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166話   ジャンヌ・ダルク④

今話から前書きは無しで行きます。

お知らせや変更点がある場合は後書きに書くのでよろしくおねがいします。

「はぁ、はぁ、ちっ!!くそだな」


俺はルームに蔓延している煙に隠れながら精神的な疲れから、少しだけ息を切らしつつ、舌打ちをし、悪態をついた。

それもこれも現在の状況が、勝ち筋が見えない泥沼の様な戦いになっているからだ。


まず、今はジャンヌ・ダルク+ジャンヌ・ダルクの配下のモンスターと戦闘を開始して、15分が経過しているのに、一体のモンスターも倒せていなかった。

本来なら通常のステータスに3倍くらいの差があり、その差に武器や防具のステータスが加算されるので、相手が120体居ても戦闘がこんなに長引く事は無いし、15分も戦闘をしていれば少なくとも半分くらいは倒せる筈だった。


しかし、全く違った。

その上、15分も連続して戦闘をしているせいか、何回か俺がモンスターの攻撃を受けてダメージをくらった。

まあ、『超再生』で客観的には肉体のダメージは無いし、戦闘中でも徐々にステータスの体力は回復しているが、ステータス上の体力は1万くらいは削れている。

因みにステータスの体力はスタミナでは無いので、俺が息切れし始めるのは仕方ない。


それは置いておいて、現状で判明している事がいくつかある。


1つ目は、相手のモンスター達は硬いのでは無いという事。

俺は最初の『チェイン』と通常攻撃で倒れなかったモンスター達は、ジャンヌ・ダルクになんらかの支援をして貰っていると予想した。

この予想が正しいかは未だに分かってないが、これが支援だったとしたら、通常の支援(攻撃力を上げるたり、防御力を上げる魔法)で無い事だけは確かだ。


これが確かだと思った理由はモンスターに入る筈の攻撃が全て弾かれるからだ。

正確に言えばモンスターに攻撃が当たるよりも一瞬だけ早く消えていると行った方が正しいと思う。


そう思った理由は、どうにか攻撃をいれてモンスターを倒そうとして、多少落ち着いた状況の時(モンスターに囲まれておらず、一対一に持ち込めた時)に通常攻撃をいれ、その瞬間を見ていたからだ。

俺がモンスターにいれようとした瞬間、モンスターに当たる前に『アスレイア』が壁の様な何かに当たる様な感覚と同時に止まったからだ。


それに驚きつつも、同じ様な条件で次は魔法で試した所、これも同じだった。

要するに、その壁をどうにかしないとダメージすら与える事が出来ない。


2つ目は、『チェイン』の弱点が判明した事。

俺は『チェイン』の事を「強敵には使いづらい能力だけど、俺よりも格下相手なら、特に大多数戦の時には非常に心強い能力」だと評価していた。


しかし、『チェイン』には「『チェイン』の発動する始点の行動が成功しなければ、発動しない」という弱点が存在していた為に評価を落とさざる終えなかった。

『チェイン』は勿論強力だが「始点の行動」、つまり通常攻撃を『チェイン』の対象にしたならば、何かにその通常攻撃を当てなければ『チェイン』に魔力だけ持っていかれて、防御不可の攻撃は現れないという事だ。


これに気が付いた俺は、そこら辺に転がっている石に『チェイン』込の通常攻撃を当てて、モンスターに効くのか試そうとしたが、その行動はモンスター達に尽く邪魔されている。


多分だがジャンヌ・ダルクが指示をしてそうしているんだろう。


3つ目は、ジャンヌ・ダルクの『指揮』のスキル。

向こうの世界で尊に『指揮』のスキルの事を聞いた時は「自分の指揮の声を通しやすくするスキルだから、使えないかな」と言っていた。

しかし、こちらの世界に来てからの『指揮』スキルと言ったら優秀すぎる。


まあ、ジャンヌ・ダルクがモンスターを従えている理由が『指揮』のスキルとは限らないんだが、『リビングメイル』ではそうだったし、ジャンヌ・ダルクも近い事をしているから、多分『指揮』の筈だ。


ただ、これはどうしようも無いので、モンスターがこれ以上増えない事を祈るしかない。


4つ目は、確定じゃないが、恐らくジャンヌ・ダルクが持っている旗、あれはなんらかのアイテムだと思う。

ただジャンヌ・ダルクとは周りのモンスターが邪魔して直接対決は出来ていないから、どんなアイテムかは分からない。


因みにジャンヌ・ダルクの持つ旗がなんらかのアイテムだと思った理由は、ジャンヌ・ダルクがその旗を俺に向けて来ているから。

正確に言えば、俺がジャンヌ・ダルクが持つ旗の正面から外れた際に、旗の正面を俺に向け直し、常に俺に旗を向けて来ている。


しかし、その旗の効果が分からない。

あからさまな、俺に対するデバフやモンスターへのバフならば、バフやデバフが切れるたびに動きに差が出る筈なので分かる。

だが、そう言った変化は無いので、なんらかのアイテムだろうと予想するしか無い。


まあ、ジャンヌ・ダルクがそう思わせたいと思っている可能性もあるが、それは考えないようにする。


以上4つが戦いながら得た相手の情報だ。

まあ、相手のモンスターは魔法が使えるとかの、細々とした情報は他にもあるが、大まかな情報は4つだった。


「けほけほ、仕方ないとはいえ煙い」


俺は現状の情報を思い出しながら苦虫を口に詰められたような顔をしながら、煙で咳をしつついった。

俺が咳をした原因は、15分も同じルームで戦闘してるからか、大量に舞っている土煙、ではなく土煙の様に見せて少しずつだが、このルームに充満させている小麦粉っぽいものだ。


え?

なんで、そんなに小麦粉っぽいものを持ってるかって?

まあ、あれだよ、点の攻撃をしても駄目だから、面で攻撃をしようと思ったんだ。

そして、その面での攻撃に向こうの世界でどうやったら強い魔法が使えるのかを試してる内に、使える事が分かった魔法を使う。


それは日本なら結構な人が知ってる、あれを試そうと向こうの世界で色々と調達したは良いものの、結局使わなかったやつの再利用で、小麦粉では無いけど、同じ現象を起こせたから小麦粉っぽいものだ。


因みに強い魔法が使えるのかを、『天化(てんか)』使用状態で確かめたら、何も使わなかった場合は中級魔法(距離は関係なく威力重視で、威力によって魔法の級が決まる)までしか使えず、何かの道具を使い「これを使うと強い魔法が使える」と思い込むと、上級魔法以上も使えた。

俺的には釈然としなかったのだが、イリーナ曰く「自身が魔法を使えないと思っていたならば、何かの道具に頼らざる終えません。魔法は結局のところは、使おうとしている魔法をどれだけ自分自身が使えると思い込むかにかかっていますからね」との言葉を貰った。


まあ、それでなんとかスキルレベルに換算すると7くらいの威力を出せる様にはなったが、そこでどうやったらそれ以上の威力を出せるかといった実験や安定かつ素早く魔法を使う為の練習も続ける時間がなかったので、かなり久々に上級魔法を使う。


本当なら対【ナンバーズ】に取っておきたかったけど、【ナンバーズ】との戦闘で、こんな風に魔法を発動する準備をする時間は無い。

それなら他の魔法を使えば良いとか思うのだろうが、今の所で準備をして成功確率が100%なのが、今準備している魔法だけなので仕方が無い。

他の魔法は良くても50%くらいしか発動しないのだ。


範囲はこのルーム全てで、発動直前でルーム外に退避して使用する予定だ。

なにせ魔法はスキルを持っていても、魔法の範囲内に自身が居れば普通にダメージを受ける。

要するにフレンドリーファイヤーありの自爆もありな中々にシビアな現実があるというだ。


本当ならスキルレベル7くらいの魔法なら喰らっても問題は無いが、魔力が減るとステータス上の魔防は変わらなくても、実際の魔防は多少減っているらしいので、保険だ。

なにせ、上級魔法を使うには大体10万の魔力を使う(才能があればもっと消費魔力も減るらしい)のだが、それに必要な魔力の総量は『天化(てんか)』を発動させている(『天化(てんか)』を発動させると1の魔力で空気中から10の魔力を獲得出来る)のに1万だ。


まあ、1万なら俺の魔力量からして、そこまで問題にはならないが、『チェイン』にも魔力を使うし、戦闘で相手に攻撃されない為に緊急回避する時にも魔力はつかうので、残りの魔力量は12万3000程、それに初見殺し的な意味も含めて一回で倒しきりたい。


そろそろルームに小麦粉っぽいものが半分はルームを満たす頃だから、後で出入り口を塞いだ上で、上手く火種をルーム内に出す作戦を、小麦粉っぽいものの中にいる俺を正確に捉えて襲って来るモンスターを退けながら、考えていた。


俺はそんな事を考えながら、更に小麦粉っぽいものを撒く準備をしていると、ジャンヌ・ダルクの声が聞こえてきた。


「仕方ありませんね。お前達、吹き飛ばしなさい」


そう声が聞こえて来た為、俺は最悪の事態を想定して、モンスターに全方位を囲まれていても、特にモンスターの気配が多い正面から急いで退避した。

そして退避した次の瞬間に小麦粉っぽいもので作った隠れ蓑兼面での攻撃に使う粉が竜巻の様に風が一点に凝縮し、その竜巻は粉を壁際に吹き飛ばした。


隠れ蓑兼面での攻撃に使う粉を吹き飛ばされて、モンスターの前に無理矢理引きずり出された俺にジャンヌ・ダルクは微笑みながら言った。


「貴方が何を考えていたのかは知りませんが、貴方に長く時間を与えるのは愚策も良い所ですから、あの白いのを片付けさせて頂きましたよ」


俺はジャンヌ・ダルクの言葉に顔を歪めながら言った。


「それはどうも。出来れば、俺的には俺をもっと侮ってくれれば助かるんだがな」


俺がそう言うと、ジャンヌ・ダルクは微笑みを維持しながら言った。


「貴方は、私()()よりも強く、早く、硬い。そんな人物をどうやって侮るのですか?」


俺がジャンヌ・ダルクの言葉に込められた『俺のステータスを知っているぞ』と言う意味に気が付き、一瞬目を見張ってから再び苦虫を詰められたような顔をした。


そんな俺を見ながらジャンヌ・ダルクは微笑みモンスターに指示を出した。


「さあ、お前達!!そこの者を倒し、主への土産とするのです!!」


俺はジャンヌ・ダルクのその言葉を聞き、顔を歪めながら、俺に迫ってくるモンスター達との戦闘再開を強要された。

どうでしたか?

なんだか前にも前書きは無しで行きますとか言っていた様な気もしますが、今回は本当に無しで行きます。

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