20話 スタンピード
すいません、少し遅くなりました。
少し短いですがお楽しみいただけると幸です。
「貴方達は国を滅ぼした事があるの?」
俺は始め、この質問の意味が分からなかった。
グラトニーはともかく、とてもレネンス、いやレジネンスが国を滅ぼす様には見えなかったからだ。
きっと尊もそう思ってこの質問をしたのだろう。
俺はどんな答えが帰ってくるのかと、固唾を飲んで2人を見る。
しかし、2人は質問の意味が分からないのか、きょとんとしていて、素で答えた。
「いえ、国を滅ぼした事なんて無いけれど。」
「僕も〜。そんな面倒くさい事する訳無いじゃ〜ん」
あれ?
レジネンスとグラトニーが俺達がこの世界に呼ばれた理由のモンスター・・・じゃ無いな、所持者で良いか、所持者じゃ無いのか?
尊を見ると、尊も予想外だったのか頭に?が見える。
ここは俺が質問するか。
「え〜と、2人が昔勇者に封印された大罪系の職業持ちじゃ無いのか?」
「え?勇者に封印?違うわよ?」
「うん、違うよ〜」
え?
マジで?
俺、凄い勘違いしてたんだけど。
恥ずかしい、穴があったら入りたいレベルだな。
とか意外と冷静に考えていると、尊が復活したのか2人に質問していた。
ただその姿はどこか焦っているように見えた。
「ちょと待ってよ。暴食者、怠惰者ならどう考えても大罪系の職業じゃない。それに封印もされていた。それなら貴方達が職業持ちの、モ、モン、いえ人間族の敵なんじゃないの?」
確かに尊の言う通りだ。
だけど、どう考えてもレジネンスが国を滅ぼす風景が思い浮かばない。
いや、さっきのキレてる?怒ってる?レジネンスなら出来るかも?
そんな事を考えていると、グラトニーが尊の質問に答えていた。
「それは違うわ。むしろ私達が人間族の勇者だったのよ。」
「うん、うん。そうだよ〜」
「「!?」」
大罪系の職業を持ったているのに人間族の勇者?
もしかして国が言っていた、大罪系の職業を持っているモンスターとは別?
いやでも国は、勇者が封印されているなんて言っていなかった。
俺と尊は暫く黙り込み考えをまとめる。
そして俺はある1つの可能性に辿り着いた。
無意識に国を信用していたけど、国が嘘を言う可能性だって勿論あるんだ。
それなら2人から話を聞いて、この国の図書館なりで調べれば正しい事が分かるか?
いや無理だな。
アスガル王国だけじゃ無く、この大陸全体に嘘が流れている可能性がある。
それなら俺が信じたい方を信じよう。
「なあグラトニーにレジネンス、ちょと教えて欲しい事があるんだが良いか?」
「ちょとリク〜、いつも通りレネンスって呼んでよ〜」
「え?でもグラトニーがレジネンスって呼んでたからレジネンスの方が良いのかと思って」
「むう〜、グラトニーのせいでリクがレネンスって呼んでくれない〜。私はレネンスの方が気に入ってるからレネンスで良いの〜」
「ああ。分かったレネンス」
「うん、うん。やっぱりリクにはレネンスって呼ばれたほうが嬉しいね〜」
そう言ってレネンスは屈託のない笑顔で笑った。
少し可愛いと思ってしまった。
「で教えて欲しい事って何なの?」
俺が少し固まっているとグラトニーが聞いてきた。
そ、そうだよ、固まっている場合じゃないなよな。
俺は尊も聞きたいであろう事を口に出した。
「お前達が封印された経緯を教えてくれないか?」
「良いけどかなり長くなるわよ?とりあえず、移動するべきじゃないかしら?」
「ん?なんでだ?長くなってもグラトニーが同行するかの話に関わってくるから、ここで話してくれた方が良いんだが」
「このダンジョンスタンピード直前だけど、ここで長話しても良いの?」
「!!」
そういえばこいつら、このダンジョンがスタンピード直前だとか言ってたな!!
不味い、今から街に戻ってスタンピードを報告して間に合うか?
ここは二手に別れるべきか?
いやまずは、このダンジョンからの脱出からだな。
「お前らこのダンジョンから脱出するぞ!!」
「流空、ちょと待ってよ。カーラさんがまだ起きてないの」
「今は時間が惜しい。尊、悪いけどカーラさんを背負ってくれない?」
「ええ、分かったわ。」
「ありがとう。よしお前ら行くぞ。全速力でダンジョンを脱出する!!」
「は〜い」
「了解!」
「分かりました」
俺達5人(カーラさんは気絶中)は急いで移動を開始した。
魔消の洞窟前
魔消のダンジョンを脱出した俺は、この後どう動くか決める為の質問をした。
「レネンス、グラトニー後どれくらいでスタンピードが始まるか分かる?」
「う〜ん、後40分くらい〜?」
「そうね。40分後くらいだと思うわ」
もう40分しか無いか。
街まで急いで30分くらいだったか。
それならここでスタンピードを止めた方が良いな。
「分かった。ここからは二手に別れようと思う」
「え、どうして?このまま街に報告に行くんじゃないの?」
「このまま街に戻ったらスタンピードの開始までに戻って来れないし、街に着く前にグラトニーの実力も知っておきたいからね。俺とレネンス、グラトニーはここでスタンピードの迎撃。尊とカーラさんは街に戻ってスタンピードの報告をしてきて。」
「そんな!!いくらE級のダンジョンとは言え、3人でスタンピードを迎撃するなんて、危険過ぎます!!街に戻って防御に徹するべきです!!」
「そうだよ。どれくらいの数が出てくるか分かんないし、全員で戻った方が良いよ」
カーラさんと尊が街に戻る提案をする。
因みにカーラさんはダンジョン脱出の途中で目を覚ましていた。
確かに俺も普通なら街に戻る。
だがスタンピードを大事だと言った俺に対し、グラトニーは『ええ〜?大事かしら?私なら一瞬で喰えるわよ?』と言った。
これが本当か確かめる必要があるから無理だな。
「カーラさん、確かに危険かもしれませんが、ここで迎撃した方が安全では?」
「そ、それはそうですが」
「それならさっき言った通り、俺達3人がここで迎撃、尊とカーラさんは街に報告で」
「どうあっても街に戻る気は無いと?」
「まあそうですね」
「分かりました。でも条件が有ります」
「条件?」
「はい。他の冒険者が来るまでは無茶しないで下さい」
う〜ん、無茶しないは無理かもしれないな。
「分かりました。極力無茶はしません」
「それ無茶するって言ってる様なものですよ。」
鋭いな。
まあ惚けておこう。
「そうですか?無茶はしないつもりですが」
「はあ。分かりました。無事に帰って来てくれれば良いです」
よし多少の無茶なら大丈夫だな。
「流空、無茶しないでね。」
「ああ。極力しないよ」
尊は最後に俺と言葉を交わして、街に向かった。
尊達が見えなくなると俺はグラトニーに聞いた。
「なあグラトニー、お前スタンピードを一瞬で喰えるって言ってたよな。本当か?」
「ええ、勿論」
グラトニーが当たり前と言うふうに答えた。
それなら後は条件だな。
「喰うのに条件とかあるか?」
「ダンジョンの中でリク達が黒い霧に覆われたでしょ?あれに触れている部分なら全て食えるわよ」
「え、あれに当たってたら喰われるの?それならあの時、俺ヤバくない?」
あの時(俺がグラトニーに恐怖心を抱いていたとき)、俺は勿論、尊やカーラさんも黒い霧に覆われてたぞ。
「安心して、喰うものは勿論任意で決められるわ」
「そ、そうなのか」
全く安心出来ん。
「分かった。それなら何処に陣取るとかはグラトニーに任せる」
「あら?そこまで任せてくれるの?」
グラトニーが心底不思議そうに聞いてきた。
「ああ。下手に俺が陣取って能力が発揮出来ないとか言われたら堪らないからな」
そう俺が言うとグラトニーは暫くポカンとしていて、レネンスがグラトニーの耳元で何かを呟いた。
よく聞こえなかったが、グラトニーがやる気が出るような事を言ったのか、すぐに陣取る場所を探し始めた。
40分後
俺達は魔消の洞窟の入口が見えるギリギリの場所に隠れていた。
魔消の洞窟から次々とモンスターが出てくる。
今はまだ80体程だがまだまだ増えるだろう。
「本当に始まったな」
「え〜、もしかしてリク信じて無かったの〜?」
「半信半疑だっただけだ」
さて、グラトニーはいつ仕掛けるのか。
今回で能力を把握しておきたいな。
なんて考えているとグラトニーが俺に言った。
「リク、確認だけどモンスターの命を喰うだけで死体は残す。周りの被害は出来るだけ少なくだったわね?」
「ああ」
「それなら私の能力はピッタリだからよく見ていて」
グラトニーは隠れていた場所からモンスター達に向かって歩き出した。
モンスターの前まで来るとグラトニーは能力を発動させたのか、周りに黒い霧が出て来た
それと同時にダンジョンからのモンスターが出て来なくなる。
全部で200体程になった。
そしてグラトニーが呟いた。
「命を喰らえ、グラトニー」
次の瞬間、それまで聞こえていたモンスター達が移動していた音が消えた。
そして黒い霧が晴れると全てが地面に倒れていた。
どうでしたか?
自分でも思うのですが、グラトニーの能力凄いですよね。
次の投稿も2日後の3月19日です。
午後10時には投稿出来るように頑張ります。
ご感想、誤字、こういう能力が欲しい、こんな展開を作って欲しいなど、何でも送って頂いて大丈夫です。
今後もゆっくりと進んで行きますが、応援よろしくお願いします。




