表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/212

187話   『ダンジョンアイテム販売会』

「尊に、川白さん?なんでここに?いや、それ以前になんで生きて、」


俺が驚いて固まっていると、川白さんが首を傾げながら言った。


「なんで生きているのかって、変な質問しますね、横田君は。私は普通に生きてますし、私と高木さんは週に一回開催される『ダンジョンアイテム販売会』に来ただけですよ?」


その言葉を聞いて、目の前の川白さんと尊が向うの世界からこちらの世界に来た川白さんではなく、元からこの世界に居た川白さんと尊だと理解出来た。


それを理解した為に「よく考えたら、それしか考えられないな」と思った。

ただ2人に会った瞬間、正確に言えば2人を見た瞬間から気が楽になった気がした。


俺が少し気が楽になったのを感じて、無意識の内に息を吐いた。

そんな俺を見て尊、では無く高木さんが俺に質問してきた。


「そう言えば、横田君はここで何してるの?横田君も『ダンジョンアイテム販売会』に来たの?」


高木さんがそう俺に質問してきたのだが、俺はその質問に俺の心臓は嫌な音をたてた。

勿論、「休息がてら秋葉原に遊びに来た」と言いたくないのもあるが、多分尊と全く同じ姿と声の高木さんに横田君と呼ばれたからだろう。

何気に向うの世界では流空と呼ばれていたし、尊は大切な仲間だったしな。


俺がそんな事を考えていると、川白さんと高木さんが首を傾げているのが見え、慌てて質問に答えた。


「あ〜、いや、最近根を詰め過ぎたから、ちょっと気分転換に東京観光にね」


「「そうなんだ」」


我ながら変な言い訳?だなと思っていた俺の答えを聞いた2人は不思議そうな顔をした。

流石にこのまま別れるのは俺の心情的に嫌だし、よく考えたらこの世界にも俺が居るし、目の前の2人は俺をこの世界の俺だと思い込んでいるだろうし、俺がこの世界の俺ではないとバラす前に別れるのは不味いと思った。

だから、俺は2人に提案した。


「なぁ2人共、俺も『ダンジョンアイテム販売会』に付いて行ってもいいか?」


俺の質問に首を傾げたが、結果的には俺が2人に着いていくことを許可してくれた。







「はぁ〜、『ダンジョンアイテム販売会』って言うから、もっと大規模な感じを想像してたけど、そんなに大規模じゃないんだな」


俺が一つのビルを貸し切って行なわれているとは言え、そこまで良いアイテムも無く、その手のイベントよりも客は多そうなのに、その手のイベントくらいの規模の『ダンジョンアイテム販売会』の中でそう口に出すと、高木さんが苦笑いしながら答えた。


「まあ、ダンジョンから出たアイテムを売るのは基本的に、ダンジョンから出てきてそのダンジョンから一番近い協会だからね。それに、ここにあるのは基本的には他の人が使わなくなった中古品か、効果が変過ぎて買い取り拒否されたものかだからね」


そう言った高木さんの言葉を川白さんが補足した。


「それでも同じ効果のアイテムや武器が安くで手に入りますから、こういう場は学生や金欠の人には有難いんですよ」


俺はなるほどなと思いながらも、フリーマーケットの様な感じで武器やアイテムが並んでいるのを、2人と一緒に眺めていた。

会場は秋葉原の駅からそこまで遠くはなく、歩いてこれる範囲で10建てのビルを丸々貸し切って行なわれている『ダンジョンアイテム販売会』は中々人が多かった。


ただ『ダンジョンアイテム販売会』でも、人が集まり過ぎないように配慮しているのか、平均的な価格が一番安い安い店が1階で逆に平均的な価格が一番高い店が10階になっている。

まあ、一番安いと言っても最低10万はしているから、決して安すぎるという訳ではないが。


今は2人と一緒に平均的な価格が100万〜250万迄になっている、二階を見て回っている。


少し話は変わるが、この会場に来る間に気が付かれないように、こちらの世界の俺の事を聞いて見ると、こちらの世界の俺はステータスが低いことや職業が『カード使い』だった事でダンジョンには潜っていないらしい。

他にも色々と聞いたが、ダンジョンに潜っていないということは、俺がこちらの世界の俺に多大な迷惑は掛けていないと確信出来た。

因みに多大な迷惑とは、俺をダンジョンの中で襲ってきた同業者達の事で、一応全員捕まえて政府に渡してある。


そんな訳で『ダンジョンアイテム販売会』の事を全く知らなくとも不思議がられる事無く、2人に詳しい事を教えてもらえた。

基本的なここでの支払いは現金だが、250万を超える支払いは協会のカードのクレジットカード機能を使うのだとか。

ただ物々交換も可能ではあるが、後々問題が起こる可能性があるために推奨はされていない。


後は買いたい商品が被った時は基本は早く店員に言った方だが、お金を使って譲って貰ったり、地下に運動場の様な物があり、そこで行う軽い戦闘で決める事もあるが、お金も軽い戦闘も学生には関係ないとの事。


俺はそんな『ダンジョンアイテム販売会』の事の説明を聞き、戦闘で買う人を決めるって、ダンジョンが出て非日常になった日本人は凄いことを考えるなと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ