手掛かり
新たな世界の生活が始まって、あれから一週間たった
その一週間でこの世界のことがいろいろ分かってきた
この世界はリリーオンラインと同じ剣と魔法の世界、モンスター、つまり魔物が存在して、街にある高い壁は魔も対策らしい
お金はルイ。硬貨は銅貨、小銀貨、銀貨、金貨、白金貨まであり、価値は銅貨十円、小銀貨百円、銀貨千円、金貨一万円、白金貨一億円。一ルイ=十円。ちなみに女神さまが両替してくれたお金はユイナのアイテムボックスの中から、好きな硬貨で取り出すことができた
この世界に存在する種族は人族、獣人族、エルフ、ドワーフ、妖精族、巨人族、竜人族、そして魔族。
魔族がいるなら魔王もいて、勇者様もいるらしい。
時間軸は週=七日、月=三十日、年=十二か月。場所によってはちゃんと四季もある。
この街、ルーレンには四季がなく、常に温暖な気候らしい
「ユイナちゃん、今日はモムの実が安いよ。三つ以上買ってくれたらリルをおまけするよ」
「おお! 美味しそうですね。それじゃあ、それください」
そしてユイナはすっかり街に溶け込みました。
始めは十一歳の女の子が一人旅、に怪しむ人もいましたが訳あり風を装うと、心に傷を負ったが立派に生きようとする健気な幼い少女という風に町の人に見られ始めたのは、ユイナ本人は知らない
お題を払って、モム日本で言う桃と、リル日本で言うリンゴをアイテムボックスにしまって街を歩く
「おお! さすがCランク冒険者!」
冒険者ギルドの前で五人の人がたくさんの人が褒め称えられている
冒険者ギルド、異世界小説などに出てくる冒険者たちが依頼を受けたりする場所
初めてこの町で存在を知った後、ユイナも登録しようとしたが、登録は十二歳からという年齢制限があったため登録を断念した
そしてユイナにとって何より大事なこと、リリーオンラインでユイナの所属していたパーティー、〈空の使途〉のパーティーメンバーは……
「助けて⁉」
後ろから大きな声で叫ばれて驚きながら反応する
「助けて⁉ 村と、お兄さんを!」
すると門のところで涙を流しながら必死に門番の人に助けてと頼み込む同い年ぐらい(十一歳)女の子がいた
「だから、何があったんだ?」
「ヒック、村が、村がジャイアントスネイクの群れに襲われて、ヒック、アル兄が、戦ってくれてて。それでも時間稼ぎしかできないから人を呼んできてって……」
「その人!」
『アル兄』と聞いて慌てて少女に詰め寄る
「青くて長い髪は低い位置で結んでいて、目の色は灰色。長い木を編み込んだような杖を持ってなかった⁉」
「ふぇ⁉ う、うん。そうだけど……」
突然つかみかかって聞いたユイナに驚いていたが、彼女はゆっくりと頷いた
なんだ、一人目、簡単に見つけられた
この世界に来た初日、女神さまにもらった同じ転生者の名前が書かれた紙の名前を一人ひとりチェックした
アルフレット
その名前は確かに紙に書いてあった
その彼だと確定したわけでもないのに、ユイナには妙な自信があった
「あなたの村って、どこにあるの?」
「え? この道をまっすぐ行った先」
涙声で指差されたのは、ちょうど一週間前、結奈が歩いてきた先だった
逆方向だったんだ
「ありがとう」
「君、まさか行くつもりじゃないだろうな!」
走り出そうとしたところで門番の一人に腕をつかまれそうだったので、それより先に逃げ出す
「ちょっと待て!」
ごめんなさい、待ちません
静止の声を無視して走り出す。
この一週間でユイナは自己制限スキルというのを手に入れた。それによってはじめこの世界に来た時高すぎたと思ったステータスを、ある程度操れるようになったのだ。
人よりは早く、馬よりは遅いぐらいの速さで走る。移動時間でさっきの少女が言っていた魔物、ジャイアントスネイクのことを考える
ジャイアントスネイクはゲームにもいた魔物で、大きいものは十m級になる大蛇
一体で準ボス級の魔物で群れることはないはずだけど……もし本当に群れてるのなら、後衛の賢者であるアル一人には、厳しいかも
ジャイアントスネイクの一番の特徴、リリーオンライン中トップクラスで高い、魔法攻撃耐性
辺りに人の気配がなくなったので、ユイナは走る速度を上げる
お願いアル。この世界は現実なの、死んだら死んじゃうの。
自分の能力の限界値が知りたくて、一度全力で走ったとき。自分の風圧で自分自身の頬がまっすぐ真一文字に切れて、血が溢れた
その鋭い痛みと、真っ赤な血が、嫌でもユイナを理解させた。この世界はアバター通りのゲームじゃない、現実なのだと
私が行くまで、無事でいて
風の魔法で自分の身を守りながら、走るは速度をさらに上げる
相当強引に話を持っていっているという自覚はあります、が
初心者なので大目に見ていただけるとありがたいです