106話 【ナンバーズ】の条件
すみません、中々戦闘が思いつかなくて今日も繋ぎみたいな物です。
一応本編と繋がっているので、本編にしました。
今日も10時投稿に間に合った!!
(終了時間は21:49分w)
お楽しみ頂けると幸です。
私とレネンスが門の上に立っていたウェストを見つけると、ウェストは右足で地面を軽く2回打った。
するとウェストの体が浮き上がり、そのまま私とレネンスの方にやって来た。
ウェストは私達の近くに降りると、言った。
「結界が破れたから様子を見に来たが、随分と苦戦してるらしいな。もう道具に頼らないと戦闘どころか結界すらまともに張れないが、加勢しようか?」
その言葉に私とレネンスはお互いに顔を見てから、ウェストの言葉をフンと鼻で笑った。
「道具に頼らないといけない人を戦闘に参加させる程、私達は弱くないわ。だから門の上から私達の戦闘を見てなさい」
私がそう言うと、ウェストは少し笑ってから言った。
「分かった。それなら無理の無い範囲で援護させて貰うよ。『魔力回復量上昇』『魔力過敏化』。恐らく『魔力過敏化』で奴の【主器】が分かる筈だ。
そして奴の【主器】が分かっていないこの状況だが、言おう。恐らく奴は『何か』で何でも操る事が出来る。『何か』は定かじゃ無いが、その『何か』に気を付けろよ」
私とレネンスはウェストの言葉に頷いてから、お互いの顔を見て確認した。
「僕は結晶型のモンスターをやるよ〜。だからルードの方はよろしくね〜。結晶型のモンスターが片付いたら〜、加勢に行くから〜。
だから僕が加勢したら〜、グラニーが僕に何か奢りね〜」
「了解よ、レネンス。でもあんまりのんびりしてると、加勢に来る前に終わらせるわよ?だから早く終わらせて、さっさと私の加勢に来なさい」
私達はお互いの言葉で笑うと、今だに土煙が晴れない『少隕石』が落ちた付近に突っ込んで行った。
◇ウェスト視点(グラニー達が土煙に突っ込んだ後)
俺は2人が突っ込んだのを確認すると、すぐに門の外にある防衛拠点に行った。
流石に戦闘は出来ないが、流れ弾が飛んで来た時に弾くくらいなら出来ると、考えたからだ。
そんな俺の前に驚きの人物が現れた。
それは天使の様な真っ白い羽と、堕天使の様な真っ黒い羽を生やしているイルミが、上空から降下して来たのだ。
だから俺は、降下して来たイルミに聞いた。
「い、イルミ?その姿は?」
イルミは俺の問に答えずに、悲しそうな顔をして聞いてきた。
「何時ですか?一体、いつの間にウェストさんは死んだのですか?」
「へ?」
俺はイルミの言葉がよく分からなかった。
いつの間に俺が死んでいた?
俺は生きてるから、ここに居るのだが?
俺がそんな事を思っていると、イルミは言った。
「確かに貴方は一見すると、まだ生きています。ですが全力を出せる今なら分かります。貴方は既に死んでいた。
もしも、ウェストさん自身がそれを自覚せずに死んでいて、それを操っているなら、私は貴方を軽蔑します。
クロ様」
俺がイルミの言葉に混乱している、何処からかため息が聞こえて来た。
そのため息が聞こえたと同時に、周囲の影が一箇所に集まり人の形をとった。
その影に顔や耳といった物は無く、ただ人の形をとっただけの影だった。
そんな影に急に口が出来た。
俺がその事に驚いていると、影はイルミに言った。
「少なくとも【ハイナンバー】と同等の力が無ければ気が付けない筈だが、よく気が付いたな。
まあ、俺との記憶を一部とはいえ思い出したんだ。その程度の力は持っていて当然か」
その言葉を聞いたイルミは、眉を顰めて言った。
「そんな事はどうでも良いです。ですがウェストさんは死んでいるのに、無理矢理操っているなら、クロ様の相手は私です」
影はイルミの言葉を聞いて口を三日月型にし、肩を竦めて首を横に振りながら言った。
「おいおい、いくら俺でも生命の限界で死んだ人間を操るなんて面倒な事を、わざわざやる必要も無いだろう?
俺はそいつに懇願されたから、仕方なくやってやったんぞ?」
影はそう言って俺の方を指差した。
俺がなんの事が分からずに、困惑していると影はため息をついた。
「そう言えば、お前が死んだ時の記憶は消してあるんだったな。いま戻してやるよ」
影はそう言うと指を鳴らす様な動作をした。
その瞬間、俺の中にある記憶が流れ込んで来た。
その記憶は恐らくクロと呼ばれている、俺の元の人間の物かその配下の物だった。
なぜなら俺の知っている【ナンバーズ】の1人であるナキが側に控えていて、俺は視点その前で倒れ込み頭を抑えていたからだ。因みに場所は恐らく流空達から借りていた部屋の中だ。
視点の人物が誰かは正確には分からないが、視点の人物は倒れている俺に言った。
「予想では一ヶ月は持つ筈だったが、流石に元が魔力なだけはあって少し時期が早まったな。しかも死因は記憶領域の完全限界によって起こった、フラッシュバックの連続に耐えられなくなり狂死とは。
おいウェスト、お前にチャンスをやろう。お前はもうずく死ぬが、イレギュラー達を残しては行きたくないだろう?だから俺達によるある治療を受け入れろ。
安心しろよ?下手な事はしない。ただお前の行動を1つだけ縛らせて貰うだけだ。
どうだ?
まだ生きて楽になるか?それとも死ぬまで続く苦痛に耐えて死ぬか?」
視点の人物は俺にそう言って俺に手を伸ばした。
そして記憶の中の俺はその手を即座に取った。
記憶の人物は俺が手を取ったことを確認すると、言った。
「それじゃあ先にお前の行動を1つだけ縛らせて貰うとしよう。俺達が縛る行動それはー」
俺が記憶を見て困惑した。
「い、今のは?」
影はため息を付きつつ言った。
「なんだ、あれを見ても気が付かないか?お前は流空達の修行の初期段階で行った戦闘訓練のせいで記憶領域の保護に回していた魔力が切れたんだ。
そのせいで一体何兆年生きてきたかも分からない程の膨大な記憶のトラウマ部分が暴走し、お前にとんでもない量のフラッシュバックを連続して起こった。
俺はそれを抑えてお前を助けてやったんだ。感謝して欲しいね」
影の言葉に俺は言葉を失った。
死は怖くないと、いつか終わりは来る思っていた。
それでも今初めて気が付いた。
俺は死が怖い。
俺がそんな事に気がついていると、イルミは影を睨みつけていた。
「なるほど確かに、ウェストさんを延命して頂いたなら感謝しましょう。ですが貴方がしたのはウェストさんを殺し、ウェストさんの体である魔力が消え去る前に貴方の血を与える事。
つまり貴方はウェストさんを【ナンバーズ】にした。違いますか?」
俺はイルミの予測を聞いて声を失った。
俺が【ナンバーズ】にされた?
俺はイルミと影の会話で影が俺の元の人間だと理解していた、なので俺は先程見た記憶を辿った。
しかし記憶は俺が生きる為に視点の人物の手を取った後、俺に何かの条件を付けるとう言う所で切れている。
それでも俺が必死に記憶を辿っていると、影が言った。
「確かに俺の血を取り込んだ時点で【ナンバーズ】になっている。そしてお前達は知らないだろうが、俺は【ナンバーズ】を100席以上は作らないと決めていた。
だが丁度今回の件で【ナンバーズ】は空席が2つ出来る。それならもう1人の俺も【ナンバーズ】に加えてやろうと思ってな」
俺は影が言った事を理解し呆然としていた。
俺が呆然とした理由は【ナンバーズ】になる為にはある条件があり、それを満たしていなければ俺の元の人間の血が暴走し人間では居られない。
つまり俺は【ナンバーズ】になる為の条件をクリアしてしまっていると言う事。
俺が知っている【ナンバーズ】になる為の条件は2つ。
1つ、俺の元の人間の血に適応する事。
俺の元の人間は自身の血に自身の経験や知識、自身が獲得している能力を付与する事が出来る。
そして俺の元の人間の血は、その血を飲んだ人間に血に付与された経験や知識、能力を与える。
俺の元の人間の血はたった一滴飲む事で、飲んだ人間の世界の天使と渡り合う事が出来る。
しかも2滴で下級神単体、3滴で中級神単体、4滴で上級神単体、5滴で最上級神単体、6滴で最上級神二体同時に相手取る事が出来る様になってしまう。
上記の能力を見る時の俺の元の人間はなんで便利な能力を持っているんだろうと思うだろう、しかし俺の元の人間のこの能力には重大な欠点が存在する。
それは血の与える力が大き過ぎる事。
俺の元の人間は自身の血に付与出来る経験や知識、能力を増やす事が出来ても、減らしすぎる事が出来ず、例え最低限の付与でも知的存在が体内に俺の元の人間の血を入れれば破裂する。
本来ならその知的存在が獲得しうる限界を超えて力を与えられた存在は内側から破裂する。
しかも時たま、そんな力に適応し自身の物とする者が現れる。
因みに俺は俺の元の人間の血に適応した者を、『適応者』と読んでいる。
そして【ナンバーズ】になる為の2つ目の条件は、恨みが強い事。
いや恐らくただ強いなんて物じゃ無いだろう、それこそ血涙で体中の血が無くなるんじゃないかと思う程に血涙を流し、歯を食いしばり、どんな存在に魂を売ってでも恨みを晴らしたいと思っている筈だ。
俺は【ナンバーズ】と俺が称号を与えた数多くの奴らの戦闘を直接では無いが見てきた。
俺が称号を与え、【ナンバーズ】と戦ったのはかなりの数に登ってしまったが、かなりの数に登ったからこそ、恨みも必要だと分かった。
分かった理由は【ナンバーズ】の戦い方や言動からだ。
【ナンバーズ】で魔法や【主器】を使った(【主器完全開放】では無い)戦闘、又【ナンバーズ】と戦っていた奴らが負けた後の滅ぼされる世界で【ナンバーズ】が人間を殺して回っている時の表情だ。
まず前者は人間と対峙するだけで、いやそもそも敵対出来ると考えて【ナンバーズ】の前に立っている奴が居るだけで、顔を憎悪で染める。
この世界ではそんな事は無かったが、以前は有った。
次に後者は人間が逃げ回り『助けて』と叫んでいる人間を殺す時の【ナンバーズ】の顔は生き生きとしている。
よって人間に相当な恨みがあると考えた。
以上の事を踏まえて俺が【ナンバーズ】と同質の存在となっているなら、俺の元の人間の血の適応は出来ても、恨みが無い俺にはそちらの適性がない筈だ。
俺がそんな事を考えて影を見ると、俺は息を飲んだ。
俺が息を飲んだ理由はいつの間にか影には顔が出来ていて、その顔があまりにも残忍なだが楽しそうな、常人が見れば狂っていると思われる顔を見せていたからだ。
どうでしたか?
なんだか久しぶりに【ナンバーズ】の詳しい設定を考えた気がします。
次の投稿は12月9日の午後9時〜11時(基本午後10時)の予定です。
今後ですが午後11時までに投稿してなければ、その日は無しでお願いします。
その後の予定は、一応後書きで書いている、その時の投稿ペースの予定です。
ご感想、誤字、ここをこうして欲しい、こういう能力や展開、サイドストーリーやキャラが欲しい等など何でも送って頂いて大丈夫です。
送って頂いた物に関しては積極的に取り入れて行きたいと思っています。
ゆっくりと進んで行きますが応援よろしくお願いします。
すみません、書き終わりませんでした!!
なので次の投稿は水曜日の9日です。
投稿時間は同じの予定です。