ、横田お前のステータスプレートも見せてくれよ。」
「い、いや。その…」
そう言ってステータスプレートを見せるのを渋っていると、
「良いだろー、お前の事だ俺より、凄いから気を使ってるんだろ?大丈夫だから見せろよ。………え?これは?」
横田 流空 17歳
職業 カード使い
Lv.1
体力 5/5
魔力 5/5
攻撃 5
魔攻 5
防御 5
魔防 5
素早さ 5
スキル
カード制作Lv1 カード操作Lv1 言語理解Lv5
「ええと、ほらもしかしたら強い職業かもしれないから兵士に聞いてみよう。」
「おう………そうだな。」
俺は肩を落としなが答えた。
「おい、アンタ。職業の説明をして欲しいんだが」
「はい、勇者様方どの様な職業でしょうか?」
「ああ。こっちはカード使いだ。」
「?カード使い?ですか?」
「ああ。それで俺が極めし者だ。」
「ッ!!極めし者!!少々お待ち下さい!!直ぐに戻って参ります!!」
「?あの兵士どうしたんだ?」
急に走って行った、兵士を不思議に思っていたら黒田がそう聞いてきた。
「さあー?何でだろう?実は極めし者が勇者並に凄い職業だったりして。」
「いや、それなら普通に勇者で良いだろ。それに他の奴らは剣聖や聖女とか言った普通の名前だったぞ?」
「あー、なるほどそれなら違うか?なら何であんなに焦ってたんだろう?」
そんな呑気な話をしていると、さっきの兵士が騎士団長のヴァーテさんを連れて戻ってきた。
「お前が極めし者を持つ勇者か。」
「ああ。そうだ。」
「ステータスプレートを見ても?」
「おう。」
「ッ!!このステータス初期値の高さとスキルの少なさは、やはり!!………皆聞け!!」
それまで騒がしかった、修練所が一瞬で静かになった。
「ここに居られるクズミヤ クロダ様の職業が極めし者だった!!」
「おおーーーーー!!!!」
周りの兵士達が歓声を上げた。
クラスメイト達はわけが分からないと言う顔をしていた。
もちろん俺も分からないのでヴァーテさんに聞いてみた。
「あのー。」
「ん?何だ?」
「黒田が極めしだと、何かあるんですか?。」
「ああなるほど。お前たちは違う世界から来たからな、まだ知らないのか。極めし者とは、始めこそスキル数は少ないがレベルが上がったり、何かを学ぶ事でスキルを得ることが出来る。」
「はあー。」
俺と黒田がよく分からないと言う顔をしていると、ヴァーテさんが更に説明してくれた。
「本来は自分の職業に近い職業のスキルか元々才能があった物、職業系のスキルしか、手に入らない。例えば剣士が剣術だけでなく他の武器を使うとスキルが手に入る。槍術や拳術等と言った具合でな。だが、剣士が魔術のスキルを得ようとしても得る事は出来ない。例え手に入れてもレベルは1にしかならないのだ。」
「しかし極めし者はこの制限が無いのだ。つまりどんなスキルでも手に入り、強くすることが出来ると言うことだ。まあ、職業に勇者が、無い以上極めし者が実質の勇者だな。」
極めし者が予想よりも凄い職業に2人で絶句していると、ヴァーテさんが俺にもステータスプレートを見せるように言ってきた。
「君はカード使いだそうだな。ステータスプレートを。」
「は、はい。」
ヴァーテさんは俺のステータスプレートを見ると暫く黙り込み、眉間に皺を寄せるとこう言った。
「君は訓練しなくていい。」
「え?ど、どういう事ですか?」
俺はさっき感じた嫌な予感を再び感じつつ、ヴァーテさんにきいた。
「ああ。カード使いとは、一般職なんだ。一般職は戦闘には向かない。それに初期値も低い。レベルが上がった際のステータスの上昇値はどんな職業だろうと最大、初期値の1.5倍だからステータスが爆発的につよくなることもない。しかも勇者や他の勇者達が必ず持っているスキル、アイテムボックスを持っていない。つまり荷物持ち、しかも他の兵士達と変わらないのならば、他の兵士を連れて行ったほうがいいからな。」
「何せ、他の兵士ならば多少なりとも戦闘ができるからな。」
「っ!!」
ふざけるな!!と叫ぼうした。
お前は要らない、足手まといだと言われた気がしたからだ。
だが俺は、一般職で低ステータスだ。
言い返せないと思ってしまった。
せめて何か出来ることは無いかと俯向きながらヴァーテに聞いた。
「なら、せめて俺に出来ることはないか?」
「無い。」
一言。
だがその一言はやけに重く感じた。
「お前は訓練には参加しなくていいから、部屋に戻れ。今後の予定は追って伝える。」
「………分かった。」
「よ、横田………」
黒田が躊躇いながら俺に話掛けてきた。
俺は黒田に出来るだけ心配をかけないように言った。
「大丈夫だ。また、後でな。」
俺はそのまま修練所を出た。
そのため、その時の俺は気づかなかった。
黒田が笑っていた事に………
俺が、部屋に戻り暫くすると兵士がやってきて言った。
「お前は一応勇者だ。よって国王様が衣食住を保証し城の中なら自由にしても良いと仰せだ。しかしダンジョンで行われる訓練又は攻略には必ず参加するようにと。そのためには自分の身位は守ってもらう。そのために通常の訓練には参加しなくて良いが訓練の前にある護身術の訓練には参加してもらう。それ以外なら自由だ。」
「そうか。分かった。」
兵士が部屋から出て行くと俺はベットに横になった。
(ああ、惨めだな。黒田を助けるって言ったのにな。これじゃあ助けるどころじゃないな。)
俺はそんな事を思いながら意識を失っていた。
「ん」
目が覚めると外は薄暗くなっていた。
コンコン、ちょうどそこでドアから音がした。
「おい、夕食の時間だ。早く来い。」
「わかった。」
俺は部屋を出て食堂に行った。
だが食堂に行く途中で黒田と騎士団長、宰相が歩いてくるのが見えた。
俺は咄嗟に物陰に隠れた。
「黒田様。」
「何だ?」
「横田の所に行かなくて良いのですか?。アイツは職業が一般職でしかもステータスが低くても友人なのでしょう?」
「良いんだよ。アイツには元の世界で金を取ろうと思って近づいただけだ。それにアイツは俺達の肉壁なんだろ?騎士団長さんに宰相さん?なんせ、弱いのに俺達がダンジョンに行く時は付いていかないと行けないからな。」
「ああ。ダンジョンではいつ危険に晒されるか分からないからな。壁は多い方が良い。」
「ええ。一応は勇者ですからね。役に立ってもらわなければ。」
「うっわ。ここまで来ると横田が可愛そうになって来るな。しかも王様の指示なんだろ?」
「おや?なんの事か分かりませんな。」
「うわ〜悪い顔。」
「クロダ様、バレなければ良いのですよ?」
「確かにな〜。だがアイツダンジョンですぐに死にそうだぞ?」
「そこは通常訓練の前にある護身術の訓練に、出てもらうから多少はマシになるだろ。」
「あはは、そうもな〜。」
黒田達がが笑いながら隠れている俺に気づかず通り過ぎて行った。
その後俺は、すぐに部屋に戻り、ベットに潜り込んで泣いていた。
その時俺は、悔しい、憎い、見返したい、部屋で話したことは嘘だったのか!!等色々頭に浮かんでは消えていった。
頭に何も浮かばなくなる頃にはもう、涙は出ていなかった。
涙がでなくなった頃、俺は決断した。
「この城を出よう。例えどんな手を使っても。この城を出るまでにどんな思いをしようとも。絶対に。」
俺はそう呟くと共にこれからどうすれば良いかを考え始めていた。
タイトル回収までは出来れば毎日、最低でも2日に1つは投稿できるように頑張りますので応援よろしくお願いします。
まだまだありふれていますが、タイトル回収した辺りからどんどん変えていこうと思っていますので、少々お待ちください。
明日も0時又はお昼頃には更新できるようにしたいと思います。
ご感想、間違い、ここをこうした方が良い等、何でも送って頂いて大丈夫です。
これからもよろしくお願いします。