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24話   感謝と昔の話 前編

昔の話は1話で纏める予定だったのですが、流空と尊の絡み(前半)が予想以上に長くなってしまったので、2話にしました。

お楽しみ頂けると幸いです。

俺は、ベッドの中で急に揺さぶられる。


「リク〜朝だよ〜、起きて〜」


「流空、ほら起きて。今日もお昼くらいに、ギルドに顔を出さないといけないから、あまり時間がないわよ」 


う〜ん、瞼を開けられない程に眠い。

もう少し寝かせて欲しい。


「あと5分だけ」


「むう〜、僕が起こしに来てあげたのに〜。起きないならこうだ〜」


「ちょ!?」


1人は俺の上に乗ってくる。

もう1人は驚いた声を出す。

もう乗ってても良いから寝かせてくれ。

・・・おやすみ。


「むう〜、寝るな〜!!」


そう言って俺の上で誰かがジタバタする。

うるさいし、邪魔だな〜。

俺はベッドの掛け布団の中から手を出し、俺の上に乗ってた奴を抱きしめて動けないようにしてから、手で口を塞ぐ。


「!?もがもが〜!?」


「ちょと流空!?何してるの!?」


どうか俺を寝かせてくれ。

おや・す・み………


「本当は嫌だけど、流空が起きないのがいけないのよ。『流空、今すぐにレネンスを離して、ベッドから起きなさい』」


そう言われると同時に俺は、急に目が醒めて、人を掴んでいる手を離さなければならないと思い手を離した。

そしてベッドから起き上がった。



「ハッ!!俺は何を」


「はあ。やっと起きたのね。おはよう流空」


「え?ああ。おはよう、尊」


どうやら2人居た内の1人は尊だったらしい。

ベッドから不自然に離れた所に立っている。

どのくらいかと言うと、人の横幅くらいだ。


「ミコト酷い〜。リクが僕を掴んでたの知ってて「命令」で急に離させて起こすなんて〜。そのせいで僕は床に落ちたんだよ〜」


「仕方ないでしょ、今日は忙しいのよ」



レネンスの声がしたので、ベッドの脇(尊が不自然に開けているスペース)を見ると床にレネンスが寝ころんでいた。


「レネンス、何してるの?」


「むう〜、リクのせいだよ」


レネンスがいかにも拗ねてますと言う様に、頬を膨らませる。

ちょと可愛く思えてしまった。

おかしいな、俺はいつからロリコンになったのだろか?

いや違うな、これはあれだ。

小さい子を見て微笑ましいと思うようなものだ。

俺が頷きながらレネンスを見ていると、尊がレネンスをまたいで俺に近付いた。


「ほら流空、グラニーが朝食の準備をしてるから早く行くわよ」


そう言って尊が、俺の耳を引っ張って俺を無理矢理ベッドから出す。

何故か、かなり力が入っていて結構痛い。


「ちょ、尊、痛い痛い」


俺がそう言うと、尊は驚いた様に言って手を離した。


「え?あ、ご、ごめんなさい」


尊は俺から離れると俯いた。

え?

そこまで責めて無いんだけど。

それを見ていたレネンスが立ち上がって小声で俺に話しかけて来た。


「ちょとリク〜。ミコトをいじめちゃ駄目だよ〜。ほら慰めて〜」


「え、慰めるって言っても、何を言えば良いか分かんないんだけど」

 

「リクが思った通りに言えばいいの〜。」


ぐっ、そんな事言われても、分からないものは分からないんだが。

え〜と、今褒めるのは違うよな?

それなら感謝を伝えるとか?

いやでも、


「リク〜、早く〜」


レネンスが、俺の脇腹を突いて早く慰めろと催促する。

ぐう〜、もうこうなればヤケだ!

俺は、俯いてる尊に声をかける。


「尊?」


「何?」


「え〜とほら、耳もそんなに痛くなかったし、怒ってもないから、その元気だして?」


何とも情けない慰め方だと思うが思いつかなかったから仕方ない。

出来れば今ので尊が少しでも機嫌が直ってほしい。

尊は、俺の思いとは対象的に暗い事を言う。


「でも私、流空に迷惑かけてばかりで」


「迷惑?」


尊から何か迷惑をかけられただろうか?

レネンスにかなり迷惑をかけられたが、今は黙っておこう。


「『無力のダンジョン』の事とか、その後のトップベアとの戦闘、それにギルドでの決闘とか」


なるほどそういう事か。

でも俺は全部迷惑とは思ってない。

そういえば尊がいかに役立ってるか、思っていても口に出して無かったからな。

いい機会だし思っている事を尊に伝えよう。


「『無力のダンジョン』で迷惑かけたのは寧ろ俺だし。まあそれは置いておいて、トップベアとの戦闘?尊の『命令』が無いとかなり危なかったよね?で後はギルドの決闘か。確かに予想外ではあったけどそのおかけで屋敷も手に入ったから、寧ろ良かったよね?」


「でも、戦闘中とか大事な場面で流空はすぐ動けるのに、私は頭が真っ白になって動けないし」


「それも普通だよ。それに俺がすぐに動けるのは尊がいるからだよ?」


「え?」


「だって俺、普通の高校生だよ?城での戦闘訓練も受けてないし俺1人なら『無力のダンジョン』で死んでるだろうし。それに尊って言う知り合いがいるから落ち着いて考えらてると思うんだ。」


「でも」


う〜んこれを言うのは少し恥ずかしいけど仕方ない。


「ほらハルパスドッグの時、尊が俺を助けてくれようとしたでしょ?あの時凄く嬉しかったんだ。だからさ、尊は迷惑とか考えなくて良いの、寧ろ迷惑をかけても良いの。分かった?」


「流空。分かったわ。そのありがとう。」


そう言った尊は、顔は屈託の無い笑顔だった。

なるほど、あいつが惚れてしまうのも無理は無いな。

普通にと言うか、凄くと言うか、ともかく可愛い。


「流空?」


「え?ああごめん、大丈夫。ほらグラニーが待ってるんでしょ?先に行っといて」


「ええ、分かったわ」


「は〜い。早く来てね〜」


ふう、何とかなったな。

今後はもう少し感謝とか色々と伝えておこう。




リビング


俺達4人は朝食を取ってから、ギルドに行くまでの時間がある為、昨日の話の続きをしようと集まった。

まあ、集まったて言っても朝食からはずっと一緒にいたんだが


「さて、それじゃあ昨日の話の続きよ。何から聞きたい?」


何から聞きたいって聞かれると一択だよな。


「「レネンス達が勇者だった方からで」」


見事に尊と被ったな。

それを見てグラニーが笑っている。


「息ぴったりね。それじゃあ私達が勇者だった頃の話からね。リク達は前の勇者についてどのくらい知ってる?」


「え〜と、俺達が聞いた話を纏めると、7体のモンスター達が罪系の職業を持って、人間の国をいくつも滅ぼした。そのモンスター達を人間族と協力して封印したくらいだ」


「やっぱり間違って伝わってるのね。まあ意図的にかもしれないけれど」


ふむ、間違ってるのか。

まあ何となくそんな感じがしたしな。


だって勇者が居たとは言え、モンスター達はいくつもの国を滅ぼしている。

でもそれにしては、昔滅びた国の名前が無い。

まあこれはたまたまかとも思ったけど、それにしてはどっち方面の国が滅びたとか明確には書いてなかった。


それに封印方法もだ。

これもどの本を探しても書いてなかった。

普通は残ってるものだろ?

だって勇者が、封印が弱ればモンスター達を倒せる勇者が召喚されるとか言ってても、心情的に封印方法は残しておきたい物だしな。

俺が何故間違って伝わっているのか考えている間に尊がグラニーに質問していた。


「それでどう違うの?」


()()()はどうやって現れたか知ってる?」


「え?普通に生まれたって聞いたわ」


「ちょと待てグラニー。()()()?勇者は1人じゃなかったのか?」


「そこは今は置いておくわ」


いやそこも結構重要なんだが?


「それで勇者達はこの世界で生まれたんじゃ無いわ。異世界から連れて来られたの」


あ〜、なるほど。

確かに良く考えてみれば、職業を持ったモンスター達を封印出来る力がある勇者がこの世界で生まれるなら、俺達を連れてくる必要がある様には思えないもんな。


「連れて来られた人数とかは、分からないけど少なくても40人は居たと思うわ。そしてその中に私とレネンスも居たのよ」


「呼ばれた理由は何?」


「魔王を倒してくれとか言ってたと思うわ」


何か曖昧だな。

呼ばれた理由なのに何故曖昧になるのか。


「何で勇者として呼ばれた理由が曖昧なの?普通は忘れないじゃない」


「それは確かにね。でも魔王を倒してくれと言ってたのは確かよ」


「曖昧なのに?」


「ええ。何せ私達は魔王を倒したもの」


「「は?」」


「あら?意外かしら?」


いや、意外とかの問題じゃ無いだろ。

て言うか魔王を倒したのに何でレネンスとグラニーはこの世界に居るんだ?


「なあグラニー。魔王を倒したのに前の世界には帰れなかったのか?」


「ええ、帰れなかったわ。勿論私達意外の勇者もね。それでこれは封印された話に繋がるのだけれど、私達が罪系の職業を持っているのはね。魔王を倒した時に魔王に職業を変えられたからなの」


「「!?」」


職業を変えるとか出来るのかよ!!

魔王も大概チートだな


「因みに魔王に職業を変えられたのは7人だけよ。他の勇者の職業はそのままだったわ」


7人だけ?

職業を変えるのも何か制限があるのか?

て言うか職業を変えられたのが封印と関係あるのか?

あ、もしかして強力過ぎて封印されたとか?


「勇者だった話は分かったわ。でも職業を変えられたのが、封印とどう繋がるの?」


「それはね、私達の罪系の職業が強力過ぎたのと、勇者が元の世界に帰れなかったのが関係してるわ」


あ、強力過ぎては当たってたのか。

それにしても元の世界に帰れなく封印って何故?


「まず、私達の職業が強力過ぎるのは分かるわよね?それで私達以外の勇者は、元の世界に帰れない原因は、私達にあるとか言い出したのよ。まあ本当は、勇者達の中でも特に強かった、私達を危険に思った国々が糸を引いていたのだけれどね」


「え?それでどうしたの?」


「7人いたなら勇者達に対抗できたかもだけど、バラバラにされて封印されたのよ。これ以上は詳しい事が分からないけど、これが私達が勇者なのに封印された顛末よ」

どうでしたか?

次の投稿は2日後の3月27日予定です。

投稿時間は午後10時です。

もしかしたら3日後になるかもしれません。

ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力が欲しい、等など何でも送って頂いて大丈夫です。

ゆっくりと進んで行きますが、今後もお付き合いと応援のほどよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ割と普通の話だな。強力すぎる武力は保身の観点から危険視され殺されるのが世の常。封印だけでよかったと思うとこだな。
2021/02/11 10:42 退会済み
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