21話 スタンピード終了
呆気なくスタンピード終わりです。
戦闘が来ると思っていた方すいません。
お楽しみいただけると幸です。
「命を喰らえ、グラトニー」
グラトニーの声が聞こえた瞬間、それまで聞こえていたモンスター達が移動していた音が消えた。
そして黒い霧が晴れるとスタンピードで、ダンジョンから出て来ていた全てのモンスターが全て地面に倒れていた。
何これ、モンスターは全部死んでるのか?
て言うか能力把握しておきたかったけど、戦闘?時間が短過ぎて分からなんな。
能力の詳細はグラトニーに聞くとして、今はこのモンスター達だな。
「なあグラトニー、モンスターは全部死んだのか?て言うか何でグラトニーって言ったの?」
「ただのモンスターは、私の能力からは逃げられないから大丈夫よ。それと基本的な発動条件にグラトニーか暴食を言う事と入ってるからよ」
「それなら名前、グラトニーじゃ無いほうが良くない?」
「それもそうね。リク、どんな名前がいいかしら?」
「え?俺が決めるの?」
「勿論。だってリクが言ったんじゃない」
それもそうか、どんなのが良いだろうか?
やっぱり暴食に関係があるのかいいよな。
う〜ん、安直だけどレネンスみたいに一文字取るか。
それなら、
「グラニーなんてどうだ?」
「お〜、グラニーか〜。良いんじゃない〜?」
「グラニー、ね。グラトニーから一文字消しただけだけど、良いわね。これからはグラニーって呼んでね」
なんか色々と言われるかと思ったがそんな事は無かったな。
それにしても凄いなこれだけの数を一瞬で倒せるとは。
俺が感心していると、グラトニーが思い出したように聞いてきた。
「ところでこのモンスターの死骸はどうするの?」
「街に持って帰りたいけど数が多いから難しいな。かと言って放置出来ないし」
スタンピードが起こった証拠としてモンスターの死骸を残して貰ったが、この数だとカード制作でも、今は居ないが尊のアイテムボックスでも入りきらない。
どうしようかと俺が悩んでいると、後から急に、俺達意外の声がした。
「それなら俺のアイテムボックスに入れてやろうか?」
「!!びっくりした〜。驚かさないでくれよ、キークス」
俺達の後ろにはキークスが居た。
恐らく、街に戻った尊達が報告して緊急クエストでも出たのだろう。
キークスはその斥候と言った所だろう。
「悪いな、職業病みたいなものだ」
あ、この世界に職業病あるんだ。
「で、どうする?」
「ああ。入るなら頼む」
「分かった。ただし5体くらいは運搬費で貰うぞ」
「数えてないけど200体以上いるし良いぞ」
「よし、なら早速回収するか」
そう言ってキークスは懐から黒いカバンを取り出した。
ん?スキルじゃ無いのか?
「おいリク、お前『スキルじゃ無いのか』とか考えてるだろ」
心が読まれた?
いや顔に出てただけか
「普通はアイテムボックスって言ったらスキルじゃ無くて、こっちなんだよ」
「え?アイテムボックスってそんなにレアなのか?」
「当り前だ。スキルでアイテムボックスを持ってるなら、冒険者から商人、はては料理人とかからいくらでもスカウトが来るぞ」
「まじか」
レアだとは思ってたけどそこまで?
カバンタイプのアイテムボックスでも良くない?
「お前分かってないな。モンスターを回収間に色々と教えてやる」
キークスの話をまとめるとこうだ。
スキルのアイテムボックスの容量は、スキル所持者の魔力量で変わる。
始めの内はカバンタイプのアイテムボックスの容量の方が多いが、スキル所持者の魔力が3000を超えると容量が一気に増えて、アイテムボックス(中)を超えるらしい。
因みにカバンタイプのアイテムボックスには4種類あり、小→中→大→極大とあり、極大は国に1つあるかどうからしい。
入るサイズは小がタンス1つ分、中が2階建て一軒家1つ分、大が2階建て一軒家3つ分、入るらしい。
因みに極大は殆ど情報が無いらしい。
確か尊の魔力5500くらいだったよな?
つまり尊のアイテムボックスって家入るの?
凄いな、今度から荷物は、尊のアイテムボックスに入れよう。
五分ほどしてキークスがモンスターの回収を終えると俺達は街へと移動を開始した。
そういえばキークスがここに来た理由を聞いてないな。
「なあキークス、何でここに来たんだ?」
「ん?このダンジョンに来た理由か?」
「ああ」
「それはギルドからの緊急クエストが出たんだよ」
「またか」
「まただな。本当なら年に一回出るかどうかなんだが、もう二回も出てるな。今年は何かあるかもな」
そう言う不吉なことを言わないで欲しい。
「そういえば、そっちの嬢ちゃんは誰だ?トップベアの時は居なかったし、この辺じゃ見ない顔だな?」
あ、何にも考えて無かった。
どうしよう、なんて言って誤魔化そうか。
そんな風に俺が考えているとグラニーが答えた。
「私はグラニー、『魔消の洞窟』でリク達と会ってパーティーに入れて貰う予定よ。以後よろしく」
「何だ、リク達の新しいパーティーメンバーか。こっちこそよろしくな」
「おい待て、誰がパーティーに入れると言った?」
「ええ〜?実力を見せたら入れてあげるってレネンスが言ってたわよ?」
俺がレネンスの方を見ると、ニコニコ笑って『当然だよ〜』とでも言いたげな顔だった。
こいつグラニーに耳打ちした時に『一瞬で倒せばパーティーにはいれるよ〜』と言ったのだろう。
う〜ん、まあ大丈夫か?
正直あの殺気?みたいなものは向けられたらヤバいが、・・・まあ良いか。
本当にヤバくなったら、なってから考えよう。
「そうだな。グラニーをパーティーに入れよう。ただ尊が反対したら駄目だぞ」
俺がそう言うと、グラトニーは嬉しそうにニコニコしていた。
「ええ。勿論それで良いわ」
スターンの街 冒険者ギルド
今俺たちは、部屋を明るくする魔道具(日本の電球の様なもの)の明かりで照らされた部屋(まあギルドマスターの仕事部屋なんだが)にいた。
因みにギルドに着くくらいには、外は夕暮れで今回クエストを説明していたら夜になっていた。
「なるほどな。つまりお前達は『魔消の洞窟』でスタンピードの前兆があったから二手に別れて、一方は冒険者ギルドに報告、もう一方は街に着く時間を少しでも遅くしようとスタンピードに突撃したわけだ。」
街は緊急クエストの為門が閉じていたが、スタンピードを収めたと言うとすんなり門を開けてくれた。
多分キークスが居たのとスタンピード特有の砂埃が起こってなかったからだろう。
その後、俺達5人(カーラさん含む)はギルドマスターに今回のクエストの結果報告をしていた。
まあクエスト内容は『魔消の洞窟』の調査だったからな。
異変が有っても無くても、リーダーの俺とカーラさんだけが報告はすれば良かったけど、スタンピードが起こったから特殊な状況だから全員で報告している。
「クエストの報告は分かった。クエストの報酬とスタンピードの報告報告、スタンピードを収めてくれた報酬も渡そう」
よしこれで終わってくれと俺は思っていたがそう上手くはいかなかった。
「でそのスタンピードのモンスター達だがどうやって倒したんだ?何体か解体したが傷が一つも付いていなかったぞ」
そうそこだ。
グラニーは俺に『リク、確認だけどモンスターの命を喰うだけで死体は残す。周りの被害は出来るだけ少なくだったわね?』と聞いた。
命を喰うと言うのは心臓とかを食べるのだと思っていたのだがそんな事は無く、心臓も綺麗に丸まる残っていたのだ。
それを見た時は『おおー、こんなに綺麗に倒せるなんて凄いな』とか思っていたのだが、倒したのが綺麗過ぎて駄目だったらしい。
倒し方が綺麗過ぎて、死んではいるが本当に生きていたのか?と言う事になったのだ。
だがこの問題はキークスと門にいた兵士さんが遠くから、スタンピード特有の砂埃が見えていたと証言してくれた為、そこはすぐに問題無くなった。
だが次に、それならどうやって倒したのかと言う事になったのだ。
どうしよう、何も言い訳考えて無い。
レネンスとグラニーを頼ろうとしたが、駄目だった。
レネンスはギルドに着いてからずっと寝ているし、グラニーは出されたお菓子を無言で食べている。
流石、怠惰者と暴食者だな。
・・・何も思い付かないし秘密って事にしよう。
「それは俺達の切り札だから教えられないな」
「む、確かにそれもそうか。それならこの件はこれで終わりだな。他に何か報告したい事あるか?」
なんとかなったな。
「俺達は特に無いぞ。と言うか今日は疲れたから早く帰りたい」
「ああ。あの屋敷を使うの今日が初めてだもんな。そりゃあ早く帰りたいか」
このギルドマスター、あの家を屋敷と認めやがった。
「まあ他にあっても明日で良いか。とりあえずスタンピードのモンスターの買取額含めて報酬は明日で良いか?」
「ああ。明日で良いぞ。昼頃にまた来る」
「分かった。それまでに準備しておく」
はあ〜、やっと休めるな。
等と思って屋敷(家とは認めない)に帰る。
屋敷
さて今は夕ご飯も食べて風呂に入って、後は寝るだけのはずだが尊が話があると全員をリビングに集めた。
色々とあって疲れてるし手早く終わらせたい。
そんな考えを知ってか知らずか、早速尊が話を始めた。
「まず、グラニーのパーティー加入の件だけど、そっちは流空が認めたなら私も良いわ」
因みにグラニーの事は屋敷に着いてから、すぐに尊に説明した。
まあパーティーとか名前とか、能力とか色々とあるからな、人に聞かれたのに俺達の話す内容がズレていたら元も子もないし。
「でもレネンスとグラニーが勇者だって事と封印された経緯をまだ聞いてないわよ?」
そう言えばそんな事もあったな。
これは暫くかかりそうだな。
どうでしたか?
次回の投稿の2日後の3月21日です。
内容はレネンスとグラニーが勇者だった件と封印された経緯ですね。
戦闘は暫く無いかもです。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力が欲しい等など何でも送って頂いて大丈夫です。
ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします。




