118話 現状確認②
10時に書き終わらなかったので、ちょと?遅れました。
何時もよりも少し短くなっております。
お楽しみ頂けると幸です。
「頼む!!Sランク冒険者の方々!!娘を救う為に出来るだけ多くの魔力回復薬を譲ってくれ!!金なら払える限りの金を払う!!私に出来る事なら何でもする!!
だから、だから、娘を救う為に、どうか!!」
俺達が領主様が取った行動に驚き、一瞬思考が停止した。
そんな俺達だったが、俺達やりも早く思考が動き出したイリーナが領主様に言った。
「領主様。魔力回復薬でしたら、かなりの数のストックがあります。勿論お売りしますので、どうかお顔をお上げください」
イリーナがそう言うと、領主様は救世主を見つけたような顔をしてイリーナを見ていた。
そして領主様がイリーナの言葉に従って椅子に座り直すと、イリーナが質問した。
「お聞きしたいのですが、呪いにかかっているのに、何故魔力回復薬が必要なのですか?それに呪いならば『解呪』をかければ、すぐに解呪出来る筈です」
イリーナがそう聞くと、領主様も何か思う所があるのか俯きながら答えてくれた。
「魔力回復薬が必要な理由は、娘にかけられた呪いのせいだ。娘にかけられた呪いの効果は常に魔力を奪われ続ける物で、魔力が無くなれば全身の激痛と共に体力すら奪われる。魔力の奪われる量は今現在は1日に約10万だ」
俺達は領主様が言った、「1日に約10万もの魔力が奪われる」と言う言葉に驚いた。
何せウェストに『超え続ける者』を貰ったから、今のステータスになれたのだ。
ウェストの話では、この世界の人達はどんなに才能が有ってもステータスを7万以上に上げる事は出来ないらしい。
因みに才能が無い人のステータスの上限は、1万なのだそうだ。
俺はこの話を聞いた時に、ウェストに『越え続ける者』を貰う前から各ステータスが1万を越えていたのを思い出した。
なので、その事をウェストに聞いたら『お前の元のステータス上限は1万だったぞ。多分異世界人だったからだと思うが、ステータスの上昇が止まらずに成長してしまったのだろう』と言う答えが帰って来た。
更にウェストが『もしもあのまま成長していれば、体が耐えられずに突然死したかもな』と付け足したので、俺は冷や汗が止まらなかった。
少し話が逸れてしまったが、この世界の人の上昇ステータスが7万と言うのは、ウェストが『神の世界』で過去と現在を遡って確認したのだそうだ。
ただ『堕ちた旅団』の第三パーティーよりも上のメンバーのステータス情報は、どうやっても見えなかったらしい。
因みに第四パーティー以降のメンバーのステータスは、特化型でそれぞれの伸びやすいステータスは大体が5万台後半から6万台前半が殆どだったと言っていた。
俺がそんな事を思い出している間にも、領主様は話を進めていた。
「それに娘が呪われたと言われた時にはこの街に居た『解呪師』に『解呪』を依頼した。しかし、『解呪師』の『解呪』は全く効果が無かった。
私の娘は魔力が多いい上に、自前で魔力を回復する手段を持っているので、魔力回復薬も使う事で何とか持ちこたえてきたが、その魔力回復薬も娘にばかり使う訳にはいかず、娘に使える分の魔力回復薬は殆ど使い切ってしまった」
俺は領主様の話を聞いて今後の事を考えていた。
今回の依頼を受けるとしたら、いや受けざる負えないこの依頼の達成目標は大まかに2つ。
1つ目は『ケスメト山脈』の異変の原因の調査、可能ならば排除。
原因がAランク冒険者に匹敵する人間が負けるくらいの相手ならば、俺達1人1人(優愛さん以外)で勝てるだろう。
ただし【亜種】となると話は別だ。
【亜種】との戦闘は尊しか経験していないし、あれは共食いをしていた個体だが、今回もその可能性がある。
何せ『キングピーキーモンキー』が呪いを使ったのだ。
突然変異で使える様になったと思いたいが、共食いで得た能力の可能性も十分にある。
それに【亜種】が一体とは限らない。
それでも5体までなら俺達が一体づつ引き受ければ良いが、正直それは難しい。
難しい理由は達成目標の2つ目にある。
達成目標の2つ目は、街の防衛。
俺達が『ケスメト山脈』の調査を終えても、この街がモンスターに落とされれば意味は無い。
つまり、この街を守る為の戦力も準備しなくてはならない。
街を守るなら最低でも2人、確実に被害を出さないならば3人は欲しい。
更に言えば領主様の娘の呪いを解呪する事も出来たら良いけど、多分この依頼中に解決すると思いたい。
領主様の呪いの話が本当なら魔力回復薬を渡すだけじゃ延命行為にしかならず、根本的な問題の解決にはならないけど、呪いを使った術者が生きているなら、そのモンスターを殺せば呪いは解ける筈。
まあ、これ以外の小さな条件は有るけど無視しても大丈夫な筈。
ただ依頼を受ける上で、戦力になる人数が少ない。
街に3人残るとしたら、『ケスメト山脈』の探索が3人になる。
時間をかけ過ぎれば街が落ちる、かと言って街に残す人数を少なくすれば、この依頼を受ける意味がなくなる。
Aランク冒険者と並ぶ実力者が、後一人は欲しい。
この冒険ギルドのギルドマスターが武闘派ならAランク冒険者の筈・・・
俺はそこまで考えると、思い出した様に呟いた。
「そう言えば、ギルドマスターはどうしたんだ?」
俺がそう聞くと、副ギルドマスターが俯きながら答えた。
「昨日の襲撃で『キングピーキーモンキー』に喰われました」
副ギルドマスターの言葉を聞いて、俺は苦虫を口に詰め込まれたような顔をした。
しかし、すぐに意識を切り替えて、副ギルドマスターに答えた。
「副ギルドマスター、調べきれるかは分かんないけど『ケスメト山脈』の調査依頼を受けるよ」
俺がそう言うと、副ギルドマスターは明るい顔になって頭を下げた。
「ありがとうございます!!私は今すぐに依頼書を作ってきますので、この場で少々お待ち下さい!!」
副ギルドマスターはそう言うと、凄い勢いで部屋を出ていった。
俺はその光景に苦笑いしながら、優愛さんとイリーナ、更に領主様と執事さんに言った。
「ひとまずは今後の事も決まりましたから、領主様は魔力回復薬を娘さんに使って下さい。それと私のパーティーには『解呪師』がおりますので、無駄かもしれませんが、『解呪』をかけさせて貰えませんか?」
俺がそう言うと、領主様は少し顔色を良くして答えた。
「有り難い、そうさせてもらうよ」
俺は領主様の言葉に頷いて答えた。
その後にイリーナに目を向けて、口パクで「優愛さんと街の防衛を任せた」と言うと、イリーナは頷いてから領主様に声をかけた。
「領主様、私が魔力回復薬の予備を持っていますがかなりの数があるので、何処かに出したいのです。何処か良い場所はありますか?」
イリーナがそう聞くと、領主様は執事さんと少し話し合った。
領主様と執事さんの話し合いが終わると、領主様は『解呪師』の優愛さんと魔力回復薬を持っているイリーナを連れてギルドを後にした。
領主様がギルドから出ると、尊とレネンスが俺に聞いてきた。
「今回の依頼、受けて良かったの?正直人数的に厳しいものが有ると思うけど」
「そうだよね〜。街に3人で〜、探索が2人って所かな〜。キツく無い〜?」
俺は2人の言葉に頷きつつ答えた。
「確かにそうだけど、正直ここで依頼を受けても受けなくても、結局は関わると思うんだよね」
俺がそう言うと、尊とレネンスは「確かに」とげっそりした様な顔をした。
グラニーは一人だけきょとんとしていた。
俺はグラニーの表情を見て、「そう言えば、グラニーは戦闘をしていなかったな」と思い出した。
なので、グラニーに苦笑いしつつ言った。
「なあグラニー。俺達がこの街に着くまでに襲って来たモンスターが必死だったて言うのは話したよな?」
グラニーは俺の質問に頷きで答えた。
俺はグラニーが頷いたのを見て、話を続けた。
「実は依頼の内容を聞いた時から、モンスターが必死だった理由をずっと考えていたんだ。それでこの街の防衛戦でモンスターが、冒険者やモンスターの死体を持ち帰っているなら、理由は同じなんじゃないかと思ったんだ」
俺がそう言うと、3人共首を傾げた。
俺はその光景に苦笑いしつつ、言った。
「モンスターが死体を持ち帰るなんて、死体を食べるか知能の高いモンスターが生贄で使うくらいだろ?でも死体を食べるなら、その場でも出来る。それをしないって事は知能の高いモンスターに命令されて集めてるんじゃないかと思う。
その上で生贄に使うなら、出来るだけ質が高い方がいいはずだ。つまりー」
「つまり、とても質の高い私達がこの街を出ても狙われる可能性が高い。狙われる可能性が高いならこの街のバックアップを受けられる状態で相手を倒した方が早い。そういう事でしょ?」
俺が言おうとしていた事を尊が俺を制して言ってしまった。
俺はその事に若干悔しい気持ちになりつつも、頷いた。
どうでしたか?
次回は戦闘に入るか、入らないかぐらいになると思います。
次の投稿は2月14日の午後9時〜11時(基本午後10時)の予定です。
今後ですが午後11時までに投稿してなければ、その日は無しでお願いします。
その後の予定は、一応後書きで書いている、その時の投稿ペースの予定です。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力や展開、サイドストーリーやキャラが欲しい等など何でも送って頂いて大丈夫です。
送って頂いた物に関しては積極的に取り入れて行きたいと思っています。
ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします。