二人の少年
初連載作品です。
読んでくださる皆様が楽しめるように、自分自信も楽しく作っていけたらと思います。
遥か昔、全ては【無】であった。そして、無から世界が生まれ、生物が生まれた。その世界では人間等の他に魔物が溢れ、人々を苦しめていた。ある時、強大な力を持った魔物が人々を絶望へと落とそうしたのである。その魔物は魔王と呼ばれ恐れられた。しかし、一人の女性がその魔物を奇蹟の力で打ち倒すことに成功する。その後女性は聖女と呼ばれ人々に崇められた。聖女は人々に更なる奇蹟を施した。いつしか人々も奇蹟の力を使えるようになったのである。
奇蹟の力は後に“魔法”と呼ばれた。この世界では当たり前のように存在し、誰もが当たり前のように使える奇蹟の力であった。
「よっしゃ! ついにこの日が来たぞ!」
「テンション高めだな、アル。まぁこの儀式を誰よりも楽しみにしてたもんな」
「もちろんだよ、ホープ!俺はこの日をずっと待ってたんだ!」
アルと呼ばれた少年は意気揚々と前を歩き、その後ろを長身のクールさが漂う銀髪の少年が少し笑みを浮かべながら後ろを歩いていた。
「ホープ、もうすぐで王都かな?」
「あぁ、きっともうすぐだろうな。道もしっかりと整備されてきたしな」
「いよいよだなぁ。ホープはどこの魔聖騎士団がいいんだっけ?」
アルはホープに食い気味に質問をする。
「待て待て。まだ騎士団に入れたわけじゃないだろう。そもそも入団試験に合格しなきゃなんだから」
「ホープ、夢は大きっくだぞ! 俺は絶対に入団してみせるからな。俺は俺を求めてくれる団があるならそこで輝いてみせる!」
「アルの性格は本当羨ましいよ。まぁ、俺が入るならそうだな……聖女の生まれ変わりと呼ばれ、光の聖女の異名を持つアテナ様の魔聖騎士団。聖帝騎士団が良いな」
普段はクールなホープが珍しく熱く語っている姿にアルも嬉しくなっていた。
その後も二人は会話をしながら歩き、ついに王都へと到着した。
奥の方に巨大な城があり、その前に城下町が存在していた。城下町は人々の活気で溢れ、そこに居るだけでワクワクが止まらなかった。
「なんだここは! 美味しそうな食べ物、カッコいい魔法武器、大人な雰囲気のお店、どれもこれもこんな豪華な店は俺たちの村には無かったなホープ!」
「俺たちの村は田舎だからな。でもアル、少しは落ち着けよ。そんなにはしゃぐと田舎者だって馬鹿にされるだろ」
ホープの言った通りアルの興奮する姿を見て、すれ違う人の中には笑っている人もいた。だが、初めての都会を経験する少年にはそんなことは気にもならなかったのである。
「さぁ、早く入団試験会場に行こう!」
「アル、そんなに急ぐなって!」
二人の少年は走って、目的地の場所まで向かうのであった。
しばらく走った後、念願の目的地へと到着する。王都入り口から見えた巨大な城。王城の正門前に二人は到着する。しかし、その正門前にはすでに多くの人が並んでいた。
「さすがみんなが憧れる魔聖騎士団だ。こんなに先を越されるなんて!!」
「アル、これは単なる入団の受付なんだから。早く並んでたからって何にもないぞ」
「分かってるけどなんか悔しい!」
アルの謎の悔しがりは続くが無事に二人の入団試験受付は終わった。そして入団希望者は王城敷地内にある闘技訓練場と呼ばれる場所に移動していた。
多くの入団希望者が集まり、待機していると闘技訓練場に設置してある偉い人が見学出来るような場所から一人の女性が現れる。その姿は神々しく黄金の鎧を身につけていた。
その姿を見て人々は歓声を上げる。なぜなら、その人は全ての魔聖騎士団を束ねる総団長であり光の聖女の異名を持つアテナと呼ばれる女性だった。
「あれが聖帝騎士団の団長か……カッコいいなぁ。」
「アル、あれが俺たちが目指す最強の魔聖騎士だ」
アルとホープはその眼差しを光の聖女から離しはしなかった。
「親愛なるセントバリス王国の民達、そして王国の未来を似合う騎士を目指す者達よ。これから貴方達には騎士に相応しいかを選定させて頂きます。この王国では毎年16歳になった者から試験資格が授けられています。しかし、残念ながら選定から外れてしまう人も出てくるでしょう。ですが、きっとこの中にはこれまで外れてしまった悔しさを糧として更なる進化を遂げた者も居るかもしれません」
聖女と呼ばれる女性は真面目な表情から優しい笑顔を向ける。
「健闘を祈ります」
聖女の微笑みから生み出される言葉に会場中が熱を込めて返事を返した。
その後いよいよ、魔聖騎士団の入団を決める試験が始まろうとしていた。