147話 ダンジョン級設定
最近は書きたい内容を書いているせいか、筆の進みが中々早いです。
なので今日もちょっと早めに出しました。
お楽しみ頂けると幸いです。
俺がイリーナの所に戻ったその時、『スケルトンキング』が立っていた辺りから巨大な魔力の反応が突如として現れた。
俺はそれを察知した瞬間には、その場を飛び退きイリーナの隣まで移動した。
俺は『アスレイア』を構えながら、イリーナは『アロー』系統の魔法を多重発動した上で発射寸前で止めて待機状態にして、魔力が現れた地点を見つめていた。
すると、俺とイリーナが見つめていた地点が光りだした。
俺は『強者の入口』の時の様な光景に、何かが出てくるのかと警戒を強めたが、光は一度強くなってから、消えてしまった。
俺は光が消えてから、イリーナに聞くように呟いた。
「さっきの光は何かの魔法、だよな?攻撃魔法でも、『転移』系の魔法でも、光終わって何も無いのはおかしくないか?」
俺がそう言うと、イリーナも少しだけ戸惑いながら言った。
「そう、ですね。この世界だと『聖属性魔法』や『付与魔法』には、光るだけの魔法や物に付与する際に光る魔法はありますが、ここはダンジョンですから、そちらの線は考えづらいでしょうし。
これは仮説ですが、先程の光は魔法では無いのでは無いですか?」
イリーナが少し考えながらそう言った。
俺はイリーナの仮説を聞いて、多少なりとも「もしかして、さっきの光は魔法じゃないんじゃないか」と考える様になったので、イリーナに更に聞いた。
「さっきの光が魔法じゃ無かったとしたら、さっきの光は何だと思う?」
俺がそう聞くと、イリーナは首を横に振りながら答えた。
「流石に検討が着きませんね。この世界のダンジョンにダンジョンマスターが居るならば別ですが、そのような話は聞きませんし」
俺は「流石のイリーナでも分からないか」と呟くと、少し考えてからイリーナに言った。
「危険かもしれないけど、光っていた場所を見に行こう。『世界の本』のカードは持って来てるから、何かの魔法陣があったり、正体不明の物があっても『鑑定』LvMAXで何か分かるかもしれないし」
俺がそう言うと、イリーナが頷きながら言った。
「その方が良いかもしれませんね。今は非戦闘員である冒険者ギルドの受付嬢さんも居ますし、Cランク冒険者パーティーも居ますし、私も『鑑定』は使えますから私でも詳細情報が分かるかもしれませんし」
俺は「イリーナって『鑑定』も使えるんだな。凄いな」と思いながら、イリーナと一緒に光っていた方に歩いて行った。
先程光っていた場所には、地面に2つの魔法陣が掘ってあった。
より正確に言えば、深さが5cmくらいの溝が地面にあり、その溝が何かの魔法陣の形をしていた。
俺は『世界の本』の『鑑定』を発動させて、その魔法陣の情報を得ようとした。
『鑑定』の結果、目の前にある魔法陣は、『転送魔法陣』である事が判明した。
ただ転送先は表示はあるものの、転送先の欄には何も書いていなかった。
しかも、先程感じた巨大な魔力はいつの間にか霧散しており、『転送魔法陣』も機能していなかった。
因みにこのルームには、下の階に行く階段が奥の方に存在していたので、この『転送魔法陣』は下層に行く為の物では無い。
それを不思議に思いながら、イリーナと顔を見合わせて、このルームには危険が無いと判断した事を確認し合ってから、受付嬢さんとCランク冒険者パーティーを呼んだ。
受付嬢さん達は俺達が呼ぶと、すぐにルームに入って来て、ルームの真ん中くらいまで歩いて来た。
ルームの真ん中くらいまで来た受付嬢さんは、アイテムボックス(魔道具)から、スマホくらいの大きさの半透明な板を取り出した。
俺はそれで一体何をするのかと思っていると、半透明な板から上にプロジェクションマッピングの様に見える光が出て来た。
その光はある程度の大きさに広がる(ノートパソコンの画面くらいの大きさ)と、何かの文字を出し始めた。
その文字は上から、階層、徘徊モンスター平均ランク、ボスモンスターランク、ボスモンスタータイプ、特異性、総合級の順に書いた。
そして、その文字の横には数字やランク等が書かれた。
その数字やランクは、上から順に65、C級、B級、軍隊タイプ、小、B上級だった。
それを見て、Cランク冒険者達は「まじか」と嫌そうな顔をしており、逆に受付嬢さんは「ついにこの街の近くにも正式なダンジョンが、しかもB上級!!これなら冒険者が集まりそうです!!」と言って喜んでいる。
俺的にはどうやって何も無い空中にプロジェクションマッピングの様に映像を写してるのか聞きたいが、技術面に関しては聞いても分からないから、我慢する。
それに書かれていた文字ま大体は分かるが、特異性や総合級は良く分からなかった。
なので、喜んでいる所悪いが受付嬢さんに聞く事にした。
「ねえ受付嬢さん。この特異性とか総合級、それにB上級って何?」
受付嬢さんは俺の質問に首を傾げて、俺に言って来た。
「お二人はダンジョンの級の設定に立ち会ったのは初めてなのですか?」
俺とイリーナが首を縦に振ると、受付嬢さんが「やってしまった」と言う顔をしたが、すぐに説明してくれた。
受付嬢さんの話をまとめるとこうだった。
ダンジョンの級は冒険者ギルド本部から、各支部に一台だけ配られる端末(名前は『ダンジョンリサーチ』)によって決定される。
端末に表示された数値の全てを総合して決定される『総合級』が冒険者ギルド各支部が発表するダンジョンの級。
特異性はスタンピードやダンジョン探索中のイレギュラー、【亜種】モンスターの発生率等で決定され、特異性は無、小、中、大、特大の5段階あるらしい(現在までに大と特大は確認されていない)。
B上級と言うのは、このダンジョンがBランク冒険者パーティーの上位の実力なら完全攻略可能と言う事らしい。
因みにB上級の上級とはなんの事か、受付嬢さんに聞いた所「Bランクは冒険者ギルド支部が支部の判断だけで出せる最上級のランクな上に、冒険者ギルド本部はAランク冒険者以上を中々指名しませんので、Bランク冒険者は同じランクでも実力にかなりの開きがあるんです。
そこで冒険者ギルド本部はBランク冒険者のみを対象に、下級、中級、上級、超上級の4種類に分けたんです。そして、ここの正式級はB上級、と言う事は完全攻略するにはB上級以上の実力が無いと厳しいんです。因みにダンジョンで活動するだけならB下級でも出来ますし、各冒険者ギルド支部で質問して頂ければ、Bの何級かはお教えしておりますよ。
ただBランク冒険者以下の方は、Bランク冒険者に級があるのを知らない方が多いいですから、あまり聞きにいらっしゃいませんけど。それと上級と超上級はAランク冒険者並みの実力だと判断されます」と中々に長い回答が帰って来た。
それにしてもBランク冒険者には、そんな制度があったのか。
俺達はいくつかランクを飛び級しているので、Bランク冒険者の級制度は知らなかった。
俺が「冒険者は奥が深いのか?」とか考えていると、受付嬢さんが俺に「Bランク冒険者に級が存在するのを知るのは、ギルド職員かBランク以上の冒険者ですから、飛び級して暫定Sランク冒険者になられたお二人は知らなくとも仕方ありませんよ」と慰めるような声色で言って来た。
どうやら俺が考え事をしているのを、受付嬢さんは「暫定Sランク冒険者なのにBランク冒険者が知っている事を知らなくて恥ずかしい」と勘違いしたらしい。
別に困る事は無いんだが、その後から受付嬢さんが生暖かい目で見てくるので、それだけはやめて欲しい。
俺がそんな事を考えていると、Cランク冒険者パーティーの『落ちたパーティー』の人達が魔法陣を見ていた。
そんな時、俺はある事を天啓の様に理解した。
俺が理解した事、それは「『落ちたパーティー』と『堕ちた旅団』は、こちらでの発音が違うのではないか」と言う事だ。
いや、今現在はとてもどうでもいい事だとは分かっているんだが、なんで『堕ちた旅団』と『落ちたパーティー』の文字が違うのか気になっていた俺としては、スッキリとした感じがした。
俺がそんなどうでもいい事を考えていると、イリーナが俺に各ギルド本部から送られた『スマホ』を渡して来た。
俺は『スマホ』を受け取りつつ、イリーナに聞いた。
「なんで急に『スマホ』を?」
俺がそう聞くと、イリーナはCランク冒険者達と受付嬢さんを見つつ、言った。
「このダンジョンはB上級となっていますが、あの『転送魔法陣』が起動した場合や魔法陣の消失が確認されない場合は、冒険者ギルド本部がAランク以上の冒険者を派遣して調査する為に、時間がかかるらしいので私達にあの『転送魔法陣』の調査を依頼してくるでしょう。
それならば先にこちらでやってしまおうかと思いまして」
俺はイリーナの言葉を聞いて頷きつつも、聞き返した。
「なるほどね、『転送魔法陣』の調査か。それは理解したけど、なんで『スマホ』を俺に渡してきたの?」
イリーナは俺の質問に目を逸しつつ答えた。
「いえ、実は受付嬢さんに魔法陣の上に乗って起動しないか確かめて欲しいと言われて、それを了承してしまいまして。なので、何処かに転送させられた場合にその『スマホ』で連絡を取れたら楽なので」
俺はイリーナの回答に「正式に依頼された訳でも、元から依頼されてた内容でも無いのに、イリーナはお人好しだな」と考えながら、イリーナに聞いた。
「うん、まあそれも分かったけど。この『スマホ』でイリーナと連絡取れるの?この『スマホ』にはそう言う機能はなかったと思うけど」
そう質問した俺に、イリーナは悪れていたとばかりに手を叩いてから説明を開始した。
「実はその『スマホ』、『念話』の様に遠隔で相手と話す事が出来る者が魔力を込める事で、その魔力の持ち主の魔力を記録できます。
登録する利点は、その『スマホ』と登録した魔力の持ち主は、双方向での遠隔での会話が可能になるんです。そして、その『スマホ』には私の魔力を登録しているので、遠隔での会話が可能ですし、私には『転移』系の魔法もあります。
なので、もしも転送させられても大丈夫かなと」
俺はイリーナの説明にため息を付きながら、言った。
「はぁ〜、『スマホ』で連絡を取り合えるのは、もっと早く言って欲しかったけど、『転送魔法陣』が動くかを確かめるのは、イリーナか俺かだとしたら圧倒的に俺だろ?
イリーナも『転移』が使えるかもしれないけど、その他の魔法も沢山使えるし、ウェストと連絡を取るのは、イリーナの役割だろ?それなら、『転送魔法陣』が動くかを確かめるのは、何処かに転送させられても、影響が少ない俺だろ?」
イリーナは俺の言葉に慌てて反論しようとしたが、俺はそれをさせずに『転送魔法陣』の方に歩き出した。
「この魔法陣からは魔力が感じられないけど、もしもこれが動いたら、探しに来てくれよイリーナ。まあ、流石に動かないと思うけどな」
俺がそう言い切った瞬間、俺は『転送魔法陣』を踏んだ。
そして、俺が『転送魔法陣』を踏んだ瞬間、周囲には目を開けていられない程の光が起こった。
そして、俺がようやく目を開けられる様になって、周囲を見回すとイリーナ達やCランク冒険者パーティー、受付嬢さんの姿は無く、しかも俺が『スケルトンキング』を倒したルームよりも小さくなっているルームを見て、俺は自分の現状を理解した。
なので、俺は天を見上げながら、顔を手で多いながら言った。
「あの魔力が一切感じられない状態から、俺が魔力に反応出来ない速さで一気に『転送』させられるとは思わなかった」
どうでしたか?
次回からは流空視点や尊視点、イリーナ視点等など、良く視点が変わっていきますが、なるべく区切りが良い所で切って行きたいと考えていますので、お許し頂けると幸いです。
次の投稿は6月10日の午後9時〜11時(基本午後10時)の予定です。
午後11時までに投稿してなければ、その日は無しでお願いします。
その後の予定は、一応後書きで書いている、その時の投稿ペースの予定です。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力や展開、サイドストーリーやキャラが欲しい等など何でも送って頂いて大丈夫です。
送って頂いた物に関しては積極的に取り入れて行きたいと思っています。
ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします。
申し訳ございません、寝落ちをしてしまいまして、今日の分を書き終わっておりません。
なので今日の投稿は無しにします。
次の投稿は日曜日になりますが、お許し下さい。