9話 これからと尊
今回は戦闘は無しです。
主人公のステータス上昇を異常に思うでしょうが、次回にはその理由が分かりますのでお許しください。
それでは楽しみ下さい。
「「はあ、やっと外に出れた(わ)。」」
レネンスが1時間と言った隠し通路を歩く事、恐らく2時間。
時計は持っていないため、正確な時間は分からない。
周りを見渡すと森、いや山になっていて暗くなっていた。
「おお〜やっと外に出たか遅いぞー。」
こいつ、ここに捨てて行ってやろうか。
だがダンジョンで助けられたのは事実だしな〜。
はあ。
「ねえ貴方、そんなに言うなら自分で歩けば?」
「ええ〜面倒くさいから嫌だ〜。」
「この、」
「まあまあ、ほら外も暗いからこの通路で今日は休んで、明日はウーガの街まで戻ろうよ。」
「はあ、それもそうね。」
隠し通路を結構歩いたけど明日中につけるだろうか?
「ウーガの街〜?もしかして向こうのダンジョンの入り口近くの街〜?」
何故そんなことを聞くのか疑問に思いながらレネンス答える。
「そうだぞ。」
「それなら無理だよ〜。」
「「はあ?」」
こいつは今更何を言っているのだろう。
俺と高木さんはウーガの街に荷物があるのにまるでもう行けないと言っているようだ。
俺はそんな事は流石にないと思いながら聞く。
「なあ、冗談だろ?実はすぐ近くに出たとかそんなオチだろ?たちの悪い冗談はやめてくれよ。」
「そ、そうよ。無力こダンジョンの入口は一箇所行かないんだから、ウーガの街の近く以外に出るわけないじゃない。」
「二人こそ何言ってるの〜?隠し通路の出口がダンジョンの入口の近くにある訳ないじゃん〜。」
「ガチで?」
「ガチガチ〜」
俺は地面に膝をつく。
「これからどうすればいいんだ。ここは山の中だぞ。」
「ここを降りれば街があると思うよ〜」
「「は?どういう事だよ(なの)?」」
「だからここを降りれば街があると思うよ〜」
「いや、だから何故それが分かる。」
「何となく〜?」
「はあ。その街は歩いてどのくらいだ?」
「う〜ん。2時間くらいこの山を降りれば道に出ると思うからその道を右に1時間行けば街があるよ〜」
「合計3時間、こいつの事は信用ならないから多めに見積もって5時間か。まあ、明日中に着けるって分かっただけましか。」
「それより夜ご飯まだ〜?」
「ああ、そう言えば昼食ってから何にも口に入れてないな。また携帯食だけど我慢しろよ。」
「もうリクは仕方ないな〜。料理くらい出来るようになってね〜」
絶対にこいつのために料理は習わないし作らない。
「あ、それなら私からある程度作れるわ。あんまり料理器具がないから簡易的な物になるけどそれでも良ければ作るわよ?」
「おお〜。我慢するから作って〜」
「へえ〜意外。高木さん、料理出来るんだ。」
俺とレネンスが思い思いの事を口にする。
それを聞いていた高木さんがイラッと来たのか、
「む、そんなに言うなら作りません。」
と、言った。
「そんな〜。意地悪せずに作って〜」
「ごめんごめん。今までそんな事を知らなかったから凄いと思っただけなんだ。」
「そこまで言うなら作りましょう。でも本当に簡易的な物よ?」
「「それでも携帯食よりは全然良い(良いよ〜)。」」
「そ、そこまで言うなら作りましょう。」
俺とレネンスは顔を見合わせて思った。
((高木さん(ミコト)はチョロい(な〜)。))
夕食を食べならが明日の予定と今後の予定を決める。
ちなみにレネンスは夕食を早々に食べ終わり俺の横で丸まって寝ている。
なんかこいつ何時も顔が笑ってるな。
寝袋も無いから少し寒そうだな。
そうだ、確かカバンに毛布が入って筈。
カード開放!!
ここでなぜ俺が急にカード開放を行ったか説明しよう。
カバンのカードを作った時、ふと中身が入ってたらどうなるのかと言う疑問が湧いた。
なので試してみるとカバンの中身ごとカードになった。
しかも魔力消費は2のままでだ。
これは使えると思い、必要そうな物を買いカバンに詰めてカードにしたのだ。
そして必要そうな物に毛布がある。(寝袋は思いつかずに入っていない。)
レネンスに毛布をかけると、高木さんが聞いてきた。
「それがカード使いの能力?」
「そうそう。今見せたのがカード開放。今は魔力に余裕があるからカード制作の方も見せようか?」
「是非お願い。」
「分かった。このハンカチで試すね。」
カード制作!!
「これがカード制作。カードにはステータスがついててステータスを見てからカードを持つとステータスが上がるんだ。試してみて。」
「本当にステータスが上がってるわ。この能力で私を助けてくれたの?」
「そうだけどちょと違うかな?」
「どういう事?」
「俺がハルパスドックを倒した時にレベルが15まで上がったんだけどね。その時にカード複製ってスキルが増えたんだ。そのスキルを使ってレネンスのステータス?をカードでコピーして俺に上乗せしたから助けられたんだよ。」
「なるほどね。ねえ、そのカード見せて貰ってもいい?」
「いいよ。」
「このカードのステータスは私にも上乗せされるの?」
「どうだろう?試す人が居なかったからな。ステータスプレート見てみてよ。どう?各1000づつ上がってる?あとスキルは?俺は?になって付いてたけどどう?」
「ステータスは各1000づつ上がってるわね。スキルは付いてないみたい。」
「ステータスプレート見てもいい?」
「ええ、良いわよ。」
高木 尊 17歳
職業 指揮官
Lv.22
体力 2710/2710 (1.4倍)+1000
魔力 2618/2618 (1.4倍)+1000
攻撃 1848 (1.2倍)+1000
魔攻 2464 (1.4倍)+1000
防御 1848 (1.2倍)+1000
魔防 1927 (1.2倍)+1000
素早さ 2648 (1.4倍)+1000
スキル
命令Lv3 剣術Lv2 指示Lv1 風魔法Lv2 交渉Lv1 アイテムボックスLv5 言語理解LvMAX
「ん?この1.何倍って何?」
「それはレベルが2以上のステータスプレートに書いてある。レベルアップ時の上昇倍率よ?横田君のにもあるでしょ?」
「無いけど。」
「え、嘘。ちょとステータスプレート見せて。…………え?何このステータス!!上昇倍率が乗ってない。それにオール5だったステータスじゃない!!」
「え?何がおかしいの?」
「初期ステータスオート5なのにここまでステータスが高い訳無いでしょ!」
そう言って俺にステータスプレートを見せてきた。
横田 流空 17歳
職業 カード使い
Lv.19
体力 3143/3143
魔力 3143/3143
攻撃 3190+8(5+3)
魔攻 3143
防御 3190+8(5+3)
魔防 3143
素早さ 3154+2
スキル
カード制作Lv4 カード操作Lv3 カード開放Lv4 複製カードLv1(new) 言語理解LvMAX
何このステータス。
高すぎ
「そもそもね。5を1.5倍して19をかけたら142.5つまり四捨五入してもMAXで143なのよ?しかも全てのステータスで。百保譲って全てのステータスの上昇倍率が1.5倍だよしても、。これはどうして?」
ふむ。
確かに不自然だな。
「何で?」
「それを私が聞いているんだけど、まあわからないなら仕方ないわね。分かったら教えてね、私も何か分かったら教えるから。」
「ああ分かった。」
「あ、そうだ。複製カード、私のもやってくれない?」
「良いけど、街に着いて宿か寝る所、それかゆっくり出来る所で良い?」
「良いけどどうして?」
「複製カードを使った時多分だけど魔力がすっからかんになったんだ。カードを装備するまでずっと頭痛が続いてさ。だから落ち着ける場所でやりたいんだ。」
「なるほどね。分かったわ。」
そうだ。高木さんに確認しないと行けないことがあったんだ。
「ねえ高木さん。これからどうする?」
「どうするって?」
「俺達と一緒に来るか別れるか。まあ街までは一緒に行く事なると思うけどね。」
「ん〜そうね。一緒に行こうかしら。」
「え?そんなに簡単に決めて良いの?」
「ええ。この世界の知り合いは今は貴方達とクラスメイトだけど、今更クラスに戻りたくないし勝手が分からない世界で一人で生きていくなん嫌だもの。」
「そっか。なら3人で冒険者登録し直さない?」
「冒険者登録を?どうして?」
「俺たちは本名、しかもフルネームで冒険者登録してるから名字もあるし、冒険者ギルドでクラスメイト達が俺達の名前を聞いたら生きてるのがバレるだろ?だから冒険者登録し直して名前だけにするんだよ。」
「なるほど、確かにその方が良さそうね。」
「それで高木さん。俺と冒険者パーティー組んでくれる?レネンスが居るけどね。」
「え?私が横田君と組んで良いの?」
何でそんな疑問系になるのだろうか。
俺は本来、ステータスはとても低いからむしろ断られると思ったんだけどな。
まあ今のステータスはDかE級冒険者のステータス程度はあるから良いけどね。
「寧ろこっちが聞きたいよ。俺なんかと組んで良いの?」
「私ね、肝心な時に震えてた。横田君が助けてくれなかったら、きっと死んでた。だからこっちならお願い。私とパーティーを組んでください。」
こんな事を思っているとは思わなかったな。
まあ俺の答えは変わらないが。
「もちろん。これからよろしくね。高木さん」
「うん、よろしくね横田君。あ、そういえば冒険者登録は名前でするのよね?」
「ああ。そうだけどなんで?」
「だって冒険者登録は名前でするのに名字で呼び合うって変じゃないかなって思って。」
確かに。
冒険者登録は名前なのに呼び名は名字では意味がない。
なら名前で呼ぶか。
「そうだね。それなら今からは名前で呼び合おうか。」
「ッ!そ、そうね。」
ん?
何か高木さん、あ、違うか。
尊さんの声が裏返ったような。
「え〜と。尊さん?大丈夫?」
「ひゃひい。大丈夫よ。横田君。」
「え〜と。俺の事を横田って呼んだら駄目なんだけどな。ほら流空て呼んで。」
「そ、それは……あ、ほら明日からって事で良いでしょ?」
何か少し早口で顔が赤いな。
大丈夫かな?
て言うか明日からって、いざって時にボロが出ると困るかな〜。
ん〜、仕方ないここは強引にでも流空って呼んでもらうか。
「尊!!」
「ひゃひい!!」
尊さんの肩を掴んで強めの口調を意識して話す。
「俺の事、流空って呼んで。」
「いや、あの、でも、」
「いいから早く。」
「り、り、流空」
ミコトは耳まで真っ赤にして言った。
そんなに恥ずかしいのだろうか?
まあ呼べたし問題はない。
「うん。呼べたね。普段から流空って呼ばないとボロが出るかもしれないかさ。強引に呼ばせてごめんね。」
「い、良いのよ。」
「凄い早口になってるけど大丈夫?俺が見張りするから寝ていいよ。」
「で、でも」
「1日くらい大丈夫だって。ほらこれ使って。」
そう言って毛布を渡す。
「ありがとう。でも無理はしないでね。おやすみなさい。りりり、流空。」
「うん。分かった。おやすみ尊さん。」
それにしても名前で呼ぶのは慣れないせいか恥ずかしいな。
俺も慣れないとな。
「…………」
「?どうしたの?寝ないの?」
「ねえ流空君。私の事、尊って呼んでくれない?その代わり私もその流空って呼ぶからさ。」
恥ずかしそうにお願いしてきた。
女子を呼び捨て、しかも名前を呼ぶのは抵抗があるが、今後一緒にいる事が増えるからな。
これぐらいはしないとな。
「分かったよ。じゃあ今度こそおやすみ尊。」
「ええ。おやすみ流空。」
それにしても今日は濃い1日だったな。
ダンジョンに入って、死にかけて。
少女に助けられて、同級生を助けて。
隠し通路を使ってダンジョンを脱出して。
改めて考えるとかなり濃いな、街に行ったらゆっくり休みたいな。
なんて考えながら夜が明けるのを待った。
次は戦闘ありです。
色々と分かる事もあるのでお楽しみに!!
ご感想、誤字、こうして欲しいや登場人物の名前、こういう能力をつけてほしい等何でも送って頂いて大丈夫です。
今回もお読み頂きありがとうございます。