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134話   エリザベートとの会話

え〜、サブタイトル詐欺と思う方もいるかもしれませんが、まともなサブタイトルが思いつかないのでお許し下さい。


お楽しみ頂けると幸です。

胸に穴が空いたエリザベートは『アスレイア』を落とした。

その後は、倒れ込む様に(実際に倒れ込んでいるのだが)地面に膝を付いて、うつ伏せになって倒れた。

そして、他の【ナンバーズ】と同じ様に、足元から段々と塵になって消えて行っている。


俺がそれを見ながら息を整えていると、木と墓石の奥からグラニーが出て来た。

ただグラニーは顔が真っ青になっており、かなり具合が悪そうにしていた。


俺は何故そんな事になっているのか分からなかった為に、あたふたとしながらグラニーに話しかけた。


「グラニー、大丈夫か!?どうしたんだ!?まさか、【ナンバーズ】にやられたのか!?」


俺がそう聞くと、グラニーは首を横に振った。

俺はグラニーがこうなった訳をグラニーに聞きたかったが、これは聞ける状態では無いと思った。

なので、俺は『カード超開放』を使い、グラニーを回復させてみようと思った。


俺はそこまで考えた所で、「ハッ」と気がついた。


(そう言えば、『アスレイア』がエリザベートの近くに落ちてたとに、『アスレイア』で戦闘をする様に命令しておいたグラニーの分身(『カード実体化』によるもの)が、近くに居なかった。つまり、グラニーが具合を悪そうにしていたのは、複製カードがエリザベートに破壊されたからか!!)


俺はその考えに至ったので、急いで魔力回復薬(複製カード完成後に飲む)を取り出しつつ、グラニーに『複製カード』を使った。

俺がグラニーの複製カードを作ると、何時も通り頭痛が襲って来た。

俺はそれが魔力不足によるものだと理解していたが、今魔力を追加する為に魔力回復薬を飲んでも、すぐに複製カードを作る為に使われる為に意味が無いので、我慢して複製カードが出来るのを待った。


頭痛を我慢する事、約45秒後に複製カードが完成した。

俺は複製カードが出来ると、すぐに魔力回復薬を飲んだ。

俺は固定値回復型の魔力回復薬を飲みアイテムボックスに仕舞うと、今度は遅延回復型の魔力回復薬を取り出して飲んだ。


俺は頭痛は取りきれていないものの、動ける様になったので酷い顔色のグラニーの近くに、俺が飲んだ物と同じ種類の魔力回復薬を一本ずつ置いた。


因みに、魔力回復薬はさっき俺が飲んだ固定値型魔力回復薬と遅延型魔力回復薬の二種類がある。

固定値型魔力回復薬は即効性に、遅延型魔力回復薬は魔力回復量に利がある。

ただし、どちらにも弱点があり、固定値型魔力回復薬はMAXでも1万しか回復しない。

逆に遅延型魔力回復薬はMAX5万までは、魔力が回復するが時間がかかるのだ。


まあ、ダンジョン産の魔力回復薬は、この常識を覆す物が時たま出るので、絶対では無いが。


頭痛を紛らわす為に、そんな事を考えていたのだが、未だに頭痛が直らないので『天化(てんか)』の応用で魔力を集めて、自身の魔力に還元した。


そうする事でやっと頭痛が収まってきた所でエリザベートに目を向けた。

エリザベートは既に腰から下は無かった。


俺がそれを眺めていると、エリザベートが話しかけてきた。


「イレギュラー()()。貴方の名前を教えて頂けませんか?」


俺は急に丁寧語になったエリザベートを少しだけ警戒したが、何も出来はしないと考えて、エリザベートに答えた。


「俺は流空だ、お前の腹に穴を開けたのはグラニーだ」


俺がそう答えると、エリザベートは体をモゾモゾと動かし始めた。

俺は「何だ!?」と警戒して、『アスレイア』を抜いたが、エリザベートはうつ伏せだった体を仰向けにすると止まった。


エリザベートは『アスレイア』を抜いて警戒していた俺を見ると、困った様に微笑みながら答えた。


「なるほど。私は()()()()()()()()()、リクさんやグラニーさんを殺そうとしていたのですよね。


配慮が足りませんでした。申し訳ありません」


俺は急にエリザベートがしおらしくなったので、目を白黒させた。

エリザベートはそんな俺を見ながら、話を続けた。


「ですが私に時間が無いのも事実です。なので単刀直入に言います。リクさん。このダンジョンの一層の出口には、化け物が居ます。それこそ、リクさん達と敵対していた頃の私でさえ、10秒持つかどうかの化け物です。


そして、その化け物と一緒に1人、『フォウト』の街には2人の【ナンバーズ】が居る筈です。


その化け物の能力は『略奪』系ですが、様々な生物を取り込み、多彩なスキルを使います。そして、今現在はその化け物が完全体となる為の最後のピースと同化している筈ですから、気を付けて下さい。


化け物と一緒に居る【ナンバーズ】は、強いは強いですがその化け物と切り離してしまえば、大丈夫な筈です。


『フォウト』の街に居る【ナンバーズ】の能力は分かりませんが、2人なので戦闘が出来るイレギュラーが3人も居れば大丈夫でしょう」


エリザベートが一気にそう言った。

俺は急な展開について行けなかったが、エリザベートがそこまで行った時に復活した。

しかし、【ナンバーズ】が他の【ナンバーズ】の弱点まで教えるのはおかしいと思ったので、エリザベートに聞いた。


「何故、他の【ナンバーズ】の弱点を俺に話すんだ?お前達ならヒントくらいはくれても、答えを直接教えるなんて事はしないんじゃないか?」


エリザベートは俺の質問に、困った様に答えた。


「私は本当の【ナンバーズ】では無く、仮席だと言いましたでしょう?それは実力の問題もありましたが、私が私の存在する理由全てを恨みきれていなかったからです。


それでも私が【ナンバーズ】の仮席になってしまったのは、【ナンバーズ】の主の血を大量に飲まされた後に、その血に精神支配を受けていたからです。


それも貴方達が私に相当なダメージを与えたお陰で、解けましたけどね。なので今の私は【ナンバーズ】では無く、普通のエリザベートなのです」


俺はそれを聞いて思考が止まった。

エリザベートの言う事が全て本当なら俺は、俺達は【ナンバーズ】じゃない普通の人を殺ー


「大丈夫ですよ、リクさん。私が正常な状態に戻ったのは、倒れ込んで少ししてからです。ですから貴方達はただ【ナンバーズ】を倒しただけです」


俺が駄目な思考に行きかけていると、エリザベートがそう言った。

エリザベートが言った情報は多少の気休めになったものの、それでも俺が普通の人を殺した事には、変わりない。

俺がそんな事を考えていると、まだ少し顔色が悪いグラニーが俺に話しかけてきた。


「リク、キツイなら休んでて良いわよ。私は前に何回も同じ様な事があるし、私がこの先は聞いておくわ」


俺はグラニーの言葉を聞いたものの、首を横に振ってそれを拒否した。

グラニーはそんな俺を心配そうに見つめていたが、俺の意志が堅いのが分かると1度ため息をついてから、話し始めた。


「今の貴方はしっかりと自意識があるエリザベートさん、でいいのよね?他に【ナンバーズ】の情報はない?」


エリザベートは横に首を振った。

それを見たグラニーは、仕方ないかと言った風な表情をして、エリザベートに言った。


「それなら何か言い残しておきたい事はある?もう肩から上しか残っていないけど、少しくらいなら話せる筈よ」


グラニーがそう言うと、エリザベートは笑顔で言った。


「少し前まで敵対していた私に優しくしてくれるんですね。それにしても、死ぬ直前なのに言い残しておきたい事は特にありませんね。


ああ、言い忘れる所でした。貴方達と一緒にいた女の子とそれと同じ様な鎧を着て、森の中を歩いていた人達は街に『転送魔法陣』で送って置きましたから大丈夫ですよ」


「分かったわ。ありがとう」


グラニーがエリザベートにそう言うと後は誰も話さなかった。

しかし、少しずつ塵になって消えて行っていたエリザベートが、顔の右半分が塵になった始めた辺りで俺達2人を見て、泣きそうな笑顔で言った。


「お二人とも。私を殺してくれて、ありがとう」


グラニーはエリザベートの言葉を聞いて、悲しそうに目を伏せた。

逆に俺はエリザベートの言葉を聞いて、目を見開いて固まった。


そして俺が固まっている間に、エリザベートの体は完全に塵となって消えた。

俺はエリザベートが消えてからも目を見開いていたが、グラニーがそんな俺の肩を叩いて言った。


「初めては辛いと思うけど、今は街に戻るのを優先しましょう」


俺はそう言ったグラニーに頷いて答えて、グラニーと一緒にダンジョンの内側へと歩き出した。




◇尊視点(リク達が『フォウト』の街を出発して少し経った頃)


私は流空が『ケスメト山脈』へと調査に入ってから、街の外を監視していた。


まあ、監視と言ってもモンスター達は、何時も決まった方向からしか来ないらしいので、私とレネンスは何時も襲って来る方向に、イリーナはその私達とは逆方向に待機している。

因みにイリーナが1人なのは、イリーナならモンスターの大群が来ても、私達が到着するまで耐えれる可能性が1番高いから。


そんな訳でモンスターに襲われる確率は、こちらの方が高い。

それなのに、レネンスが私に気の抜けた事を言う。


「ミコト〜、眠いよ〜。寝てていい〜?」


私はそんなレネンスにため息を付きながら答えた。


「あのね〜、レネンス。私達は今、森からモンスターが来ないかを監視してるのよ?他の冒険者達も監視しているとは言え、ここにモンスターが来る可能性は1番高いと言っても過言じゃないの。


それなのに伝令役のレネンスが寝たら意味がないでしょ?」


レネンスは私の事を見ながら、不満そうな顔をしていたが、何かを思いついたのか、顔がにやりとなった。

そんなレネンスは次の瞬間には、悪い顔をして私に言った。


「へ〜、そんな事言って良いんだ〜。僕知ってるよ〜。


たまにミコトが〜、夜にモゾモゾとしながら〜、リクの事を呼んー」


私はレネンスがそこまで言った所で、『リエイ』の『自由自在』を使ってレネンスを縛り上げた。

私は縛り上げたレネンスに、アイテムボックスから取り出した黒唐辛子(色は赤では無く黒。この黒唐辛子はこの世界で1番辛い物だと言われているらしい。なんでも味覚が無い人(障害等の理由で)に黒唐辛子1個でも食べさせたら、味覚が無い筈なのに辛いと認識して気絶するらひい)を近づけた。


そして、私はレネンスににっこりと微笑んで聞いた。


「それでレネンス?私が、夜に、なんだって?」


レネンスは私の顔と黒唐辛子を交互に見た後、凄い勢いで首を横に振った。

私がそんな感じで、レネンスとじゃれあっていると、後ろに気配が現れた。


私はレネンスを縛り上げていた『リエイ』を解くと、『リエイ』に構えた。

私に続いてレネンスも『リーム』を準備した。


私の背後に現れたのは白衣を着ているのに、その白衣の中には何処かの探検隊の様な物を着ていて、背中にはリュクを背負っていた20歳位の男だった。

男の背丈は私と同じくらいで、髪は茶色だった。


この世界には男が着ている探検隊の様な服装はあるものの、白衣やリュクは今まで見ていないので、かなり怪しい。

私はそんな怪しい男に注意を払いつつ、話しかけた。


「貴方、冒険者?冒険者は基本的にパーティー単位で監視任務と休息組に分かれている筈だけど」


私がそう聞くと、男は笑って答えた。


「いえいえ、私は冒険者ではありませんよ。何せ私はー」


男はそこまで言って、唐突に上にリュクを投げた。

私とレネンスがそのリュクに釣られて、男に向けていた注意が逸れた。

男はその隙に名乗った。


「【ローナンバー】『ナンバー98』自然学士 リアードですから。【主器完全解放しゅぎかんぜんかいほう】」

どうでしたか?

やっとリク達の方の戦闘が終わりましたね。

本当なら、ここでもう1つくらいフラグを立てたかった(今まできちんと建てられていたかは、別)のですが、そろそろ進めないとダラダラと伸びそうだったので、飛ばしました。

多分、ミコト達の戦闘途中に入ると思います。


次の投稿は4月18日日曜日の午後9時〜11時(基本午後10時)の予定です。

今後ですが午後11時までに投稿してなければ、その日は無しでお願いします。

その後の予定は、一応後書きで書いている、その時の投稿ペースの予定です。


ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力や展開、サイドストーリーやキャラが欲しい等など何でも送って頂いて大丈夫です。

送って頂いた物に関しては積極的に取り入れて行きたいと思っています。

ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします。

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