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167話   ジャンヌ・ダルク⑤

俺は強要された戦闘の再開に苦虫を口に入れられた様な顔をしながら、戦闘をしていた。

そして、俺は覚悟を決めた。


(もうダメージ覚悟でジャンヌ・ダルクに取り付いてから、3割くらいの魔力を使って『天化(てんか)』で一番の火力を出して、かたをつけるしかない)


俺はそう考えて、一番早い雷属性の『天化(てんか)』を発動させて、ジャンヌ・ダルクに突撃した。

モンスター達は俺がジャンヌ・ダルクに突撃したのを知ってか知らずか、俺が進むのを邪魔しようとして来た。


俺はそれを進路上邪魔なモンスター以外は、何処に攻撃を当てられようと無視して最高速度でジャンヌ・ダルクの元まで駆けた。

元々俺よりも早いモンスターが少なく、今までは戦略的に動かれていたから、俺がジャンヌ・ダルクに突撃しようとしても、しなくてもダメージを受けていたし、俺はダメージを極力受けない様に立ち回っていた。

しかし、そんな俺がほぼ全てのモンスターを無視してジャンヌ・ダルクに向かっていたので、ジャンヌ・ダルクは俺が自分に突進しているのだと理解したのか慌てた様な表情をしていた。


俺はその表情を見て『この行動が正解だった』と安堵しつつ、俺の間合いの内側にジャンヌ・ダルクを入れたのを確認したい。

それを確認した直後『天化(てんか)』を炎の属性に切り替え、現在の残り魔力12万の3割、3万6000を使い『アスレイア』に炎を付与し、首元に全力で叩き込んだ。


ステータスがいくら高くなろうとも、生物上の弱点は必ず存在する為、俺よりもステータスが低いならばジャンヌ・ダルクをこれで倒せると思った。

しかし、俺の予想は裏切られる事になった。


ガキン!!


と言う金属音に近い音が聞こえた後、『アスレイア』が弾かれた。

俺がその事に驚き思考を停止してしまった瞬間、ジャンヌ・ダルクの周りの何も無かった空間から、蛇タイプのモンスターが現れた。

そのモンスターはとぐろを巻き、その中にジャンヌ・ダルクを入れる事で、ジャンヌ・ダルクを守っている様に見えた。


(ジャンヌ・ダルクとの間には何も無かった筈だ。それなのに、この蛇は急に現れた。なんだ、光学迷彩みたいな感じか?それとも転移か?


いや、転移なら、蛇が居ない時に音がしなかったのはおかしい。という事は、光学迷彩みたいなものか)


俺がそこまで考えた所で、蛇のとぐろの一部に隙間が出来た。

俺がその隙間を見つけた瞬間に中から槍の様な先端が出て来た。

俺はそれを避けようとバックステップしようとしたが、何かに妨げられて(体を後ろから抱かれる様に掴まれて)バックステップが出来なかった。


そのせいで槍の先端が顔のおでこの位置に当たってしまった。

元々は槍の先端は俺の右目に当たる位置だったが、顔を反らしなんとかおでこに当たる様にしたのだ。


ダメージは入るとは思っていたし、痛みもあると思っていたが、全身を焼かれた時程じゃないと考えていた。

だから槍の先端が俺と接触した瞬間に、全身を焼かれた時よりも少しだけ小さかったとはいえ、体が半分に引き裂かれる様なかなりの激痛が走った時は叫び声を上げてしまった。


「あ、がぁあああああああーーーーーーー!!!!!」


俺は叫ぶと同時に、このまま足を止めていたら良い的だと分かっていたので、俺を掴んでいる何か毎右斜め後ろにジャンプした。

空中では体勢が崩れる事は無かったが、俺を掴んでいた何かが俺を離した後、俺を地面に叩きつけた。


「がっ、ああ!!」


地面に叩きつけられた際に、地面に叩きつけられた部分の痛みが、一時的に増し俺はうめき声を上げた。

それでも気絶する程では無かったので、なんとか立ち上がろうとした所で、俺は影に包まれた。


俺がその影の主を見ると、通常のゴーレムだった。

しかし、そのゴーレムは既に右手を振り上げていた。


俺は急いで回避しようとしたが、痛みから体が上手く動かせずに、ゴーレムの攻撃をそのまま受けてしまった。


「がはっ」


そのまま吹き飛ばされて、何度も地面にバウンドしながら壁際まで吹き飛ばされた。

その際にバウンドする度にバウンドした箇所が痛み、『アスレイア』を離してしまった。

それだけで無く、痛みとその痛みが未だに続いている為に立つ事が出来そうに無い。

しかも、痛みのせいで集中も出来無いので、『天化(てんか)』が解除された。


不思議な事に『天化(てんか)』が解除された瞬間から、痛みは収まったが、今まで走っていた痛みから未だに立ち上がる事が出来無い。

俺がなんとか立ち上がろうともがいていると、そこでいま俺の中に闇の魔力があり、闇属性の『天化(てんか)』を使用している状態になっているのと同じだと気が付いた。


俺はなんとかそれを解除しようとしたが、その前にモンスター達が俺の元に辿り着きそうになった。

俺はそれを見て苦肉の策だと言わんばかりに顔を顰めながらも闇属性の『天化(てんか)』の特徴である影を操る事が出来る能力で影を操り、その影で全てのモンスター達を串刺しにしようとした。


当たればそれなりのダメージを与えられるだろうが、闇属性の性質上それは無理だと思いつつも、実行した。


闇属性の性質、それは攻撃に向かない場所がある事や使用者の精神状態に大きく依存する事。

まず、闇属性は他の属性同様に身体能力が上がる他に、影を操る事が出来るが影が濃くないと威力を出す事が出来無いし、逆に影が消えていると影を操る事が出来無い。


次に闇属性は使用者の精神状態が病んでいれば病んでいる程(負の感情を抱えている程に、と言い換えても良い)に、身体能力の強化や影を操る能力、闇属性の魔法威力が増大する。

ただ俺は人に恨みを抱いてはいないし、痛みには強いが痛みが病んでいる、負の感情と言ってもいいそれに該当するのか分からなかったので、使用して来なかった。


今回実行した闇属性の影を操る能力で出した影の形は各モンスターの頭を貫く様に、縦に細く硬い針を想像しながら影で針を作った。

そして、俺が作り出した影の針とでも言うべき攻撃は、確かに針の形をしていたが、その針は直径が70cmはあるのではないかと思う程に大きかった。


俺が出した影の針は、俺の一番近くにいたモンスター達以外には全てのモンスターに当たり、10体程のモンスターが魔石とドロップアイテムに変わった。


俺はこの攻撃のあまりの威力に驚いたが、闇属性の魔力の持ち主を思い浮かべて、こんな馬鹿げた威力になった事が理解出来た。


(本来なら俺の3分の1もステータスがある相手には牽制に使えるかどうかの、『天化(てんか)』状態での自然の直接操作(魔法に近い)。それがモンスターを倒した?さっきまでは俺の攻撃も通っていなかった相手に?


いや、さっきの闇属性の『天化(てんか)』はジャンヌ・ダルクの魔力が擬似的に起こしたもの。つまり、ジャンヌ・ダルクは負の感情が強い事を示すし、それならば理解出来る。


だけどなんで今回のモンスター相手に攻撃が通ったんだ?魔力の元がジャンヌ・ダルクだったからか?)


俺がそこまで考えた所でモンスターが俺の元までたどり着いた。

俺は痛みが抜けて立てるようになったとはいえ、色々と考えたい事があったので、ジャンヌ・ダルクから無理に入れられた闇属性の魔力が殻になっている事を確認してから、土属性の『天化(てんか)』を発動させ、地面を操り自分をドーム状の壁で覆った。


すぐに破られるだろうが、少しの間だけ考える時間があれば問題は無い。

俺はそう考えて、即効型と遅延型の両方の魔力回復薬、体力回復薬を飲みながら考えていた。


(なんで、さっきの攻撃は俺の近くに居たモンスター達以外には効いた?

ジャンヌ・ダルクの魔力を使ったからか?

いや、それならば全てのモンスターに効かないとおかしい。


という事は、何らかの方法で一部のモンスター達に透明なシールドの様な物を張っていたのか?

そらならば、『アスレイア』がモンスターに当たらなかったのも理解出来る。

でも、どうやってそのシールドを張られているモンスターとそうで無いモンスターを見分ける?

漫画とかでよく見る煙幕でも張って、見えない物を擬似的に見えるようにするのを試してみるか?


いや、それは小麦粉っぽいもので、あれを試そうとした時にモンスター達と相対して違和感すら感じなかったから意味は無いか。

それならいっその事、全てのモンスターに同時に攻撃を入れるか。

でも、どうやって?)


俺がそこまで考えた所で4本の回復薬を飲みきり、土の壁にモンスター達が攻撃を開始した。

すぐに壊れるだろう土の壁に注視しながら、考え続けた。


(『天化(てんか)』なら範囲攻撃出来るか?

でも下手に『天化(てんか)』を使っても魔力を無駄に消費するだけだよな。

それに大規模な魔法もアレ以外には使えないし、準備もいる。


準備をしないとすれば、土属性と火属性の『天化(てんか)』を同時に使えないと自分でも成功する未来が見えー、・・・待てよ?

さっきの闇属性だけの『天化(てんか)』の状態になる前に、雷属性の『天化(てんか)』を纏っていたよな?

それはつまり激痛が走ったとは言え、同時に出来ていたって事だよな?


つまり、土属性と火属性でも激痛が走るが同じ事が出来るんじゃないか?)


俺がそこまで考えた所で、土の壁の一箇所が破られた。

俺は『アスレイア』が手元に無かった事もあり、玉砕覚悟で賭けに出る事にした。


俺は土の壁をハリネズミの様に尖らせてから、即座に一部を崩し脱出。

モンスターの中を素手でなんとか切り抜け、ルームの中心まで移動した後に『天化(てんか)』を2重で発動しようとした。


しかし、両方発動する事が無かった。

俺はこれに焦り、モンスターが追ってきたのもあり、ルームの中心から走り出したが、思考は止めずになんで2重で発動しなかったのかを考えていた。


(なんで両方発動しなかった?確か『天化(てんか)』は体に属性の魔力を流し、強化する技術の筈。それなら2重も出来ない事も無いはー、待てよ?ウェストは『『天化(てんか)』は体に属性の魔力を流し、強化する技術』なんて言ってなかったよな?それなら違うのか?


いや、今考えるのはそれじゃ無い。どうやって『天化(てんか)』を2重で発動させるかだ。何時もは全身に属性の魔力を張り巡らせる感じでやってるから、・・・半々でやってるか!?この際、適当でも手探りでやるしかない!!)


俺はそう考えて体の右半分に火属性、左半分に土属性の魔力を張り巡らせるイメージで『天化(てんか)』を発動させていた。


結果は、成功。

でも・・・普通の『天化(てんか)』よりも魔力を多く使うし、体が痛い!!

さっきよりはマシだけど長くは持たせられない!!


俺はそう考えて即座に土属性の特徴で砂を操り、ルームの中に砂嵐を起こした。

ダメージは一切無いが、これでイメージはしやすい。


そして、自分は足を止めないでアレを起こす準備ー今ある魔力(10万)で『天化(てんか)』を応用し、ありったけの魔力(100万)を集めながらーをしながら、イメージを固める。

具体的なイメージは粉塵爆発。


本当の粉塵爆発は条件が合っていないから起こらない。

だから俺が『天化(てんか)』で無理矢理起こす!!


「『粉塵爆発ダストエクスポーション』!!」

どうでしたか?

後半がかなりぎりぎりで仕上げたので、変な所があったかもしれませんが、お許し下さい。

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